それで結局
ブン太が倒れ、テニプリの主人校の青春学園のテニス部を見学する事になった私、咲本ひなたは只今凄く興奮しております。
あ、私の見学に関してはさっき乾と不二君の後ろについて行き、顧問の竜崎先生と部長の手塚の了承を得た。
今は休憩中なのでまだテニスは見れないけど楽しみだ。
よっしゃぁぁぁぁぁあ!!
青学ぅぅぅぅう!!
こんなテンションの上がっている私ですが、表情には一切出ていません。
き、緊張して表情が強張ってるんだよ。
ーーーーむに。
『……!?』
頬をむ、むにって!誰かに……!!
だだだだ誰?
チラリと横を見ると菊丸英二がいた。
えぇぇぇぇ!?何故っ!
「緊張してるのかにゃ〜?
それとも何か怒ってるの?」
『ききき緊張、です』
そっか〜、と言いながらまた頬をつついてくる。
ど、どうしよう。
止めてって言った方が良いかな。
そのうち飽きるかな、うーん……。
「英二何してるんだ?」
「立海のマネの頬をつついてたよん」
お、大石だ。
丸い……頭が、感想がそれしか出てこない。
「あぁ、さっき手塚が言ってた子か。
今日はよろしく」
『は、はい!』
「自己紹介がまだだったね。俺は大石秀一郎」
『咲本ひなた……です』
「ひなたちゃんか〜!俺は菊丸英二!
あ、ひなたちゃんおチビと同じぐらいの身長じゃない?」
「言われてみればそうかもしれないな」
おチビってリョーマのことだよね。
そういえばさっきは私は屈んでいたから分からなかったなぁ。
「あ、いたいた!おーいおっチビ〜!!」
「何スか?」
ドリンクを飲みながらスタスタと此方に歩いて来る越前。
「ちょっとここ立って!」
「ハァ……?」
「それで」
『えっ!わわ!?』
英二は私の両肩を掴んでリョーマの横に並ばせる。
うわ、一気に体温が上昇した……!
「越前の方がちょっとだけ低いんじゃないか?」
「ほんとだにゃ〜」
「……」
私の方が身長高いのか……!
テニプリの主人公よりも高いって何か勝った気分。
軽くガッツポーズをするとリョーマはそれが見えたのか、口を尖らせ私の髪を軽く引っ張った。
『っ!?』
「こらやめないか越前」
「ちぇー」
大石の言葉によりリョーマは私の髪から手を離す。
「アンタ立海のマネなんだよね。
テニス出来る?」
『ちょっと……なら?』
硬式はさっき始めたばっかりだけど。
ていうか身長が負けたことを気にしているのか、何が何でも何かに勝ちたいのかな。
テニスだったらリョーマは私に勝つことが出来るし。
「ふーん。ねぇ勝負しようよ」
やっぱりそうか。
でも手塚が許すわけないしね。
「駄目だ」
「一ゲームでも駄目っスか」
「駄目だ」
「ちぇー」
流石に部長には逆らえないよね。
「そうだアンタ名前は?」
『えっと咲本ひなたです』
「あっそ」
そして背を向け去って行くリョーマ。
き、聞いといて……!!
ちょっとイラっときた。
しかも自分は名乗らないなんてどういう事だよ。
元々私は知ってるからいいけど、失礼だろ!
『すいませんあの、手塚先輩』
「何だ?」
『休憩時間の少しの時間で良いので試合させて下さい』
「いやしかし……」
『お願いします。あのチビがムカつくんです!』
「!!……にゃろ」
リョーマを指差しながら言うと、この場の空気が固まった。
「フフッ、手塚。させてあげたら?
あ、そうだ君には僕のラケット貸してあげるよ」
『ありがとうございます』
不二君のラケットを手渡される。
その時に不二君から、越前ツイストサーブ打ってくるよと耳打ちされた。
大丈夫、左利きの事も知ってる。
きっと初めは右で打ってくるだろう。
「……ハァ、一ゲームだけだ」
手塚が頭に片手を当てため息まじりで言った。
そしてリョーマと私はコートに入る。サーブ権は私。
「後で泣いても知らないから」
『……』
誰が泣くか。
正直テニプリの主人公になんて勝てるわけないけど、私の中で意地でも勝ってやるという気持ちが強い。
一心不乱。
そうだ、何も考えちゃ駄目。
集中してテニスをする。
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おい!ひなた!
「ひなた!!」
『!!』
目の前にブン太!?
……ってあれ、何で?
「お前大丈夫か?」
『何で丸井先輩が?』
そういえばさっき乾汁飲んで倒れて……で私何してたんだっけ?
「ひなたちゃん大丈夫かにゃ〜?」
「まだぼーっとしてるな」
英二に大石?心配されてる……。
「ひなたちゃんさっきのこと覚えてる?」
『い、いえ』
「えっと咲本だっけ?
わ、わりぃ!
俺のボールがお前の頭に当たったんだよ」
『えっと……』
突然の桃城の登場と謝罪に混乱する私に大石が説明をしてくれた。
「さっきの状況を説明すると、
越前と君が試合してる途中に桃が打ったボールが当たったんだよ。
君すごく集中してたから全然気づかなくてさ」
『……あ!』
そうだ、私リョーマと試合してたんだった。
「俺が戻って来たらお前倒れてるしさ焦ったぜ」
『す、すいません』
何もなくて良かったぜぃ、と言って私の頭を撫でる。
顔が火照る……。
「んじゃ帰るぜぃ」
『あ、はい』
「今日はドタバタしたけど、また会おうねひなたちゃん!」
「今日はあんまり動かない方がいいよ」
『ありがとうございます』
それで結局
(リョーマとの勝敗は)
(どうなってたんだろう)
(どうせボロ負けだっただろうな)
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