Noウェイ!?とりっぷ | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


反抗

そういえばレギュラーの殆どと関わったなと見渡しながら思う。
見渡すといっても目でチラチラ見るだけだけど。
見渡す勇気なんて私にはない。




あ、そういえば唯一まだ関わってない人が。


ーーーー切原赤也。



……絶対苦手なタイプだ。
初対面の人には怖そうだし、先輩じゃなきゃ懐かなさそうだし。
何で私は後輩なんだろう。今更だけど。
本当はここにいる皆より年上なのに。




ブン太におかずを取られて喧嘩になってるから赤也は私の視線には気付いていないみたいだけど。
私が屋上に来た時何か言われると思ってたけど、ずっと黙って見てただけだし。




しかし本当に……


「ワカメみたいじゃろ?」


『うん。
ってえぇぇぇ!?』



「煩いぞ咲本」

『だ、だってこの人……!』

「プリ」


いきなり仁王が耳元で話すもんだから心臓が飛び出るかと思った。
おかげで柳に注意された。



「そういえば皆 咲本さんに自己紹介してる?」

「……俺はしていないな」

不意に幸村君が口を開いた。
幸村君の質問に対し真田が手を顎に当て答える。


うーん、仁王や柳生、真田にはまだ名前教えてもらってないよね?勿論赤也もだけど。

何故か私の名前はもう知られてるけどね。
私も皆の事は知っているんだけれども。



「じゃあとりあえず皆自己紹介しようか。
俺は幸村精市。反時計回りで言ってくれるかい?」

「うむ次は俺か。
真田弦一郎だ、よろしく頼む」

「柳生比呂士です。
よろしくお願いします」

「ジャッカル桑原。
咲本とは何回か話してるよな」

「もう知ってると思うけど、丸井ブン太な!シクヨロ」



「……切原赤也」


次々と自己紹介していく中、
予想通りといえばそうなんだけど
やっぱり赤也の態度が悪い。
まず視線が斜め下で私の方を向こうとしてない。
睨まれるよりはマシか。


「……赤也」

うわっ、横を見ると柳が開眼してる!
というか何だろう。目で訴えているような。
チラリと赤也の方を見ると、此方を睨んでいて。
うぅやっぱり怖い。


すると赤也は急に立ち上がり私を指差した。

「〜〜っ、やっぱ嫌っス!
何で知らない女と一緒に飯食ったり
自己紹介したりしないとなんないんスか!?」


「別にコイツは悪い奴じゃねぇぜ?」

「そうだぜぃ。面白いぞコイツ」

ジャッカルとブン太の言葉に赤也は口を尖らせ言葉を続ける。

あああぁ、早くここから去りたい。
何か雰囲気悪くなってきたよね。
しかも私のせいで……。


「先輩達、この女が来る前に
男嫌いだから俺に極力黙ってろとか言うし」

「黙ってろは言ってないだろう。
キツイ言葉使いをするなよと言っただけだ」


どどどどうしよう。
ジャッカルやブン太だけじゃなく柳とも
言い合いになる。

私のせいでテニス部が……。
だ、ダメだ。止めないと。







『わ、私の為に喧嘩しないでくくく下さい!!





…………ってあれ?』




何か違うような……。
大声で叫んだ為この場がシンと静まり
レギュラー皆の顔がぽかんとしている。


わ、私何て言ったっけ?

私の為に喧嘩しないで下さい……?



「フッ、私の為に争うな……か?」


「あははっ!咲本さんやっぱり面白い……!はははっ」


柳や幸村君が笑う中、ブン太はお腹を抱えて笑ってるし
他は口を抑えながら肩を震わせている。
目の前の赤也は何言ってんだこいつみたいな顔してるし……





言う言葉間違えたぁぁぁぁあ!!




『ちちち違うんででです!!
こ、混乱して ままま間違えて……!
しし失礼しましたー!!』




お弁当を素早く包んで屋上のドアを
勢いよく開け、急いで教室に戻る。

恥ずかし過ぎて涙出てきた。




顔が熱い……!!
今 餅が焼けるよきっと。



あぁ、もうテニス部と会いたくない。
恥ずかしい恥ずかしい……!




顔の熱が冷めるまで理科室で休もう。
教室に行っても色々聞かれるだけだし。

ガラリと理科室のドアを開け、椅子に腰掛ける。

一人になってほっとしていると、またドアが開く音が聞こえた。







「……咲本が屋上から理科室に行く確率89%」




『え"……』




「当たったようだな」

「ふふ、流石だね」


『や、柳先輩に幸村先輩』


「咲本さん、逃げる前に
何か忘れてるよね」

『……な、何をですか』

「あれ忘れた?
朝練終わるまで正座しててって言ったよね?」

『あ……』

すいません約束破りました。
でも今回のはしょうがないかと……って
魔王様に言い訳は通じませんか。



「次の罰は何にしようかな〜」

えええぇぇ、嫌だ……。
ていうかすっごい楽しんでるように見えるんだけど。

「赤也と仲良くする……というのはどうだ?」

「あぁ、ナイスアイデア。
じゃあ咲本さん、赤也と仲良く
することが罰ということで」

『えぇ……むむむ、無理です』

「頑張れよ咲本」

「じゃあまたね」


そう言って理科室のドアへ向かう二人。

む、無理だよ、赤也と仲良くなんて。
赤也がもっと話しやすそうだったらいいのに……!



「それとさっきは面白かったよ」

『うぅぅ……』


理科室を出て行ったと思ったら、
ひょっこりと頭を出した幸村君。

かっこいい……というか仕草が可愛いんだけど、
折角ちょっと忘れてたのに思いださせないでよ。




反抗

(無理だよ嫌だよ)
(仲良くなれるわけがない)


prev / next

[ back ]