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正反対な二人とファミレス

さて、どうしようか。
今日は土曜日。先週迷惑をかけた青学にお詫びの品を渡さなければならないのではないかと思い、考えているところだ。

タオルは用意されているだろうし、ドリンクも同じだ。……手作りは重いか。手作りっていっても何を作ればいいか分からないし。


『あぁぁぁぁ!!何を持って行ったら良いんだー!』


私以外誰もいない部屋に声が響く。昼には青学に行った方がいいし、早く持って行くものを決めなければといけない。


相手は中学生だ。中学生が差し入れを貰って喜びそうなもの…………アイス?

しょうがない、アイスを持って行こう。何も持って行かないよりはマシだ。


『レギュラーだけっていうのも悪い気がするなぁ。というか青学って何人いるんだろう』


沢山買って行けばいいか。
お詫びの品が決まった私は早速東京に行く用意をした。先週はすいませんでしたと謝り、お詫びの品を渡して帰る。

よし、頑張ろう。もうドキドキしてきた。






********************



「ラッキー!女の子はっけーん」

あれ、この声どこかで聞いたことあるなぁ。
……まぁいいか。とりあえずお腹減ったからお昼を早く済ませよう。そしてアイス買って青学に行こう。


「ねぇねぇ君 今暇?良かったら俺とデートしない?」


ナンパしてる人の言葉聞くのって初めてかもしれない。相手の人可哀想だなぁ。でもどうやって断るか気になる。


チラリとその声の方を見ると此方に笑顔を向けていた。何故此方を向いているのか分からず、目が点になり混乱した。

えぇっと、この人千石だよね。亜久津と同じ山吹中の人だよね。まぁいいか。見れただけてもラッキー……なんて。


「あれー?君だよ、君を誘ってるんだけどなぁ」

肩を掴まれようやく気付いた。私を誘ってるのか。こんな美人でもないやつに話しかける訳ないだろうと思いずっと無視してた。


『あの……私、ですか?』

「そうだよ。ほら、周りに君しか女の子いないでしょ?」

そう言われ周りを見ると本当に女は私だけだ。他はサラリーマンがチラホラいるぐらい。

……ん?もしかして私、普通に失礼な行動をとってしまったのではないだろうか。


『すいません』

「え?ダメかぁ」

『あ、いや……』

そうではなくて、失礼な行動をとってしまったことに対する謝罪だったんだけど。




「おい何してんだテメェは」

『「えっ?」』

「亜久津じゃん。君から話しかけてくるのは珍しいねー」

「テメェじゃねぇ」

「ん?もしかしてこの子と知り合いだったりする?」

亜久津の方へと向けられていた顔が此方に向く。二人の視線で死にそうだ。


「……おい」

『は、はい!』

「昼飯食ったか」

『い、いえ!』

「……付き合え」


くるりと背を向け近くに見えるファミレスに向かう亜久津。
断ったら怖いし、それに前に奢ってもらったお礼もしないといけないし。しょうがないついて行くか。

「君どこで亜久津と知り合ったの?」

どうやら千石も着いてくるみたいだ。
亜久津の後ろを着いていく私の横を歩きながら話しかけてくる。
軽い男の人は真面目な……柳生みたいな人よりは話しやすいと思う。相手からの質問ばかりだから。


『あっ、アイスをつけてしまって……』

「うわ!それは災難だったね。大丈夫だった?」

『あ、はい』


見た目の怖さに比べて亜久津って優しいんだよね。そう話しているとファミレスの入り口まで来ていた。


「テメェも付いてくんのか」

「うん。俺も腹減ってんだよねー」

「チッ」

二人の会話を聞きながら店員さんに席を案内してもらう。何故か千石と横になり、亜久津とは正面になった。
うぅ、耐えられない。二人が横になればいいじゃん。……いや、そしたら二人の目線が此方にくるし。ハァ、何この圧迫感。


「……ひなた」

『は、はい!』

「立海生だったな。何で東京にいんだ」

『えっと、用事で』

というかそれ言ったら亜久津と出会った場所、神奈川だからね。


「ひなたちゃんっていうんだ。
俺は千石清純。亜久津と同じ山吹中。よろしくねー」

『あ、はい。咲本……ひなたです』


「おい、用事って何だ」

「東京に知り合いでもいるの?」

うーん。これは正直に言った方がいいのかな。いやでもこれからアイス買って行かないといけないし。でもこんな二人の視線に耐えられないし、そのうち1人は凄い目つき悪いし……。


『せ、せせ青学に……アイスを』


頭の中で言葉を整理出来ず、意味不明な言葉を発してしまった。亜久津は眉をしかめ河村のいるところかとぼそりと呟き、千石はキョトンとした顔をしている。






結局始めから先週あったことを説明することとなった。二人とも黙っていて何かを考えている様に見えそして二人同時に、そうかと呟いた。



昼ご飯を食べ終わり伝票を持ちレジに向かうと、千石が奢ると言い出したので全力で遠慮した。また誰かに奢ってもらうなんて申し訳ない。しかし千石の方が強情な性格だった為、奢ってもらう事となった。


『すすすすいません。その……奢ってもらって』

「いいよいいよ。こういう時は男が出すもんでしょ」

「じゃあ俺の分も奢れや」

「俺は女の子しか奢らないんですー」

「チッ」

『あ、あの』

「あ?」

『この間 け、ケーキありがとうございました』

「……あぁ」


よし、亜久津にもお礼言えた。そろそろ青学に向かわないと行けないので、二人にでは失礼します、と言い走ってその場を後にした。


よし、今から青学へ向かうぞ。




正反対な二人とファミレス



(……あーあ、俺も一緒に青学行くって言おうと
思ってたのに。早いなぁ、ひなたちゃん)
(チッ……)


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