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誤解ですってば!

『ひぃ、ごっめんなさい』

「?……あぁ、ぶつかったこと言ってると?よかよか」


『……』

「部室に何か用ね?」

『あ、その……ドリンクを、作りに。あっ!あの私は、迷子になって……連絡いれてもらって、その……はぐれた人が、ここに来るまでっ、ここでマネー……ジャッ、をするというか』


「そげん慌てて話さんでもよか」

『あ、えっと、はい』


ポンポンと私の頭の上に手を置く千歳。何だろう、すごく安心する。



「たいぎゃどこわかったばい」

『は、はい!』


「あ、千歳千里たい」

『咲本ひなた、です』


「咲本は小動物のごたんね」

『しょっ、動物?のごた?』


どうしよう、何言ってるか分からない……。誰か翻訳して下さい。


「動きも目もキョロキョロしてるけん」

『す、すいません』


「ばってん、むぞらしかよ」

『むぞっ?』


「可愛いっちゅー意味たい」

『っ!』


可愛いなんて普段言われ慣れないから凄く照れる。何だこの人。女子に可愛いとかサラリと言えるのか。



「金ちゃんと同じぐらいやね。一年と?」

『は、はい』


「今日は天気がよかけんね」

『?』

「昼寝でもせんね?」

『え、いや私ドリンク……作らないと』

「よかよか。白石達が何とかするばい」



そして千歳は私の手を引き何処かに向かおうとする。

いやいや、よかくない!……何か日本語おかしくなった。何てマイペースな人なんだこの人。




手を引かれるまま千歳の後ろを歩くと、お昼寝には絶好の場所とも言えるだろう場所に連れて行かれた。下は草、そして大きな木が太陽の光を遮っていて心地良い温度。


千歳は草の上に座ると私の手を引いて横に私を座らせた。


「昼寝にはよか場所ばい」

『……そう、ですね』


「……咲本は俺の目を見てば話さんけん。俺んこつ好かん?」


『っ、苦手……で』

「……そ、か。こんなとこ連れ出してすまんかった」



……あれ、すっごい落ち込んでる?とぼとぼとここから離れていく千歳。

私、苦手って言っただけ……あ、私が千歳のこと苦手って勘違いされた?

目を見るのが苦手って意味だったんだけど。


とりあえず誤解を解かないと!


『あっ、ち、千歳、せん……ぱい!』

「……」

『違う、です。ご、誤解』

「ばってんさっき苦手ってゆうとったとね。……咲本は俺んこつ嫌いと?」



どうしよう、何故か凄い落ち込んでるっぽい。ていうか初対面の人の事をすぐ嫌うはずないのに。例外はあるかもしれないけど。

え、ちょっ、どうしよう。嫌いじゃない……けど何て言えばいいんだろう。


言う言葉に悩んでいると、千歳はまた私から離れようと歩を進める。あ……とりあえず、何か、何か言わなきゃ。






『す、好きです!』




「「え……」」





『……あれ?』



私言う言葉間違えた……?

それよりも声が前からと後ろからと二つ聞こえたのが気になるんだけど。


恐る恐る後ろを向くと赤也が目を見開き、立っていた。


「……」

『や、あの……』

「ひなたの……」

『へっ?』


「ひなたのバカヤロー!!」


そう言って赤也は何処かへ走って行った。折角ここまで来てくれたのに何か怒らせちゃった。ていうか誤解……。


『あ、あの……好きというのは、その……いや、その前に誤解で、……苦手って言うのは先輩、ではなく、目を見て離すのが、という、意味で……』



「分かっとるたい」



『……ぇ』


驚いて顔を上げると千歳は満面の笑み。もしかして分かってて落ち込んだふりしたりしてたのか、この人。


『もしかして……』

「ん?何ね?」



もしかしなくともこの人黒いですか?

さっきまで焦ってた私は何だったんだ。



『ち、千歳先輩の……バババカヤロー!』



そして私も赤也と同じように叫びながら走って行った。





「ぷっ、咲本ひなた……おもしろか」





********************



誤解を解こうと赤也の走って行った道を追いかけてきたわけだが、赤也が見当たらない。

……あ、その前にドリンク作らないと!


そしてドリンクを作りに部室に戻る。すると中には財前がいて私がドアを開けた瞬間此方をジロリと見た。



「…………」

『っ、ドリンク……すいません、今から作っります』

「……あぁ、それより切原の方を何とかしてほしいんやけど」

『えっ?』


「やっと来たと思ったらアンタの事を探しに行って、ほんで戻ってくるなり何か拗ねてんねんけど」

『は、はぁ』


赤也、コートに戻って来てたのか。財前はすごくうざそうな顔で話すし、赤也は拗ねてるらしいし……早く帰りたい。


「先輩らのドリンク作んのめんどいけど早よ作んで。その後切原早よ持って帰って」

『は、はい!』


赤也は物扱いか。それよりも財前、ドリンク作るの手伝ってくれるのか。



手際良くドリンクを作っていく財前に感心しながら私も手を動かす。


「謙也さんのは薄く作ろ」

『えっ、だ、駄目ですよ!』

「ええねんええねん。あの人薄いドリンクの方が好きやから」

『えー……』


嘘っぽい。うーん、まぁいいか。私は関係ない!多分。




誤解ですってば!


(赤也どうしようかなぁ……)
(ていうか何で拗ねてるのさ)


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