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私達の中学校へ

次の日の朝、出掛ける準備が出来たのと同時にインターホンが鳴る。玄関のドアを開けると制服姿の幸村君が立っていた。眩しすぎる。ユニフォーム姿もかっこいいけど、制服姿もやっぱり良いな。

「おはよう」
「お、おはようございます」
「久しぶりに君の制服姿を見る気がするよ。ふふ、行こうか」

変じゃないかな、大丈夫かなとソワソワしてしまう。何か話題……、この間保健医さんと話盛り上がってましたね、とか。いやそんな話題出してどうする。辛くなるだけだ。

「今日はゆっくりしなくて良かったんですか?」
「うん。毎日練習だけど休息はちゃんと取ってるしね。家族とも昨晩色々と話したし、合宿では出来ないことした方が良いと思って」
「そうですか。それなら良いんですけど……」
「それに合宿所では咲本さんと話せる時間が限られるから、こうやって話せるのが嬉しいよ」
「えっ、あっはい。私も、です」

私もこうやってゆっくり話せるのは嬉しいけど、何だろうこの時間がとてもむず痒い。学校に着くまで、合宿での出来事をお互いに話し合った。


校門前には制服姿の皆が揃っていて、部活を覗きに行くことになった。皆が後輩達と楽しそうに話していたり指導している姿を見て、私も前回と同じように若返りトリップをしていたら次の一年もここにいれたのかな、なんて考えては寂しくなった。

春から赤也は中学三年生、赤也以外は皆高校生、そして私は大学生かぁ。

「咲本、校内を見てまわるか?」
「! はい、行きたいです」

いつの間にか近くにいた柳に話しかけられて、彼の提案に大きく賛成し後ろをついていく。校内を歩き、柳は三年F組で足を止めた。

「……中学校生活、楽しかったですね」
「そうだな。来年から俺は高校、咲本は大学か。不思議なものだ」
「……」
「どうした。言いたい事がある確率92.5%だが」
「寂しいなぁ、なんてちょっと思ったり……して。へへっ、仕方ないんですけどね」

柳は返事をしてくれず黙って教壇に立つので、一番前の席に座った。先生と生徒のようだ。

「俺は、お前に幸せになってほしいと思っている」
「えっ!?」
「いつでも相談に乗るから遠慮せずに来い」
「はい。いつもありがとうございます。……わっ私も悩みでも何でも教えて下さい。頼りないかもですけど」
「あぁ、ありがとう」

彼が優しいのはいつもの事だけど、改めて言葉にされるとなんだか照れくさい。すると複数の足音と話し声が近付いてきた。

「蓮二、咲本ここに居たのか」
「授業でもしていたのかい?」
「じゃあ俺も参謀の授業を受けるぜよ」

皆が集まりワイワイと盛り上がる。柳以外が着席し授業を受けてるみたいだ。そこにパシャリとシャッター音が鳴る。皆が驚く中、柳生がカメラを持っていることに気付いた。

「写真を撮りませんか? 思い出作りにと思ってカメラを持ってきてまして」
「柳生ナイス!」

それから教室で写真を撮ったり、黒板に絵を描いたり。
屋上に幸村君が育てていた庭がある事を思い出し、屋上に行く事を提案した。


屋上の庭の前で皆で記念撮影をする。綺麗に咲いた花を見てふと思った。

「花のお世話をする人は決まってるんですか?」
「うん、後輩に花が好きな子がいてね」
「そうですか。良かったです」
「大切に育てた花を枯らしたくないからね」

それなら安心だな。赤也じゃ一週間もしないで枯らしてしまいそうだし。
それからまた教室に戻って皆でお弁当を食べたり、中庭にも行って写真を撮ったりして、中学生気分を存分に味わった。そして最後はテニスコートで写真を撮る。

集合写真を撮ったけど、レギュラーだけの写真も撮りたくて足を止めて皆の背中を写真に収めた。夕日に照らされた八人の背中がとてもかっこよく見えた。私と同じように立ち止まった赤也に声を掛ける。

「来年から頑張ってください、切原部長」
「……」

てっきり明るい返事が返ってくるかと思ってたのに、下を向いて黙りこむ赤也。思わず「あれ?」と声が出てしまった。

「咲本、赤也は部長じゃない。副部長だ」
「……?」

皆の表情を確認すると嘘はついていないようだった。

「えっ、え? えぇぇぇぇーー!?!?」
「驚きすぎだろぃ」
「そ、そっかぁ。そうなんですね、副部長……。頑張ってください!」
「……おう」

幸村君達が決めたことだもんね。赤也を副部長にした意味がきっとあるんだろう。部長が誰なのかめちゃくちゃ気になるけど、多分私が知ってる人ではなさそう。


明日からまた合宿だ。今日は本当に楽しくて良い思い出になった。皆と更に仲良くなれた気がする。




私達の中学校へ


(明日からも頑張ろう)

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