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植物組と肩揉み

「悩み、ですか」
「おん。脱落組の事は勿論やと思うけど、他に今困ってる事とかないかなと思ってな」
「……」
「ない?」
「その……し、強いて言えば、おっ思ったよりやる事が、なくて。皆さんのために……な、何かできる事が、あれば……と」

そう、立海でマネージャーをしている時よりも意外とやる事がないのだ。監視役なので当たり前といえばそうなのかもしれないが。しかし何か他に出来る事があれば、皆の為に何かしたい。そんなことを悩んでいる時にタイミング良く忍足が聞いてくれて良かった。

「せやなぁ、なら夜に自主練する人らの練習相手とかどや?」
「わっ私なんて球を打ち返せるかどうか……」
「教えたるやん」
「そそそれじゃあ足を引っ張って、し、しまいます……」
「俺は別に何とも思わんけど……あっ、ええ事思いついたで」
「?」


********************


変な汗が止まらない。何故なら今私がいる場所は幸村君、不二君、白石の植物組三人のいる部屋だからです。忍足の提案を聞いていた時、偶々通りかかった幸村君は暇だからと言って私を部屋まで引っ張ったのだ。忍足はというと笑顔で手を振っているだけで付いてきてくれなかった。お母さん役をしてくれるんじゃなかったのか。

「何してるんだい? そんな端っこに立って」
「咲本さんもこっちにおいで。見てこのサボテン」
「そない固くならんでも良いで」

「は、はははい」

このメンバーめちゃくちゃ緊張するんですよ。本当に。白石は優しいけど他二人には逆らえないオーラが出てるし。

「それでマッサージしてくれるんでしょ」
「は、はい! 頑張ります」
「じゃあお願いするよ」
「はい!……あ、」

ちょっと待って? マッサージするって事は身体に触れるってことだよね。ひぃぃぃ幸村君に自分から触れるなんて恐れ多い。

「はいはい、ここに手置いて」
「ヒッ」

私の考えていることが分かったのか呆れた顔をした幸村君は、私の両腕を引っ張り自分の肩の上へと置く。緊張して手汗が酷いけど頑張ろう。ぐっと親指に力を入れる。やっぱり結構凝ってるなぁ。

「良い感じだよ。もう少し強く出来る?」
「あ、はい」

私が幸村君をマッサージしてる間、二人は植物を眺めたり此方を微笑ましく見ていた。

「ありがとう。ほぐれたよ」
「良かったです」
「僕もやってもらおうかな」
「俺も俺も」
「はい!」

不二君は椅子にストンと座ると「お願いします」と言って微笑んだ。黒くない笑顔は天使。黒くなければ。それにしても幸村君も不二君もうなじが綺麗。はぁ、羨ましい。

数分が経過して不二君にお礼を言われ、次は白石の肩を揉む。しかし彼を揉んでいる時に「エクスタシー」と急に叫んだので、幸村君と不二君に頭を叩かれていた。私は生エクスタシーが聞けたことに喜んだ。エクスタシー最高です。


「次は俺がやってあげる。ここ座って」
「えっ、いいいいです! 私は疲れてないので!」
「してみたいんだよね。ほらほら」

幸村君にグイッと腕を引っ張られ椅子に座らさせる。ほんとこの人強引だな。肩に手を置かれて、緊張で肩から身体中が熱くなった。それに気づいてなのか三人はにんまりと微笑みながら私に近寄る。

「肩の力抜きましょうかー」
「お客様、緊張してるんじゃないですか?」
「飲み物お持ちしましたでー」

悪ノリしてきた!? どどどどうすれば……! どう返すか迷っていた時、幸村君の手に力が込められ……。

ゴリッ

「い"ぃぃぃぃぃぃっ!?」


今ゴリッて鳴った!? ゴリッて!! いきなり叫んだ私に不二君と白石が驚いていた。幸村君は「あれ?」みたいな顔してるし。わざとなのかそうじゃないのか分からない!

「あはは、ごめん。強すぎた?」
「づ、強すぎです……」
「じゃあ次は僕が」
「えっ」

ゴキッ

「ん"ん"んんんんっ!!」

何で! 何でそんな力強いの!? どんだけ馬鹿力なのこの二人!! 痛すぎて涙出てきた。

「二人ともあかんで、咲本さんは女の子なんやから」

そう言って白石の手が私の肩に乗せられる。流石に彼がこの二人みたいに加減せず押してくるわけ……。



グキィッ


「〜〜っ!」
「…………あれ?」
「何してるんだい? 白石。咲本さん倒れたんだけど」

……この人達私に恨みでもあるの? もしかしてさっきの揉み方がイマイチだったとか。それとも日頃の恨みというやつですか。どちらにせよここから早く逃げなければ肩が壊れる。

「あ、起き上がった」
「ししししっ失礼しました!!」

部屋を飛び出し、扉を閉める。そして自分の部屋へと早歩きで戻った。ジンジンと痛む肩。もう肩揉みなんてするものか。




植物組と肩揉み


(何や失敗したんか?)
(も、もう肩揉みなんて、いいいやです……!)

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