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夢主の手配書を集めるロー





 ここはとある島の海軍基地。バタバタと廊下を走る一般海兵は、上司である大佐の前で立ち止まり敬礼をした。

「報告です! トラファルガー・ローが街に貼ってある手配書を剥がしていると目撃情報が!」
「なに!? 今更剥がしたところで奴の顔は知れ渡っているぞ」
「それが自分のものではなく……」
「じゃあ誰のだ!」
「この間懸賞金がついたばかりの、麦わらの一味の渚と言う女の手配書です」
「何故だ!?」
「それが分かりません!」
「ハァ!?」

 トラファルガー・ローの行動は海兵達を混乱させた。大佐は早速街に出て海賊を探し、男を見つけて声を掛けた。

「見つけたぞ!」
「アァ?」
「何故その女の手配書を回収している」
「テメェには関係ねえ」
「剥がしても無駄だ。すぐに新しいものを貼るんだからな!」
「……テメェ、この手配書を見た奴らが渚に惚れてアイツが危険な目に遭ったら責任取れんのか?」
「何を言ってるんだ!? この女は海賊だぞ」

 ローはそれ以上答える事はなく、愛用する鬼哭で大佐の身体をバラバラに切った。




 一方、ローとは別の島を散策していた渚は、隣を歩くロビンに話しかけた。

「ねえロビン。私の手配書、多い気がするんだけど」
「そうね、私達のより沢山貼られてるわ。不思議ね」

 手配書を新たに壁に貼り付ける海軍が見え、ロビンは能力で海軍の会話を盗み聞きした。

「この女って危険なのか? どれだけ貼るんだ?」
「麦わらの一味だから危険は危険だが、手配書を貼っても貼っても剥がされるらしい」
「だから色んな場所に貼ってるのか。本人が剥がしてるのか?」
「いや、噂によるとハートの海賊団のトラファルガー・ローが剥がしていると聞いた。この辺りの島は全て剥がされてるらしい」

 海軍の会話を聞き終えたロビンは彼女の手配書が多く貼り付けられている理由が分かり、本人に伝えた。彼女はサーッと青ざめて、急いでサニー号に戻り電伝虫でハートの海賊団と連絡をとった。

「アイアイ」
「ベポ、久しぶり。渚だけど、ローって今いる?」
「渚! 久しぶりー。キャプテンは今街に出てていないんだ」
「そっか。一つ聞きたいことがあるんだけど……。ローって私の手配書回収してたりする?」
「え!? 何で知ってるの!?」
「え、やっぱりそうなの!?」

「実はキャプテン、渚の手配書集めてて……。あ、キャプテン帰ってきた」

 ベポは船に戻ってきた船長に彼女から電伝虫がかかってきていることを伝えた。回収した手配書を渡し、自分の部屋に置いておくようベポに伝えたローは電伝虫を取った。

「なんだ」
「ロー。私の手配書、集めてるの?」
「………………集めてねえ」
「すごい間があった。どうして集めてるの?」
「知らねェな」
「もしかして私が狙われないように?」
「!! そうだ」

 やっぱり彼は心配性で優しい人だ、と微笑む彼女だが、彼女の言う「狙われないように」の意味がローとは違う事に気付いてはいなかった。

「心配してくれてありがと。でもね、ローが回収しているのが原因で寧ろ私の手配書が街中に沢山貼られてるの。だからね、回収するのはやめてほしいなって」
「安心しろ。貼った奴はおれが消しておく」

 ガチャと切られた電伝虫を見つめ、彼女は呆れた様子でそんな物騒な、と呟いた。




 回収した手配書を自室で大切に保管し、毎日眺めているローの姿を彼女は知らない。