Noウェイ!?とりっぷ | ナノ
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選択肢

不動峰の二年生三人組にテニスを教えてもらって二十分が経とうとしていた。

「へぇー咲本上手いな!
もうラリー出来てんじゃん」

やった、神尾に褒められた。

トリップ前はソフトテニス部で頑張ってたからね!
硬式と軟式ではボール重いしラケットも少し違うけど、なんとなく出来る。



すると横で伊武とラリーをしていた杏ちゃんがラリーをやめて話しかけてきた。


「そろそろゲームしない?」

するー!と元気良い声がネットを挟んで向こう側のコートから聞こえたので、私は何度も頭を上下した。


ゲームしたかった!!





そして二チームに分かれた私達。
何故伊武となんだ。


「何で君とペアになったんだろ。
……ハァ」


こっちがため息つきたいっ!

「後衛するから」

そうですね私が前衛します。
やだなこの人苦手……。

あっちのペアは楽しそうだないいな。
ペアにチーム名みたいに名前をつけるなら、あっちのペアは元気ペア。
そしてこっちはノット元気ペア。

……自分で言ってて悲しくなってきた。



「お互い頑張ろうね!ひなたちゃん。
今日始めたばかりだしルールで分からないことがあったら言ってね!」

『あ、ありがとうございます』



こっちのペアがサーブ権を取り試合が始まった。
後ろにいる伊武からサーブをする。


「……」

『ぎゃっ!』


いいいい今凄いスピードで私の横をボールが通過したよ!?

いやいや今はそんなこと気にしてられない。
試合の最中だからね、集中集中。


神尾と伊武のラリーが続く。
杏ちゃんをチラリと見ると打てる時を狙っている。因みに杏ちゃんも前衛。

あ、一歩踏み込んだ。ってことは私も……


「えい!」

『っ!』

「なっ!?」

杏ちゃんのボレーを狙って返すことに成功した。よし点取れた!



『……ってあれ?』


皆がすっごい呆然としている。

「ひなたちゃんすごい!!
本当に初心者なの!?」

「すげー!咲本やるじゃん」


『ありがとうございます!』


えへへ嬉しいな。

そしてボールを取りに前まで来た伊武が、「……ナイスボレー」とぼそりと呟いた。

や、やった伊武にも褒められた。












それから神尾と伊武の技を間近で見ることができ、私も少しだけど決めることが出来て、
あっという間にゲームが終わった。




「あー、ひなたちゃん強かったわ。
テニスの才能あるんじゃない?」


と杏ちゃんが腕を上に伸ばしながら言ってきたので、「そんなことないです」と頭を横に振りながら答えた。




テニスはまだやりたいが、折角東京に来たのだからこの人たちとはお別れしなくてはならない。


……どう言おう。
あ、とりあえずラケット返さないと。


『あ、あのラケットありがとうございました』

「えっ?……あ、そうよね。
ひなたちゃん神奈川からきたんだから、色々周りたいわよね」

『す、すいません』

何謝ってんだよ、と神尾は私の背中を軽く叩き言葉を続けた。

「テニス楽しかったぜ!
また一緒にやろうな!」


『あ、りがとうございます……!』


「……また来てもいいから」

『は、はい!』





もう一度お礼を言ってその場を後にする。
久々にテニスができて楽しかったなぁ。
不動峰の三人も良い人で良かった。

またテニスしたいし、私もラケット買おうかな……。
うーんどうしよう。









元来た道と反対方向に足を進める。
すると、後ろから声が聞こえた。


「ひなた!!」

『え"……?』



ぶぶぶんぶん……ブン太!!
遠くの方から此方に走ってくるのが見える。



1.聞こえないふりして逃げる
2.お菓子を投げて逃げる
3.全力で逃げる




よし三番!全力でダッシュする。



「んなっ!またかよ!」



ブン太も後ろから走って来た。



何かデジャヴ……。



これはまたあの時と同じで、



『やっぱりもういるー!!』

「当たりまえだろぃ!
テニス部なめんな!」


直ぐに追い付かれて腕を掴まれた。
くそぅ、やっぱり無理か。



「俺見て逃げんな!
俺、お前に何もしてねーだろぃ」

『うっ、すいません』


確かに何かされたわけじゃないんだけど、
ブン太を見ると逃げたくなるというか。




「あとさっきも逃げてただろぃ。見えたぜぃ」


さっき…………あ、ケーキバイキングの前にブン太がいたのを発見した時か!
そういえば逃げたな。
気づかれてたのかー……ってあれ?


『ま、丸井先輩。あの、その部活は?』


確か休日でも部活はあるはずだよね?


「今日は偵察!
ついでにケーキバイキング食いに来たぜぃ」


それってダメじゃん。
絶対偵察する気ないだろ。

王者立海も偵察するのだろうか?



『偵察す、するんですか?』


「部員には偵察して来るって言ってきたけど、
今日は新しくオープンしたケーキバイキングを堪能したくてよ。
まぁ、サボってきたぜぃ」

決めポーズのウインク&ピースをするブン太。
レギュラーが良いのかそれで。







『……チクります』

「なっ!?ちゃ、ちゃんと偵察行くって!
ほらひなた暇だろ?
一緒に行こうぜ!」


『いいい嫌です!』


「じゃあクレープ奢ってやるから」


クレープはこの前食べてひどい目にあったのでいりません。

『嫌です』





「あ!そういえば、幸村君から赤也と仲良くしろって言われたんだろぃ?
上手く言っといてやるからさ!」


『うぅ…………















よろしくお願いします』



「決まりな!」




くそぅ……、赤也と仲良く出来る気がしないからお願いする。




『あの、偵察ってどこに?』

「あぁ……いや、ついてからのお楽しみってことで」




選択肢


(さっきから気になってたんだけどさ)
(何でそんな汗まみれなんだ?)
(えっと……ちょっと走ってました)
(は?)


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