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暑くて目が覚めたらセクシーな水着姿のナミとロビンが立っていた。思わずセクシー、と呟いたら2人はおはようと私に微笑んだ。朝からナイスバディのお姉さん達に微笑んでもらえるなんて素敵な朝だ。

「おはよう。ナミもロビンも今日は水着なの?」
「ええ。今日は暑いから」
「渚も水着にしなさいよ。ビーチバレーでもしましょ」
「ビーチバレー楽しそう。あ、でも水着持ってないから薄着にするよ」
「私の貸してあげる」
「ナミのじゃ胸のサイズが合わないと思う」
「大丈夫大丈夫。確か昔のがこの辺に……あった! これならピッタリだと思うわ」
「ありがと」

ハイ、と彼女から渡されて水着を見つめる。セクシーなビキニだ。私に似合うだろうか。
身なりを整える2人を見て髪を結おうか聞いたら、2人とも首を縦に振った。


数分後、2人は嬉しそうに自分の髪を鏡で見ていた。久しぶりにヘアアレンジしてみたけど中々上手く出来た気がする。

「へぇー、渚って器用よね」
「すごいわ。髪を編み込んであるの?」
「うん、可愛いでしょ。動いても崩れないようにしてるよ」

すごいすごいと褒めてもらって嬉しくなる。2人に喜んでもらえて何よりだ。

先に行ってるから着替えたら出てきてね、と2人は女子部屋から出て行った。
彼女達……いや海賊は面積が少ない服を着ていることが多い。ここでは水着で船内を歩くことは普通……ふつう……。

「よし!」

覚悟を決めてビキニを着て部屋から出た。半袖のパーカーを羽織ってだけど。甲板には皆集まっていて、バレーのコートとバーベキューの準備をしていた。

「渚! やっと出てきたわね」
「渚ちゅわーん! 水着姿似合ってるよー! ……ん? あのビキニってもしかして」
「私が前に着てたやつよ」
「ナミさんの水着を渚ちゃんが……」

ブーーーッと鼻血を出してサンジが倒れた。
男性陣も水着姿でほぼ皆上半身裸だ。ああ、素晴らしい筋肉が並んでいる。鼻から何かが垂れてきた。あ、血だ。

「皆さんご褒美をありがとうございます。これからも頑張ります」
「頑張るって何をだよ。サンジと渚って変なとこ似てるよな」
「ウソップも非常に良い筋肉で」
「目の前で手を合わせながら言われると、素直に喜んでいいのか分かんねェな」

「準備できたぞー。誰からやるんだ?」

フランキーがバレーコートの準備を終えて皆に呼びかける。船の上でバレーやバーベキューが出来るなんてすごい船だ。他の海賊船もこんな感じなのだろうか。

ナミとチョッパー、ロビンとフランキーのペアでゲームをするらしい。渚も、と誘われたが見る方が楽しいので後から参加させてもらおうと思う。ちなみに能力の使用は禁止とのこと。

「100ベリー賭けましょ」
「ええ、良いわよ」

一回戦が始まり椅子に座って観戦する。今日は本当に暑くて水着じゃないと耐えれないほどだ。羽織っていたパーカーを脱いで椅子に掛けた。それでも暑い。

「スイカです。どうぞ、マドモアゼル」
「ありがと、美味しそう」
「もうすぐ肉と野菜も焼きあがるよ」
「ほんと? バーベキューなんて久しぶりで楽しみ」

冷えたスイカは甘くて美味しくて、身体の熱も冷めていく。あとでスイカ割りしたいね、と言うと大きなスイカがあるからあとで持ってくるよと返ってきた。昨日までは涼しかったのに急に夏日になるんだもんな。不思議なところだ。
水着になっても汗はひかない。海に入りたいけど、海のど真ん中で泳ぐなんて危険だからできないし、夏らしいことをして夏を楽しむしかない。

サンジは私の近くでバレーをしている皆を見ていた。私の視線に気づいたのか目が合って彼は優しく微笑んだ。サンジのこういうところ、ずるいよなァ。彼が誰にでもこういう行動をするのは分かっていても胸が高鳴ってしまう。

「暑くて身体がとけそう」
「後でアイスも用意するよ」
「サンジに甘えていると太りそうだね」
「素敵なレディには尽くしたいのさ。それにたとえどれだけ太ったとしても魅力的な君には変わりない。おれはどんな君でも愛せるよ」
「私がネズミになっても?」
「ああ、勿論さ!」
「ふふっ、サンジって面白いね。……あっ、勝敗が決まったみたい」
「お、面白い……?」

どんな姿でも愛してくれる、なんて冗談だと分かっていながら嬉しいなと思う。サンジがその後何やら言っていた気もしたが、勝ったナミとチョッパーにおめでとうと言いに行った。


二回戦は私とウソップ、ルフィとブルックがペアになった。ゾロとサンジは不参加だ。

「ウソップ、よろしくね」
「おう! にしてもルフィはルール分かってんのか?」
「ボールを地面に落とさなきゃ良いんだろ? 簡単だ!」
「ルフィさん、連続でボールを触ってはいけませんよ」
「そうなのか?」
「それとですね……」

ルールを説明するブルックに首を傾げるルフィ。そんな彼らを見て、まともに出来るのか不安だとウソップは溜息を吐いた。

ルフィがサーブを打つ。最初は力加減が分からなくて何度か練習した後だが。こちらのコートに飛んできたボールを見て、ウソップが私に頼むと声を上げる。


「ふぎゃ!」

ボールが顔に当たって変な声が出た。おかしいな、手に当たるはずだったんだけど。今ボールがカーブした?

「おいおい大丈夫か?」
「大丈夫、ごめん。次こそは!」

ウソップがサーブを打って、ブルックがアタックしたボールが私の方へ向かってくる。オーバー? アンダー? どっちでレシーブしたら良いのか考えている間もなく、また私の顔面へボールが激突した。ボールは真横に飛んで壁に当たって地面に落ちた。

沈黙が流れる。どうしたのだろうと周りを見ると、皆がぽかんと口を開けて私を見ていた。

「……もしかして」
「渚って」
「運動音痴?」

ウソップ、ナミ、ロビンが続けて話す。運動音痴? 私が?
顔が熱くなるのを感じながら、ボールを拾いに行ってボールを抱きしめる。

「ち、違うの!! 球技だけ! 球技だけだから!」
「そういえば渚はよく転んで額を怪我してるな」
「ちょ、チョッパー……」

ルフィがルールをいまいち理解してなかったのと、ウソップの活躍により、その後何とか勝てたものの何度もぶつけた額が痛い。
試合が終わるとチョッパーが救急箱を持って駆け寄ってきたので屈んで前髪を上げた。

「おでこがヒリヒリする……」
「この薬を塗っておけばすぐに痛みがひくから大丈夫だ。……よし、良いぞ」
「ありがと」

チョッパーは救急箱を片付けに戻って行った。痛みがひいてきた気がする。

暑い中スポーツをするなんて何年振りだろうか。とても楽しかった。階段を登ってみかんの木の下に向かう。木の影にいると少し涼しくて、風が心地良く感じる。

「よう、運動音痴」

2階でゾロは昼寝していたらしい。姿が見えないなと思っていたらここに居たんだ。ていうか今運動音痴って言った?

「違うってば! それに方向音痴のゾロに言われたくない」
「おれは方向音痴じゃねェ」

頬を膨らませると、こちらに歩いて来た彼に片手で頬を挟まれた。突然のことにびっくりして口から空気がプシューと出た。ゾロは何がしたいんだろうと見つめると鼻で笑われる。今日は何故か皆に揶揄われる日だ。

「ふぁなして……!」

ゾロの大胸筋を押して頬を解放してもらおうとするが、びくともしない。
しかしこの大胸筋、とても気持ちいい感触でうっとりしてしまう。もう何でもいいからこの大胸筋に顔を埋めたい。

「おーい野郎共、肉焼けたぞー……っておいコラ、マリモ野郎! 渚ちゃんに何してんだ!」
「何もしてねェ!」

ゾロの後頭部に向かってサンジの蹴りが入る。それを避けるためにゾロの顔が近づいた。
突然の事に驚いて後ろの手すりに手をかけようとしたら、上手く掴めず滑り落ちて後ろに転びそうになって思わず目を閉じた。

「ママママッマリモ、テメェ!!」
「?」

胸に何かが乗っているのが分かった。サンジが大声を出したので目を開けると、胸の谷間にゾロの顔が埋まっていて、何が起きたのか分からず反応に遅れた。ゾロも混乱していたようで、声をかけるとバッと勢いよく離れた。

気まずい空気が流れるのも嫌なので、胸の下で腕を組んで、「えっち」と言って怒った。勿論本気で怒ってはないけど。何故か2人とも目を見開いていて、おーいと声をかけても反応がなかった。
もしかしてこの返しはおかしかった? ナミやロビンだったらどうなっていただろうと考えると、お金をとるか拳骨が降ってくるかのどちらかかなと思った。

「お肉焼けたんだよね、食べたいな」
「あっ、あァ! もう食べれるよ。皿を用意してくる」
「私も手伝う」

先に反応したのはサンジで、食事の用意をすると言う彼の後を追おうとすると、後ろから声がかかった。

「……悪かった」
「ううん。私も前に同じ事したし、おあいこね」
「あ? あァ」

階段を下りると、もうバーベキューが始まっていて、ルフィ達が美味しそうにお肉を頬張っていた。

「額の赤みはひいたようね」
「うん、チョッパーの塗り薬のおかげで」

お肉や野菜が盛り付けられたお皿をロビンから受け取った。皆と会話しながら食事をしていると、ウソップが水鉄砲を持ってきた。そしてやりたいやつ手を上げろーと言うので、私もしたいと手を上げた。

「渚、間違えても海に落ちるなよー」

水鉄砲を私に手渡しながらウソップがそう言った。もしかして運動音痴扱いされてる?

「私、鉄砲は得意だよ。お祭りでよく射的してたの」
「ヨシ! じゃあおれに当ててみろ!」

自信満々に言ったら同じく水鉄砲を持ったルフィが腕を伸ばして上へ飛んだ。狙いを定めて撃つが当たらない。連続して撃っても全て避けられる。

「あ、当たらない……」
「おれの勝ちだなー! 渚の肉は貰った!」
「あー、お肉がー!」

ワッと皆が笑い声をあげる。沢山肉は用意してあるとサンジが教えてくれた。誰に撃っても当たらない気がして近くにいたフランキーを撃った。

「アウ!」

一言叫んでフランキーは真横に倒れた。……そして動かなくなった。フランキーは改造人間だから水に弱かったとか!?

「フランキーしっかりして! ……どうしよう、動かない。ちょ、チョッパー!」
「どうしたんだ?ってアー! フランキーが倒れてるー!? 何があったんだ敵襲か!?」
「私、フランキーを撃っちゃって。そしたらフランキー、倒れて……。私、殺しちゃった……」

私とチョッパーが慌てる中、ロビンとブルックが倒れたフランキーを見て悲しそうな顔をした。

「あら、知らなかったの? フランキーの背中に水をかけると死んじゃうのよ」
「ヨホホホ……渚さん、知らなかったとはいえ、フランキーさんを殺してしまうとは」
「ごめんなさい。謝って済む問題じゃないのは分かってるんだけど、じっ……自首してきます!」
「渚ーーー!」

「サイキドウ、シマシタ」

再起動しました……? フランキーを見ると上半身が起きていて、サングラス越しに光っている目と目が合った。驚いて涙が引っ込んだ。

「フランキー……?」
「アウ! スーパー!」
「し、死んでない……?」
「水鉄砲ごときでこのスーパーなボディがやられるわけねェ」
「じゃあ何で倒れてたんだ?」

うんうん、とチョッパーの質問に頷いて同意すると、フランキーは「揶揄っただけだ」と言ったのでチョッパーと一緒に水鉄砲で彼を撃ちまくった。

「ウフフフ、2人とも可愛い反応をしてくれるわ」
「いやー面白いですねェ、ヨホホホホ」
「ロビンにブルックまで……」
「おれ達揶揄われたのか」
「こうなったら……チョッパー」
「なんだ?」
「3人にはたくさん遊んでもらう刑だー!」
「ウオォォォォ!」

それからフランキーの腕にぶら下がったり、ロビンの能力で体を持ち上げてもらったり、ブルックに演奏してもらい、たくさん遊んでもらった。私の精神年齢、チョッパーと同じかもしれない。