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 〈2〉


 護豪業人≠フ存在意義には諸説ある。幽云を斃す為だけの存在であると唱える奴も居れば、幽云から人間を護る為の存在だと言う奴も居る。「英雄」だとか、「化け物」だとか。
 ───ま、何にしろ「幽云を敵と見做す」ことには変わりないんだ。好きに討議してくれ。

 ただオレたちは、人間をやめたその瞬間に、確かに「化け物」へと格を下げる。敵である幽云の一部をテメエに授かるというのだから、当然だ。そんなオレたちを見て難儀な顔をする奴らが居たって、それはごく自然な考えだ。

 人間は、強者を崇め、強者に怯える生き物だから。勇者と獣は紙一重。護豪業人と幽云もまた然り、だ。

 だからオレたちは、心まで「化け物」と化さないように、絶対の正義とやらを誓う。己の中に根を張る「獣としての闘争本能」を、血反吐を撒き散らしてでも抑える為に。

 正義の味方、なんて小洒落た文句はこっぱずかしくて言えやしないが、例えば、目の前で震え上がってる女が居れば───



 血反吐を撒き散らしてでも
 助けてやる。





 それが、オレたち戦士の誇りだ。






  
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