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恐るべし二年生

「あーん?よく来たな立海」


き、来てしまいました氷帝に。

跡部様、跡部様がいらっしゃる……!他の氷帝メンバーも揃っててとても感動しております。


「今日はよろしく頼むよ、跡部」

「あぁ。……幸村、一ついいか?」

「丸井と切原に餌付けされている女は誰だ」

「は?」

わけの分からない顔をした幸村君が此方に向く。そうなんです、さっきからブン太と赤也にお菓子を食べさせられています。どうやら二人によると隣の席を仁王に取られたから私をからかえなかった、という事らしいが失礼ではないだろうか。小腹が空いてたからお菓子は美味しく頂いてはいるんだけど。あ、このクッキー美味しい。


「二人とも、止めようか?」

「「はい……」」

幸村君に叱られて両隣でしょぼんとする二人。か、可愛い。


「で、跡部。以前鳳君に面白いものを持って行くと伝えたんだけど、君に伝わったかな?」

「あぁ、聞いた」

「この子の事だよ。うちのマネージャー」

「あぁん?立海にマネいたなんて初耳だぜ」

「うん。この間入ったばかりなんだ。良ければ自己紹介してあげてくれないかな?」

「まぁいいが、使えるのかその女は」

「まぁね」

すると幸村君が手招きするので近づくと、跡部や他の氷帝メンバーの視線が集まり、緊張がピークに達する。

跡部を目の前にすると威圧が凄くて、つい地面を見つめて後退りしてしまう。見えているのは跡部の脚と地面のみ。多分今いる全員が私を見ているだろうから顔を上げることが出来ない。

しかし顎を持たれ無理矢理顔を上げさせられる。驚いて目を見開くと目の前には跡部の綺麗な顔があって頭が真っ白になった。


「部長の跡部景吾だ」

『…………っ、』


「……?俺に惚れちまったのか?あーん」

『むむ……っむむ、むりでで、すっ……!!』


顔を激しく左右に振ると持たれていた顎が自由になり、即座に一番近くにいた幸村君の後ろに隠れる。立海のメンバーはこんな事しない…!

幸村君から「フフッ」と笑い声が聞こえたが今はそれどころではない。


「咲本には刺激が強すぎたようだな」

「なんだ、男慣れしてないのか?」

柳の一言に跡部が反応する。

「それもあるが、こいつは人見知りが激しい上に男が苦手だ」

「そんなんでマネしとるんかいな」

ここで初めて忍足が口を開いた。あぁ……色気がたっぷりな低い声。ぼそりと呟いた忍足の言葉はぐさりと刺さるが、本当何で私マネしてるんだろうと思う。


「……まぁいい。先に合同練習をしてから試合をする、それでいいか幸村」

「うん、いいよ」


「あと、名前ぐらい教えろ」

私を見て話していることから、話しかけられていることに気付く。幸村君を盾のようにし、顔だけひょこりと出し口を開く。

『……咲本、ひなたで、す』

「咲本か。おい日吉、咲本に部室の場所を教えてやれ」

「……分かりました」


ひ、日吉……。この人確か無口だったよね。話さなくていいから良かったのか否か。

そして跡部と幸村君に続きレギュラー達は荷物を置きラケットを出す。日吉は一人コートとは違う方向に向かうので、ついて行った方が良いと判断し日吉の後を小走りで追う。




********************


「ここが部室……、あんた何年だ?」

敬語かタメ口かで迷ったのかいきなり学年を聞いてきたので、一年だと答えれば日吉は視線を部室に戻し部室のドアを開けた。
部室の中は流石氷帝と言えばいいのか、立海より遥かに大きい。


「ここの粉でドリンクを作ればいい」

『は……は、い』

返事をすれば日吉は何か言いたそうな顔をしたので、じっと見ていれば日吉と目が合った。


「……そんなに緊張しなくてもいい。ちゃんと仕事をしてくれるなら文句は言わない、だから普通にしろ」

『……ありがとうございます』

冷たい人間だと思ってたのに何か優しい。ここへ来て緊張しぱなしだった私に日吉の言葉はとても安心する言葉だった。

思わず口元が緩むと日吉が私の頭を撫でた。

『……?』

「いや、つい撫でたくなっただけだ」




「あああアンタら何してんだよ!」


いきなりガチャリと部室のドアが開く音が聞こえたかと思えば大声でそう言われ、二人して視線を向けるとドリンクの入れるボトルを持っている赤也が立っていた。


『え、っと?』

「ドリンクを作る場所を教えてただけだが?」

「今、日吉がひなたの頭撫でて微笑み合ってたじゃねーか!」

「何が悪いのか分からないな」

「〜っ!つーか、近いんだよ!」

と言ってボトルを床に置きズカズカと此方に向かってくる赤也。ど、どうしよう何か怒ってる。


赤也は私の腕を引こうと手を伸ばすが、日吉が私の腕を引き赤也との距離が離れる。いきなり腕を引かれた私はよろけ、日吉の腕の中に収まる。

『っ!?』

あれ、え?何が起こってるの?日吉に軽く抱き締められて……!?あわわわわっ!離れないと!

激しく混乱した私は謝りながら日吉から離れ自分の足で体重を支える。


「チッ。ほんとムカつく奴だな」

「ハッ!何とでも」

「……潰してやる!」

「フン、上等だ……と言いたいところだが生憎今回俺とお前は試合で当たらない」

「っチクショー!!」


「じゃあ俺は練習に参加してくる。まぁ頑張れよ咲本」

頑張れってドリンク作りですか!?それとも赤也を宥めるのをですか!?



「……ひなた」

『は、はひぃっ!』

「ぜってぇ日吉には近づくなよ!」

『ははははいっっ!!』


こここ怖いよ!目 充血しかけてるし。


「あ、あとこれ立海のボトルな」


ポイとドリンクの入れるボトルを数本私に手渡し、俺も練習負けてられねぇ!と部室を飛び出して行った。

…………何だったの。




恐るべし二年生


(でも日吉が優しくて安心した)


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