ドンドンドドドン
「そっかぁ、じゃあ咲本さんは神奈川から来たんや」
『はい……』
赤也とはぐれた場所から歩くこと数十分。白石と話しながら赤也を探していた。そういえばさっきから気になってたんだけど、白石テニスバック背負ってるんだよね。ということは今から部活なんじゃ……。
「おーい!白石ー!」
「あ、謙也や」
謙也が少し離れたところから走ってくるのが見える。と思ったらもうすぐそこまで来ていた。流石スピードスター。
「白石、もうすぐ部活の時間やで。はよ行かなあかんっちゅー話や」
「それは分かってんねんけど……」
「なんや?……あ、誰や?この子」
ちらりと私に視線を向ける謙也。やっぱり今から部活だったんだ。すごく迷惑かけたな。
「神奈川から来たみたいやねんけど、一緒に来た子とはぐれたみたいなんや」
『あの、やっぱり……自分で探し「じゃあ俺も一緒に探すわ」……えっ、』
『いや、あの、部活……』
「まぁ大丈夫やろ。今メールで遅れるって伝えたから」
「早っ!流石謙也やなぁ。まぁそういう事やから俺らの事は心配しやんでええで」
『は、はい』
でも白石は部長だし、二人とも三年生だからこの二人が抜けると部活大変なんじゃないかな。
……あ、赤也のこと二人は知ってるのかな。でもいきなり切原赤也って知ってますか?って聞くのも不自然だし。
て、あれ?すっごい周りの人から注目を浴びてる。……そうかこの二人か。イケメン二人を両側において歩くなんて、私贅沢すぎる。何かごめんなさい。
「自分名前何て言うん?あ、俺は忍足謙也や」
『えっと、咲本ひなた……です』
「咲本か。で、はぐれた子の特徴はどんなんなん?」
「あ!」
「な、何やねん白石」
「……それ聞くの忘れてたわ」
「さっきまでどうやって探しててん……」
呆れ顔で言う謙也。そういえば赤也の特徴言ってなかった。
『えっと、髪は黒色の……なんて言うか、ワ……カメで、あと男で』
「ぶはっ!わ、ワカメって……!」
「ん?ワカメ?もしかして……。咲本さん神奈川から来たってことは立海生?」
『は、はい!』
「てことは立海の切原君か。咲本さん、はぐれた子の名前切原とちゃう?」
『そ、そうです!』
わ、分かってもらえた!良かった赤也の事知ってて。そして赤也の髪が特徴ある髪型で良かった!
「なんや俺らが知ってる人かいな」
「せやったな。咲本さん、切原君と連絡つかへんの?」
『その……はい』
「じゃあうちの学校来てオサムちゃんに立海に電話してもろて、切原君を四天宝寺に来させたらいいんちゃう?」
「ナイスアイディアや、白石!」
「やろ。で、どうや咲本さん」
『は、はい。すいません、あ……りがとうござい、ます』
********************
そして二人について行き四天宝寺のテニスコートに着いた。するとラリーをしていた部員達がラリーを止め、こちらに向かって来た。
「しらいしー!!遅いわ〜」
「ごめんやで金ちゃん」
「あら〜ん?蔵りん、その子蔵りんの彼女〜?」
「ちゃうちゃう。咲本さんは立海の切原君の友達や」
「部長に謙也さん、今日休みやなかったんですか」
「アホか!さっきメールで遅れるって言ったやんけ」
そして白石と謙也は部員に事情を説明し、白石は顧問の先生、オサムちゃんにも事情を説明しに行ってくれた。
「名前は何て言うん〜?」
『えっ……と、咲本ひなた、です……』
「あらーん!ひなたちゃん可愛いわ〜。私は金色小春言うねん。気軽に小春って呼んでくれると嬉しいわ」
『……は、はぁ』
「小春!浮気か!」
立海も個性的なメンバーばかりだと思ってたけど、四天宝寺も相当だよね。私、小春みたいなタイプの人と話した事ないからどう受け答えすればいいか分からないんだけど。……ていうか何が浮気だよ。そういえばこの人あっち系の人だったね、うん。
「そういや千歳どこおんねん」
「千歳ー?まだ来てないでー!ちゅーか、わいも自己紹介したいわー!」
「ひなたちゃん何年な〜ん?」
『い、ち……年です』
「わいと同じやん!わい遠山金太郎言いますねん。よろしゅうよろしゅう」
『あぁ、はい』
それから白石が来るまでずっと喋り続ける人達に、私は人見知りをして緊張が続いていた。
ドンドンドドドン
(早く帰りたい……)
(でもここの学校を偵察しに来たんだよね)
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