2014/01/28 08:40



「アンタ……なに、泣いてんのさ…」
「……………え?」

泣いてる?ないてる?ないてる、と、あああ、どうしてどうして、
ぬれてる。しっとりと膨らんでいる。つうっ、と、哀しみのような。ずいぶんと前になくした体の機能を意図せずとも引き出した。事実。目を丸くした、彼女。潤んでよく見えないけれど。
重く感じる手を頬に持ってきて、人差し指と中指でなぞる、と、僕の頬はしとどに濡れて。

「どう、して………」

悲しかったのか、情けないのか。
涙の粒が僕から落ちて、トランプの上に散っていく。濡れたトランプはもう使い物にならないというのに。自分の頬をすすす、となぞると、顎の方でちくちくとした髭の感触。胸の辺りがぴりっと痛んで、潔く泣いていることを認めざるを得なくなった。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -