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みんなに相談


う、嘘だろ。私がマネージャー……?

あの後混乱状態で帰宅した私はまだ現実を受け入れられないでいる。確かに立海のメンバーには少し慣れてきたとはいえ、練習試合の相手校がひょ……氷帝だなんて。それならまだ顔見知りの青学の方が良かったというか……。

それに氷帝はある意味変人揃いというか、何と言ってもあの跡部様がいらっしゃる学校。





……絶対無理!!



よし、断ろう。
幸い今日は月曜日だ。日曜日までまだ何日もある。幸村君は聞いてくれないとして聞いてくれそうな人……。


ここはお母さん(仮)に頼もう。




********************

次の日。


「珍しくお前が三年の教室に来たかと思えば昨日のことか」



『はい。男が多い場所に行くなんて、むむむ無理です』


「もう少し咲本は男慣れしないと駄目だ。自分の為だと思って頑張るんだ」

『うぅ……でも』

「でもじゃない。……それに咲本ならうちのマネージャーを任せられる。期待しているぞ」

『あ、……はい』

そこまで言われたら断れないじゃないか。最後の言葉は照れくさいし。


「まぁ個性的な氷帝のレギュラーに戸惑うお前を見てみたいっていうのもあるがな」

『!……お、お母さんのバカー!』


柳のドS!柳の教室のドアを勢いよく閉め、自分の教室に向かい廊下を早歩きする。教室出る時に大声を上げたため、沢山の人に見られて顔から火が出そうだ。



どどどうしよう。他に誰が聞いてくれるかな。真田か柳生だったら聞いてくれそうだけど声掛けづらいし。あれ、この二人って確か同じクラスだったような……。


********************


次の休み時間に三年A組に行くと嬉しい事に、真田と柳生は廊下で話していた。……しかし二人だけではない。

隣のクラスでもあるブン太と仁王も一緒にいる。四人、か。そんな多い人数に声を掛ける勇気はないので、その場から去ろうとすると案の定ブン太に見つかる。


「ひなた!三年の階で何してんだ?」

『うっ、あの、昨日の……ことで』

ブン太に手招きされたので返事をしつつ仕方なく四人に近づく。廊下にちらほらいる三年生の視線が痛いです。とてつもなく痛い。


「昨日の……あぁ、マネージャーの事ですか」

『その、自信……がない、ので』

「そうか。では今日からマネージャーの仕事を練習したらどうだ?それなら自信もつくだろう」

「それは良い考えですね」

そっちですか!

『いや、でも』


「まぁこのお菓子でも食べて我慢しんしゃい」

『えっ、』

ぽいと手に渡されたチョコやら飴やらのお菓子。ど、どうすれば……。


「な!?仁王!それ俺のお菓子じゃん。返せ!」

「そんな食い意地張ってたら太るぜよ」

「うるせぇ!」


ハァ、この二人は騒がしいな。真田と柳生も変な方向に話をもっていくし、どうやって断ればいいんだろう。自分がもっと明るい性格で言いたい事をしっかり言える人だったら良かったのにな。……今更だけど。


「咲本。では後で幸村に言っておく」

「放課後、体操着でテニスコートへ来て下さいね」


『え……。あ、あの』

「もう直ぐチャイムが鳴るな。咲本、早く自分の教室に戻った方がいい」

「仁王くんも丸井くんも早く戻りたまえ」



そして四人は自分の教室に戻っていった。



やってしまった……。


日曜日だけのマネージャーが今日からになってしまった。いつ間違えたんだろう。あぁ、どうしよう。残念な事に今日は体育があるからジャージを持ってきている。


チャイムが鳴るまでに教室に戻れるように少し急ぎながら歩く。……そういえばまだいるではないか。外見は少し怖いけど中身はいい人だということは知っている。




********************



「桑原君、あそこで一年生がずっと桑原君の事見てるけど」

「え?……あぁ、咲本。何してんだよ」


廊下から顔を覗かせていると、教室にいる女子が私の存在をジャッカルに知らせてくれた。ありがたや。

するとジャッカルは席を立ち、苦笑いで此方に近づいて来た。


「咲本がうちの教室に来るなんて珍しいな。てか初めてか。どうしたんだ?何か用か?」

『あっ、あの、実は……』


ジャッカルに思い切って今日のことを途切れ途切れだが全て話すと、時々苦笑いをしつつもちゃんと最後まで聞いてくれた。あぁ、ジャッカル良い人。



「……今日は大変だったんだな。とりあえずお疲れ」

『うぅ、はい』

軽く頭を撫でられ鼻がツンとして泣きそうになったが、何とか堪え返事をした。

「じゃあ咲本はマネージャーするのが嫌なのか?それとも俺たちが嫌いか?」

『え、いやその……し、真剣にテニスをしてる人達に迷惑を……かけたく、ないというか……。嫌い、ではない、です』


「大丈夫だって。そんな悩まなくたってよ。それに日曜日迷惑をかけない為に今日からマネの仕事を勉強するんだろ?」

『、はい』

「じゃあ頑張れよ。なっ?」

『……ズビッ。……がん、ばります』

「えっ?な、泣いてんのか!?」

『ちゃ、……ちゃいます』

「何で関西弁」

『すい、ません。ありがとう、ござい……ました』

「あ、あぁ。じゃあまた後でな」

『……う、む』



こくりと頷きその場を後にする。ジャッカルの「うむってなんだよ」と笑いながらボソリと言った呟きは聞かなかったことにしよう。


何か吹っ切れたような、そうでないような……。
とりあえず頑張ってみることにする。近くでテニス技を見れるという嬉しい特典がついてくるんだ。うんそうだ、ポジティブに考えよう。不思議と教室に戻る足取りは軽かった。




みんなに相談


(あ、次体育だ。早く行かないと)

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