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勘違い

ーーーーすみませんが部外者は出て行ってもらえますか

『ハァ……』


自分の席に着き柳生に言われた言葉を思い出す。私負けず嫌いではあるけど人の言葉を気にしやすいんだよなぁ。

まぁでも柳生に言われた事は早く忘れよ。

今悩むべき事は幸村君にどうやって言い訳をするかだ。


『あぁー怖いだろうな。魔王様だもんな。
まず逃げる……って逃げれないか。
じゃあどうすればぁぁぁあ!』


頭を抱えながら机にうつ伏せになる。
トリップして数日経ったけど、私意外にもキャラと関わりすぎじゃないか?
前に元の世界で自分はトリップしても誰とも関わらないだろうな、と思ってたのに。

遠くから見れればそれだけでいいんだけどね。




…………って違う違う。
どうしよう、正座させられるの嫌だしなぁ。

『……隠れる。あ、そうだ。
幸村君が来る前に隠れればいいんだ。
自分ナイスアイディア!
そしたらそのうち忘れてくれるはず。
私なら忘れる!』


幸村君への対処法を思い付いたら何か欠伸が。


『ふわぁー。あ、欠伸で涙が……』

時間を見たらまだ一時間目までたっぷり時間があるしちょっと寝ようかな。





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(柳生side)


「……またですか」


最近テニス部のファンがレギュラーの私物を盗難することが多くなってきている。

先程も一人の女子が部室の中にいましたし、私には人の物を盗むという思考が分かりませんね。



ユニフォームに着替えラケットを持ち部室の外へでる。先程の方はもういないみたいですね。

「柳生じゃん、っはよー」
「おはよう早いな」

「おはようございます。丸井クン、桑原クン」

「すぐ用意してくるぜぃ」

「えぇ」

丸井クンと桑原クンが部室に入って行くのとは反対に自分はコートへと足を進める。






「おはようございます」

「うむ、柳生か。おはよう」

「おはよう。次に朝練に来る部員は柳生……データ通りだ」

「あぁ、おはよう。
部室に入って驚いただろう?」


「?……何故ですか?」

「あれ?正座した女子を部室で見なかったかい?」


まさか先程の女子の事でしょうか。
何故彼は知っているのでしょう……まさか幸村クンが連れてきた方?
そうであれば私は自分の勘違いで
とても失礼な事をしてしまったのかもしれません。


「……咲本が今部室にいない確率86%」


「もしかして幸村クンが連れてきた方でしたか?」

「え?うん。そうだけど」

「すみません直ぐ戻ります」


ラケットを置き校舎へと走る。

私はなんて事をしてしまったのでしょう。
ファンの方の盗難と間違えてあんな冷たい目を向け、冷たい言葉を吐いた。
紳士として情けない行動をしてしまいました。


三年の教室を周り先程の女子を探す。
名前は確か咲本さんと柳クンが言っていました、学年は……知りません。
全ての教室を周らなければ。

しかし幸村クンが部室に連れてきたという事は仲が良いということ。
柳クンもおそらく親しい関係。
という事は学年が同じ……?
とはいえ私はあの女子を今日初めて見た。

三年の教室を探し終わった今、同じ学年ではない事が分かりました。
教室にいない場合もありますが。
さて次は二年の教室ですね。



********************


「……見つけました」



ようやく先程の女子を見つけました。
まさか一年だったとは……。
幸村クン達は何故親しくなったのでしょうか。
それはさて置き、睡眠中の様です。
困りました、これでは謝罪する事ができない。

「涙……?」

咲本さんの目元が濡れている。
泣いていたのでしょうか。
自分のさっきの言葉が原因で。




「すいませんでした、咲本さん」

睡眠を妨害してはいけない。
手で軽く咲本さんの目元の涙を拭いながら小声でそう呟く。
謝罪はまた日を……いえ、時間を改めることにします。




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「ひなたちゃん!おーきーてー!」

『むにゃ、ん?チーちゃん……?』

「そーだよ!ひなたちゃんのアイドル、チーちゃんだよ!おはよう』

『おはよう』

「うわ、スルーされた!まぁいいや。
今日ひなたちゃん早いね
何かあったの?」

『ううん、早く目が覚めて』

「そっかぁ、ところで今から体育だよ」

『え!?そういえば!
ってあと十分しかないじゃん!』

「だってひなたちゃんぐっすりだったし。
よし、行こうか」


体操服を持ってチーちゃんと廊下を走る。
途中、先生に注意されたけどチーちゃんがふざけながら謝っていた。

体育も頑張らないといけないけど、休み時間は幸村君が来る前に何処かに隠れるのを。




勘違い


(柳生の事はあんまり気にしてない)
(もっと恐ろしい事が待ってるからね)

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