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ウソップと恋バナしてたら両翼がソワソワする話



 天気の良い日のこと、ウソップと渚は自分の故郷についての話で盛り上がっていた。

「東の海にあるシロップ村はおれの生まれ故郷でよ、その村にはカヤっていうお嬢様がいてな」
「うんうん!」
「でっけー屋敷に住んでんだよ。それはもう村一番のデカさでよー」
「そんな人と友達なんてウソップすごいね」

 その村であった出来事や、ルフィの仲間になったきっかけをウソップは彼女に話していた。それはもう嘘を交えて大袈裟に。笑顔で話を聞く彼女にウソップは質問を投げかける。

「渚の故郷はどんな感じだったんだ?」
「この世界に比べて平凡だったから、そんなウソップみたいに冒険の話はないなァ。普通に会社で働いてたから」
「平和な世界が一番だって。あっ、じゃあ良い相手とかいなかったのか?」
「んー……」

 悩む彼女にウソップは「いたのか!?」と声を上げる。

 彼女の返答を待っているのはウソップ一人ではなかった。ナミとロビンにデザートを持ってきたサンジ。昼寝したふりをしているゾロ。
 聞き耳を立てている若い者達を見て笑うブルック、フランキー、ジンベエ。船員のほぼ全員が二人の会話を聞いていた。

 しかし彼女が答えようとした瞬間、ルフィとチョッパーが二人に話し掛けた。

「お前らなんか楽しそうだなー!」
「何の話してたんだ?」
「故郷の話しててよ。今は渚が元の世界に良い相手がいたのかどうか聞いてたところだ」
「「ヘェー!」」
「ふふっ、ルフィもチョッパーも恋バナなんてしなさそう」

 そもそも恋愛に興味なさそうだよね、と付け加えるとウソップが同意する。

「皆の好きな女性のタイプは? ……って聞いてもそんな事考えた事ないか」
「コイツらはお子様だからな」
「なんだとー!」

 プンスカ怒るルフィとウソップが軽く口喧嘩になり、会話の話題が変わっていく。いつの間にか四人は違う話で盛り上がった。


 一方で、聞き耳を立てていたナミは溜息を吐いた。

「あー! もう、話が逸れちゃったじゃない!」
「そういえば聞いた事なかったわね」
「後で聞いておかないと」
「渚ちゃんのデザートもここに持ってくるよ」
「あら、私達は女子部屋で聞こうと思ってるんだけど、ここで聞いた方が良いかしら?」
「ナ、ナミさん……」

 キッチンへデザートを取りに行こうとしたサンジは、まさかのナミの発言に眉尻を下げる。できればここで自分も彼女達の会話を聞いていたいと願うサンジだがそれは叶わず、ナミとロビンは席を立った。
 一部始終見ていたフランキーは項垂れるサンジの肩に手を置いた。可哀想にな、と同情した目を向けて。


 ウソップ達はロボットと忍者どちらが格好良いかと渚が入れない話になった為、彼女は静かに腰を上げる。
 そして私も同性と女子特有の会話がしたい、と彼女は女子部屋に向かっていたナミとロビンの後を追いかけて行った。

「ナミ、ロビン!」
「あら、恋バナでもする?」
「ナミなんで分かったの!? したいしたい」
「ウフフフ。さっきの話の続きでも聞こうかしら」

 女子部屋に入っていく女性達を、二人の男は目で追う。

 一人はキッチンから持ってきたデザートを片手に女子部屋の前で聞き耳を立て、もう一人は昼寝の場所を移動した。

「テメッ、何盗み聞きしようとしてんだよ」
「おれは昼寝の場所を変えようとしただけだ。あっちはルフィ達がうるせえ。盗み聞きしようとしてんのはテメェだろクソコック」
「アアン!?」

 女子部屋で女子トークが盛り上がる中、外では二人の男が口喧嘩する。部屋から出てきたナミの拳骨で喧嘩が鎮まるのはそれから数分後のことであった。