Noウェイ!?とりっぷ | ナノ
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女子会

今日から数日の間、合宿の見学会があるらしく学校関係者が呼ばれていた。こんな山奥に来るの大変だろうなぁ、なんて思いながら私は参加者の受付をしている。

見覚えのある監督達がぞろぞろとやってくる中、制服姿の女の子二人がその中に紛れて歩いてくる。

「……咲本さん?」
「へ、……あ、竜崎さん」
「え!? ここでバイトしてるの!?」
「そ、そんなところ、です」

青学の桜乃ちゃんと朋ちゃんだ。彼女達に会うのは学祭振りだ。驚いた二つの顔に何て説明しようかな、と迷う。

「友達? 少し早いけど交代にしようか。案内してあげなよ」
「あっ、ありがとうございます」

齋藤コーチに声をかけられて席を立った。コーチの身長の高さに二人とも驚いて口をあんぐりと開けていた。

「「……」」
「あの、もしよかったら案内しても良い、ですか?」
「勿論! ありがとう」
「ありがとう。それにしてもここでアルバイトできるなんて関係者の中に知り合いでもいるの!?」
「コーチと母が知り合いで。……えっと、どこから案内したら良いかな」
「それは勿論、リョーマ様が練習してるコートよ!」
「と、朋ちゃん……」

彼は確か二番コートだったはず。それにしてもこの二人ってやっぱりブレないなぁ。コートまでの道で色々と話している間に二人とは名前で呼び合うことになった。とても嬉しい。

それと、ここにするはずだった竜崎先生はぎっくり腰になってしまい、代わりに桜乃ちゃんと朋ちゃんが来たらしい。来ていたのが監督ばかりだったので不思議に思っていたけど、そういう事だったのか。


二番コートまで案内すると、コートの周りにはすでに多くの人集りが出来ていた。二番コートのメンバーが真剣に練習している。

「あっ! リョーマ様!!」
「リョーマ君!」

二人の声に気づいたリョーマは「あっ」と声を漏らし、それに気付いた青学の人たちが二人の周りに集まっていた。


「受付してたんちゃうん」
「……してたんですけど、今は二人の案内係してます」
「へー」

こうやって財前から自然に話しかけられるのも、普通に返せるのもこの前の一件で親しくなったからだと思う。

「練習、しないんですか?」
「周りがやかましくて気が散んねん」
「うーん。今日は仕方ないですね」

「咲本ー! 何してるん?」
「わっ、金ちゃん。えっと、あの子達の案内かな」
「そうなんや!」

金ちゃんともテニスをしてから仲良くなって、気楽に話せるようになった。四天宝寺中の人達、初めは苦手だったけど優しい人多いんだよなぁ。
ニコニコしてる金ちゃんはまるで太陽のようだな、なんて思いながら光る汗にタオルを差し出した。

「汗、すごいね。タオルよかったら使う?」
「おおきに! あーあ。ずっと咲本ここにおってほしいわぁ」
「えっ」
「良いなそれ。マネージャーしたらえぇやん。このコート限定で」
「ええっ!? わ、私、監視役なので。……れ、練習戻って下さい」
「あ! コシマエと試合する約束あるんやった!」
「それ毎日言ってるけどやってへんやん」

そうなんだ。金ちゃんかわいそうに。


********************


「女子会しましょ」
「えっ」

夜、私の部屋にパジャマ姿でやってきた桜乃ちゃんと朋ちゃん。今日来た関係者達は合宿所に泊まる事になっている。勿論この二人もだ。

「ごめんね突然。迷惑だったら帰るから……!」
「あっいや、全然、嬉しい。どうぞ入ってください」
「じゃあお邪魔しまーす」
「お邪魔します」

一つのベッドの上に皆で座って、女子会が始まった。女子会……、女子会かぁ。ここに来てから女の子に囲まれるってことなかったから自然と頬が緩んでしまう。

「何喋る?」
「女子会といえば、恋バナに決まってるでしょ!」
「恋バナ……。二人は好きな人いるの?」

リョーマってことは分かってるけど。

「勿論、私達はリョーマ様一筋よ! ね、桜乃」
「……」

桜乃ちゃんは顔を真っ赤にしてコクリと頷いた。かわいいな、女の子って感じ。

「ひなたちゃんは、立海の人と仲良いよね」
「えっ、うん。そうだね」
「柳先輩か幸村先輩と付き合ってるって噂、今日先輩達から聞いたわよ!」

先輩達って青学だよね。二人に何を吹き込んでくれたんだ。

「それで、どっちと付き合ってるの!?」
「どっちも付き合ってないです……」
「えー!?」
「じゃあ気になる人はいるの?」
「えっと、多分。……あの、好きな人ってどんな感じなんでしょうか」

中学生にこんなこと聞くなんて私恋愛経験無さすぎだ。驚いて二人はお互いの顔を見つめ合っていた。

「そりゃあ話すと嬉しかったりするけど、他の女と話してたら嫉妬したりするかも」
「一緒にいるとドキドキしたり、いつの間にかその人のことを考えてたりかな」
「な、なるほど」
「という事はいるって事ね!? 相談ならいくらでも聞いてあげるわよ!」
「うんうん!」

なんて優しい子達なんだろう。恥ずかしくて顔が熱くなってきたけど、真剣に聞いてくれる二人に彼のことを相談した。




女子会


(自分からいけないなら、気付いてもらうしかないわ!)
(好き好きアピールをするのよ!)
(私が教えてあげる)



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