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挨拶運動は要注意

『ただいまー』

青学から我が家へ戻ってきました。

あの後ブン太と電車に乗って帰ってきた訳だが、なんて言うか凄く青学に迷惑をかけたと思う。


私もブン太も二人して倒れたのに、あんまりお礼言えてないし帰る時だって手塚や竜崎先生に挨拶してないし。



『どどどどうしよう!
やっぱりなんかした方がいいよね。
差し入れとか……!
いつ行こう!明日?いやいや、来週かな』


あぁぁぁぁぁ!今から緊張してきた!

そ、それにしてもブン太早く青学から出たがってたなぁ。
何か用事でもあったのかな。



するとインターホンの鳴る音が聞こえた。
誰だろうと思いながらドアの方へ向かう。



『はーい』

「やぁ咲本さん」


『ぅえっ!?えーとその……どうされましたか』

な、何故幸村君が……!!



「うちの母から咲本さん家にお裾分け。作り過ぎちゃったみたいでさ。」

『あああありがとうございます!』

お礼を言いながらタッパーを受け取る。
良かった、夕飯何も作ってなかったから助かった。ありがとう幸村母。


「家の人は……まだ仕事かい?」

『えっと、一人暮らしで』

「親は今どこに?」

『その……い、いません』

すると幸村君は黙って俯いた。
どどどどうしよう、変な気を使わせちゃったかな?
海外にいるとか言ってた方が良かったかもしれない。


「よしよし。たまにうちにおいで」

『え、あの……ありがとう、ございます』

あ、頭撫でられた。
この頃撫でられることが多くて困る。
恥ずかしくて死ぬ。


「じゃあ、また学校で。
あ、でも困った事があったらいつでも言ってね。家向かい側だしさ」

『ありがとうございます』


幸村君優しいなぁ……。
ぺこりと頭を下げて幸村君が家に入るのを見届けると私も家に入った。



『なんか忘れてるような……あ!罰ゲーム!』

ゲームって言う程軽いものじゃないけど……ブン太上手く言っといてやるって言ってたけど大丈夫かなぁ。









********************



昨日は家でゆっくりしてたら、あっという間に月曜日。

校門を抜けた所には真田が仁王立ちしているのが見えた。
えっと、風紀委員かな?
皆風紀委員に挨拶してる……。
私も挨拶した方がいいよね?


『お、おはようございます……』

「もっと腹から声を出さんかー!」

『ひぃっ……!』

「!お前は確か幸村に正座されられていた……」

『咲本……で、す』

「そうか咲本か。
さっきみたいな挨拶では礼儀として駄目だ、もう一度言ってみろ」

『おおおはようございます!』

「もっとだ!」


えぇぇぇ!もうやけくそだ!


『おはようございます!!!』

めちゃくちゃ大声出した。
前に部活でやってた声出しみたいに。
真田は一瞬目を見開いたが、少し口角を上げて、おはようと返した。

その後周りの人に見られていることに気付いて顔が火照った。
うぅ……、早くこの場から逃げよう教室行こう。






********************



「あ!おはようひなたちゃん」

『お、おはよチーちゃん』

「今日は風紀委員の挨拶運動だったねー。
大丈夫だった?」

『大丈夫じゃなかった……』

「え、真田先輩に捕まったの?」

と笑いながら言うチーちゃんに少しイラっとしながらも首を縦に振る。


「私もさぁ風紀委員の挨拶運動初日に怒られてさ、怖くて怖くて。
それから大声で挨拶してるよ」


怖いよねぇ真田先輩、と付け足す。
確かに威圧感のある人だった。

「ひなたちゃんも気を付けなよー」

『はーい』


返事とほぼ同時にチャイムが鳴った。
一時間目は何だったかな。


「英語だよ、英語」

『あれ口に出てた?』

「次の授業なんだろって顔してたよ」

『おぉ、すごいね』


表情で読み取れるなんて……しかも基本無表情な私を。チーちゃんエスパー!





授業は四時間目まで進みやっと昼休みになった。

『ふぅお昼だー!』

「食べよー!」

朝から頑張って作ってきたお弁当を開ける。
はー、お腹減った。


「そういえばひなたちゃん先週、丸井先輩に連れられてテニス部のレギュラーとお昼食べてたよね!どうだった?」

『あー……えっと、緊張した』

「レギュラーの誰かと知り合いなの?」

『ううん全く。
あれ、何でお昼一緒に食べさせられたの?』

「いやこっちが聞きたいわ」

『んー……』

「まぁいいわ。
ていうかもっとひなたちゃんの話が聞きたいのよ私は!
あんまり自分の事話さないし」

『そうかな。あ、じゃあこの弁当私が作ったんだよ』

「え!ほんとに!?うわぁ美味しそう。
良いお嫁さんになれるね!てか私が貰う」

『いやいや全然だよ』

「よし!じゃあ私からひなたちゃんにいっぱい質問すればいいんだ」

『え、うん』

何質問されるんだろう。

「付き合ってる人はいる?」

『いないよ』

「じゃあ好きな人は?」

『いないー』

「じゃあ好きなタイプは?」








昼休みが終わるまでチーちゃんに質問攻めにあって、少し疲れた私なのであった。
何か作文みたい……。




挨拶運動は要注意


(毎回あんな大声で挨拶しないと駄目なのか)
(恥ずかしくて死ぬ)


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