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「その……、護豪業人になるには、いちいち幽云≠チてやつの血を貰わなきゃいけないの?」

 私が問うと、迅は「いい質問だね」と微笑んだ。愛らしい微笑みに、心が癒やされる。───現に、私の心臓はもう宙返りをしない。

「ただ幽云の血液を取り込むだけじゃあ、護豪業人にはなれないんだ。護豪業人になる為に必要なのは、三つの遺伝子」

 急に遺伝子レベルの話になったが、私は付いて行けるだろうか。……理科は得意なほうだけれど。

「ひとつは、 媒体となる自分自身の遺伝子。これに『幽云遺伝子』と『正義遺伝子』を加えることによって、MB-5≠ェ生み出される」

 正義遺伝子?

「護豪業人は超人的力をもつから、必ず正義を誓わなくちゃいけない。力≠ヘ正しく使われなければ、世界は破滅するからね。悪人は力≠持ち得てはいけない───でしょ?」

 私は小さく頷いた。

「『正義遺伝子』はある人の遺伝子の俗称で、それを有することによって、人格が正しい方向へと導かれる。───勿論、あくまで『根底の人格』を修正するだけで、各個人の自我を侵すことはないけどね」

 畢竟、「護豪業人に悪人は居ない」ということを迅は私に伝えたいらしかった。

「その『正義遺伝子』って、」

 誰?
 と、尋ねるまでもない。

「うん」

 彼は頷いた。



「───豪の遺伝子だよ」






  
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