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お昼の謝罪

「ひなたちゃん!幸村先輩がひなたちゃんのこと探してたよ!」

『あー……』

体育の授業が終わった後トイレに行って時間を潰した。
その間にやっぱり幸村君が来ていたみたいだ。


「どこで幸村先輩と知り合ったの!?」

「ていうか何で咲本さんの事探してるの!?」

ぞろぞろとクラスの女子が集まってきた。
軽く息を切らしている子や目を見開いている子がいる何これ怖い。


『えっと、その』


どどどうしよう。

まずは昼休みに初めて会って、
その次の日の放課後家が正面だと分かって

……そして今朝約束を破って
正座させられて、だけどまた逃亡。

どうやってまとめて話せばいいんだ。


『ひ、昼休みにちょっと』

言い終わる前にチャイムが鳴り先生が入ってきた。
全員が自分の席に戻る中、私は胸を撫で下ろしながら窓側の自分の席へと向かう。

よ、良かった。
チャイムと先生よ、ナイスタイミング。

授業が始まってもクラスの女子はチラチラと見てくる。
隣のチーちゃんを見ると此方に興味津々のご様子。

ハァ、テニス部が関わるとこうなるのか。


とりあえずこの授業が終わっても何処かに隠れないといけない。




********************



「ひなたちゃんどうしたの今日は。
休み時間になると何処かに行くし、
その間にテニス部のレギュラーは来るし」

『……頑張った私』

「また話聞かせてよ〜?
ところで今昼休みだけどご飯どうする?」

『う、うんまた今度言うよ。
えっと何処で食べ「ひなたいるかー!」……』

教室に入りながらブン太が大声で私の名前を呼んだ。
一斉に女子が大騒ぎし、そして私の方を見た。
私が隠れていた間の休み時間もこんな感じで大騒ぎだったのかな。

「おっ!いるじゃんひなた。
幸村君が呼んでるから弁当持って行くぜぃ」

喋りながら此方に向かって来るブン太。
嫌だよだって幸村君に会ったらどんな罰を下されるか。

『いいい嫌です!お、お断りします』

「よしひなたの弁当持ったし、
ほら早くしろぃ」

『は、えっ?いつの間に。
だだ駄目です!
わ、私友達とお昼食べるんです!!』

「その友達にお前の弁当渡されたんだけど」


『……え?』

チーちゃんの方を見ると口パクで何か言ってる。
「あとできかせてね」

……私に行けってか。


「ほら行くぜぃ。
早くしないと幸村君怒っちまう」

『ち、チーちゃんの裏切り者』

止むを得ずブン太の後を着いて行く。
何処に行くんだろうと思ってたら、
どんどん屋上に近づいているのが分かる。




階段を登り前にいたブン太がドアを開けると
幸村君が黒いオーラを纏い仁王立ちしていた。
周りにはテニス部のレギュラーがお弁当を自分達の前に置き座っている。

ななな何でレギュラーが揃ってるの!?



「やぁ咲本さん」

『こここ、ここんに……ちはわわ』

「ちわわ?何言ってんだよお前」



幸村君に挨拶したら斜め前にいるブン太に、
お弁当を渡されツッコまれた。
緊張して言葉が出ないのに頑張って出してるんだよ分かってよバカヤロー。
レギュラー皆がこっち見てるんだよ死んじゃうよ。



「昼飯食べねーか?」

「そうだね。咲本さんこっちおいで」

『は、はぁ』


空気が読めるジャッカル、ありがとう。

幸村君に来いと言われ訳の分からないまま近づく。


「ほらここに座って」

幸村君は自分の隣を指差した。
渋々座ろうとすると幸村君とは反対側の隣は柳だった。


『や、柳先輩』

「何だ?」

『わ、私はなんでここに?』

「フッそれはお前が一番良くわかっているだろう」

『うぅぅ……』

やっぱり私怒られるのか。
正座の次は何だろう。
逆さ吊りかな、それとも屋上から飛び降りろとか?

皆が弁当を食べ始めたので私も弁当を広げる。


すると膝においていた弁当の上に影ができた。
何だろうと不思議に思い見上げると、柳生が私の前で直角に頭を下げていた。





『……えっ?』

思いも寄らぬ出来事に反応が遅れた。
ど、どういう事?
何で頭を下げられているんだろう。

「咲本さん、今朝はすいませんでした。
私の勘違いであんな冷たい言葉を吐いてしまい」


『…………ぁ』

ちょっと忘れてた。
そういえば朝そんな事があったな。
幸村君が恐ろし過ぎて頭から飛んでた。

柳生はずっと頭を下げている。
仮にも今は年上だし、それに今はそんなに気にしていないし……

『あの全然気にしてません。
そ、その……私が悪いわけですし。
ででですからあの、頭を上げて下さい』

「そうだよ柳生。
俺が初めから部室に咲本さんが
いる事を言っとけば良かったわけだしね」

幸村君が優しい……って事は私の事もそんなに怒ってない!?

「で、ですが」

「うむ、柳生が疑うのも分からなくもない。
何せここ最近レギュラーの私物の盗難が多かったからな。
全く人の物を盗むなどたるんどる!」

そうだったのか、テニス部って大変だな。


「柳生、見たところ咲本はそんなに気にしていない。
それと咲本はこの間転校してきたばかりだ。
良かったらコイツと仲良くしてやってくれ」

『お、お母さん……!』

「私で良ければ仲良くさせて下さい」

『ぜ、是非お願いしますっ……!』

ぺこりと頭を下げる柳生に私もつられて
座りながら頭を下げる。




お昼の謝罪

(早くご飯食べてこの場から去ろう)


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