ストテニ
※アニプリ71話沿い
ストテニ場には、杏ちゃんと神尾に伊武、そしてリョーマと桃城がいた。
杏ちゃんはこちらに駆け寄るも、神尾と桃城は言い合いしており伊武とリョーマはグリップテープについて話し込んでいるようだった。
「ひなたちゃんラケット買ったのね!一緒に打ちましょう。……って、氷帝の忍足さん?ひなたちゃん仲良かったの?」
『えっ、と……』
「今日仲良うなってん」
「へぇー、そうなんですか」
やっぱり杏ちゃん可愛いなぁ。
すると「隣のコート煩い!」と何処かで聞いたことのある声に怒鳴られた。勿論神尾と桃城に向けての文句だと思うが。杏ちゃんもその声に反応し神尾と桃城の方へ向かって行った。
隣のコートからやって来たのは以前携帯ショップで会った観月と、そして初めて見る不二弟とだーねの人。名前覚えてなかった。ごめんなさい。
「隣のコート?」
「まだ気付かないの?よく見てよ、ほら」
増設したコートを杏ちゃんが桃城に教える。
すごい、コートが増えてる。
「増設したのよ。これならダブルスもシングルもやり放題よ」
「そっかぁ。それで……」
「ちっちっちっ。デートだよ」
と、二人のやり取りで杏ちゃんと桃城が付き合っているという誤解が生まれた。そして神尾がその誤解を解こうとルドルフの三人に必死に付き合っていないと否定する。
「なんや、おもろい光景やなぁ」
『はい』
少し離れたところから皆の様子を見ていた私達はこの状況を楽しんでいる。リョーマと伊武、不二弟……裕太は今から試合しようという話になっており、こっちもこっちでマイペースだなぁなんて思いながら見ていた。
杏ちゃんの方は四人の男に囲まれごちゃごちゃなっているし、いつ近付こうかななんて思っていると横から「使ってないコートで打とか」と忍足に言われ、こくりと頷いた。
「おや、貴女は……」
コートに近付くと観月に気付かれ話しかけられた。そして杏ちゃんと桃城を含め四人の視線も此方に向いた。
「あっ!咲本!」
「おっ、やっほー。氷帝の忍足さんもちわっす」
神尾と桃城が此方に声を掛ける。忍足は普通に返事をするも、私は人見知りが発動してしまい視線を逸らしながら軽く頭をぺこりと下げた。
「ひなたちゃん意外と顔広いなぁ」
『え、いやたまたま……』
「確か貴女は立海生でしたね。青学に氷帝に不動峰まで知り合いがいただなんて」
「誰だーね?」
「あぁ、立海生の一年の咲本ひなたさんです。僕は携帯ショップで偶然同じスマートフォンにしたものですから少し話をしたんですよ」
自己紹介しなくて済んだ。ありがとう観月、感謝するよ。そして観月は此方を向きだーねの人を紹介してくれた。
「彼は我が聖ルドルフ学院のテニス部員、柳沢君です」
「よろしくだーね」
『は、は……い』
「それで手塚君の容体はどうなったんです?」
「そいつは杏ちゃんの彼氏じゃねー!」
「当たり前だろうが!」
とまた言い争いが始まりため息を吐いた。忍足はそんな言い争いには目を向けず、「持ち方は分かるか」と聞いてきたので頭を縦に振った。
「桃、これは何の騒ぎ?」
新しい声が聞こえたので気になり振り向くと不二君が立っており、五人と話し込んでいた。
そして裕太がいる方に近付く途中に私と目が合った。
「咲本さんに忍足。こんにちは」
「おん」
『こっ……んにちは』
不二君は私達に挨拶をしてすぐ裕太の方へ向かうのかと思えば、私の手を取り裕太の方へ向かった。
『っ!?』
ど、どういうことなんだ。不二君の顔を見るといつものニコニコの笑顔。
「裕太も何やってるの」
「だってコイツが」
「俺の事?……あ、」
伊武と目が合い頭をぺこりと下げる。頭を上げると次はリョーマと目が合った。
「ふーん、アンタも来てたんだ」
ニヤリと笑うリョーマは何か企んでいる表情で思わず後ずさる。
「そうだ、咲本さん裕太の事知らないよね。僕の弟の不二裕太」
「よろしくな」
『は、はい』
そして、観月が先程から不二君に話し掛けているのに対し不二君はことごとくそれを無視する。その光景に頬を緩ませていると伊武に話し掛けられた。
「君、笑うんだ」
『そ、そりゃあ……』
「前は顔が強張ってばかりだったけど」
『え、っと、きん……ちょうして』
「そんなに俺達とテニスして緊張するもんなのかな」
伊武がぶつぶつと呟き出したのでスルーすることにする。
いつの間にか皆で試合することになり、観月が作ったくじでペアを決める。
桃城、神尾ペアと伊武、リョーマペアの試合。そして私、不二君ペアと忍足、裕太ペアの試合となった。
「よろしく、咲本さん」
『よろ、しく……お願い、し、します』
不二君とペアだなんて、めちゃくちゃ緊張する。足引っ張りまくりになるってば……!
ストテニ
(ドキドキドキドキ...)
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