M(無限)R(ループって)K?(怖くね?)
Aomine × Akashi
「お前、こういうの好きだっただろ」
――熱を孕んだ瞳が、青峰を見る。
*
これはきっと、珍しくオレがシケンベンキョーなどというものに勤しんだから、『お前無理すんなよ!ちょっと息抜きしようぜ?』という本能の部分がオレに休息を求めて見せた夢か幻なのだと思う。だが一言だけオレはオレの本能に言いたい。オレは知らないやつがいないと言ってもいいほどに巨乳が好きだと公言をしているし、胸さえデカければ顔がそんなに好みでなくても愛せる自信がある。
それなのに、どうして。
「見られて興奮してんのか?いつもより感じてんじゃねーか」
オレは目の前で行われていることを理解できずにただ見つめるしかできない。
いくら普段しねぇことして疲れてるからって、なんでだ。これはなんなんだ。突然オレの部屋に裸も同然な姿で現れた二人組。そしてその姿は、やけに見覚えのある……正確に言うなら見覚えのある奴の、数年後、といった方がいいのだろう。オレが悲鳴を上げなかったのも、不審者だと思って直ぐに追い出そうとしなかったのもそれが原因だ。
「大輝っ、いやだやめろっ」
「口と体の反応は別なんだな。オレはどっちを信じればいいんだよ、赤司?」
……大輝、と、赤司。想像通りの名前でお互いを呼び合っている奴らは、何故かオレの前でエロい事をしていた。
えっ、これ赤司だよな?この大輝って呼ばれた……もしかしてこいつ未来のオレ……?……に下に押さえ込まれて、何故かケツに指突っ込まれてるのって。状況がよくわからずにガン見をしていると、オレの視線に気付いたのか今の赤司よりも大人びた赤司は掠れた声で、
「みる、な……っ」
と言った。
…………エロい。マジでエロい。
「っ、うぅ、っあ、本当に、なにが起きてるんだ……っ」
オレの視線から逃れるように赤司は真っ赤になっている顔を逸らして小声でそう呟いた。この赤司もオレと同じくこの状況が理解出来ていないらしい。そうなると、おかしいのはこの何故か赤司の下半身を好き勝手いじって楽しそうにしている未来のオレだ。……なんでこいつこんなこと平然としてんの!?そう思っていると未来のオレはオレに視線を向け、オレはその目つきの悪さにびくりとなってしまう。
「いいこと教えてやるよ。オレと赤司は付き合ってる」
「…………は?」
「だからこんなことしてても何も問題はねぇんだ。わかったか?」
「問題は、大アリだろ……っ、なんなんだこれは、お前の悪趣味な悪戯かっ」
「あー、はいはい。オレもよくわかってないんだからあんま聞くなって。たぶん夢とかそんなんだよ」
そう言って未来のオレは赤司にキスをして、赤司が何かを言おうとしたのを塞いだ。…………。…………そうか、これは夢か。なら問題は、ねえな!さっきこいつらが現れた時に驚いて尻餅をついて、今そのケツがズキズキしているのも、二人から出ている熱気がこの部屋を熱くしていて汗が出てくるのも、それは夢じゃないって事の証明にはならないよな!!!うん!!!!!!
「ちくしょう……なんて夢だよ……」
脳がオレにこの夢か幻かを見せてるとしても、なんで未来のオレと赤司なんだよ。なんで付き合ってるんだよ。そしてなんでここでそんなことしてるんだよ。そして何より……なんでオレはそれを見てちんこが固くなってんだよ……!一番の問題はコレだよ!!
自称未来のオレとその恋人の赤司は煽るだけ煽ったオレを無視してイチャイチャしているでオレは完全に蚊帳の外状態だ。ぼんやりと二人の様子を見つめることしか出来ない。
そんなオレを見かねたのか、未来のオレは赤司にキスをするのをやめてオレを手招きした。正直食われるんじゃねぇかって思いもあったが、まぁいいか、という思いもあった。何故かはわからない。ただ、損はしない……そんな予感があった。
もうこの時点でオレの中には目の前で起こっていることへの疑問は無くなっていた。夢でも幻でもなんでもいい。目の前で起きていることが全てだ。それ以上でもそれ行かでも無い。それならば、今できることをすればいいだけの話だろう。
オレの目の前で赤司は未来のオレに指を突っ込まれている。しかもその格好と言うのが、赤司の下半身がオレから丸見えになる、というとんでもない格好であり、未来のオレが嫌がる赤司を無視して作った体勢である。ものすごい罵倒が未来のオレへと向けられていたが、慣れているのか意味を分かっていないのか(オレは赤司の言っている言葉の半分も分からなかった)ひょいとかわして好きなように赤司をいじっていた。赤司は指を動かされる度に顔を歪めたり声を上げていたりしたが、未来のオレが「これが赤司の感じてる顔だ」「こいつの嫌はもっとしてくれって意味だから」などなど解説を入れてくれるのでそれを信じることにした。
未来のオレは赤司から指を抜き、赤司がほっとしたように見えたのも束の間、オレに向かって口を開いた。
「ホラ、指入れてみろよ」
「……い、いいのか?」
「駄目だ!」
「いいぞ」
「どっちだよ!」
赤司と未来のオレの声が重なってオレは混乱した。だけど興味があったのと、目を真っ赤にしながら睨んでくる赤司と人を殺せそうな目で睨んでくる未来のオレ、どっちの言う事を聞くかと聞かれたらそりゃ答えは一つだった。何故だかわからないが、赤司のその顔を見ていると少し、変な気持ちになってしまう。
未来のオレは足で赤司の足を封じ、片手で赤司の両腕を封じ、もう片手でオレの手を掴んで赤司のそこへと導いた。涙目になって赤司が首を振っていたが、オレはワザとそれを無視した。
「っ、」
「……や、め」
――すごく熱い。最初に思ったのはそれだった。さっきまで未来のオレの指が入っていたからだろうか、すんなりとオレの指を赤司は飲み込んでしまった。最初の入口の部分は狭かったが、中はそうでもなくフワフワとしていてうごめいている。指を少し動かす度にぐちゅ、とエロい音が聞こえてきてオレは口の中が乾いてることに気付いた。
「いい事教えてやる――」
「く、……あッ!?」
未来のオレはそう言ってオレの指が入っているのに構わず自分の指も一気に二本も入れて、オレの指を先導するように動かした。
「ここら辺だ、ここを強くこすってみろ」
「ここか?」
教えられた通りに指を動かす――と、赤司が大きな声を上げて体を跳ねさせた。驚いて指を抜きかけたが未来のオレに止められ、そのまま動かせと命令されてそれに応える。赤司は顔や体を赤く染めて何かに耐えるみたいにブルブルと震えていて、本当に大丈夫なのかと不安になる。
「お、おい」
「いいんだって、オレがいつもしてることだ。赤司、まだいけるだろ?」
「〜〜〜!」
「ほら平気だとよ」
「すっげぇ首ブンブン振ってんだけど」
けどいつもしてるみたいだし、大丈夫なんだろう。オレは少し安心して指を再び動かすと、未来のオレは勃ち上がっていた赤司のものを掴んで扱き始めた。赤司の反応が更に強くなる。
「ここは今は見るだけな。実際にはお前が自分で見つけろ」
「おう?」
「だ、……っいき!おま、えっいい加減にっ……うぁァ!」
見とけ、と言われ未来のオレの手の動きを見る。最初はよくわからなかったが、どうも赤司の弱い場所、というのがあるらしい。今は駄目、と言った意味がわからなかったが、つまり後からはいいってことなのか?
そんな事を考えている内に赤司が短い悲鳴を上げて痙攣をするように跳ねた。驚いて中の弱い場所を強く引っ掻いてしまい、赤司は声にならない声で射精をした。……他人のイクとこ見んの初めてだな……。オレは自分でやっててここまで派手にイカないんだけど、人によって違うってことか?
オレが指を抜くと未来のオレは赤司を離し、赤司はベッドの上に倒れ込み荒い息を整える。
「ほら見とけ。これがオレと赤司のセックスだ」
未来のオレはぐったりとしている赤司の腰を掴みそのまま引き寄せたと思ったら次の瞬間に赤司は苦しそうな声を上げていた。
「あァっ、ふ、ばか……っ!」
「……お手本見せてやってんだよ。お前だって不思議に思ってたんだろ」
「………………、フ、たしかに、これは言葉で説明されていても信じ、られなかっただろうな……っ」
な、なんだ!?この二人は何の話をしているんだ!?
目の前の出来事に目を回しているオレを無視して二人はやけにくっつきながら、オレにはわからない話をする。それにそれをオレに説明する気も無いみたいだ。
そうこうしている内に未来のオレは赤司に腰をぶつけるみたいに動き、四つん這いになっている赤司はその動きに合わせて揺れている。……見間違いじゃなけりゃ、赤司のケツに未来のオレのちんこが入ってた、と、思う……。
「な、何してんだよお前ら!?」
「あァ……?何って、セックスだよセックス。さっきまで何してると思ってたんだ。コレ入れる準備だろーが」
「なにって……」
ただ単に言われるままの事をして、滅茶苦茶エロいなんだこれ、って思ってただけだった。
「…………オレって、ここまで馬鹿だったのか?」
「おっお前だってオレなんだろ!!」
未来のオレに可哀想な物を見るような目で見られた。
だがそれよりも、オレと(未来の、だが)赤司がそんなことをしているということの方がオレにとっては重大な出来事だった。だって、さっき見た限りじゃ結構でかかったオレのちんこが、この赤司の中に入ってる、ってことだろ……?
「こっ、これ痛いんじゃねぇのか……?」
「バーカ、見てみろよお前。これが痛いって顔か?」
嫌がる赤司の顔を未来のオレは乱暴に掴んでオレの方に向けさせた。やめろ、と刺々しい声で赤司が抗議しているが、未来のオレが動く度に赤司の声は泣いているような、なんだか濡れているような、そんな声に変わっていく。さっきまで歪んでいた表情も今では溶けたような表情になっていて、人間ってのはこんな顔にもなれるのか、とオレは思ってしまった。――喉が鳴る。知らず知らずの内に唾を飲み込んでいたみたいだ。それにオレ、今絶対フル勃起してる。この二人に気付かれてるかはわかんねぇけど、さっきからちんこがすっげえ痛い。
――でもそれよりも気になったことがある。
「お、おい。あんま乱暴にしてやんなよ」
初めて見る、というのもあったんだろう。しかもそれが自称未来のオレと赤司、ということも大きな理由の一つだった。とにかくオレは、生で人のセッ……、ックスを見るってのが初めてで、そのあまりの激しさにビビっちまった。赤司も苦しそうな声を出していたし、それを出させてるのが未来のオレ自身というもの。
「…………………………本当に大輝か、お前」
「……おい、普段のオレが優しくないみたいに言うなよ」
オレの声を聞いて少しゆっくりな動きになった未来のオレと、そのお陰で余裕が出来たらしい赤司がこちらを向いてやけに眩しいものを見るみたいな表情になった。……オレなんか変なこと言ったか?
「そのまま育ってくれよ……僕の体のためにも」
「お、おう?」
しみじみ、といった様に赤司はオレに言い、その後ろでは未来のオレが不服そうな表情をしていた。
そこで赤司は何かに気付いたような表情をして一瞬笑い、なんだ?と思っているとこちらへ這うように近付いて来た。
「っなァ!?」
赤司がオレのちんこをパンツから取り出した、と頭が理解した頃には既に赤司はオレのそれを口に含んでいた。熱いものに包まれて、今まで感じたことの無い感触に思わす腰が引けるが赤司がオレの腰をがっしりと掴んでしまって離してくれない。
「おまっ、オレには滅多にしねぇくせに!」
「ふっ、もう少し可愛げが、あったらして、やるさ……」
「っ、あっ!、しゃ、しゃべんな……っ!」
ただでさえ今まで感じたことのない快感だというのに、赤司がしゃべる度に赤司の歯がオレのに当たって痛い。痛いのに、赤司はすぐにそこを、多分、舌……で慰めるように舐めてくるから痛いのか気持ちいいのかわからなくなる。オレはわけがわからなくなって、赤司がオレのを咥えてるところなんて直視もできなくて、目を強くつむってシーツを握り締める。
「……初々しいな、可愛い」
「――だ、からっ、しゃべんなっ」
勃起したちんこすら見られるのはこれが初めてなのに、その上それを舐められているなんて、今のオレじゃ処理ができない。息が切れ切れになって逃げようとしても赤司が宥めるように背中や太ももを撫でてきて押さえ付けるし、咥えるだけじゃなくて先っぽを吸ったり玉も舐めたりしてきてもう腰から下が別の生き物になったみたいだ。
「くっそ、ホントお前可愛くねぇな!」
「っ!?」
「うわっ!」
赤司とオレの驚いた声が重なった。赤司を後ろから犯していた未来のオレは突然赤司を抱き上げて、自分の上に赤司を乗せるような体勢を取った。その格好はオレからだと完全に二人の……が見える格好で、思わず目を逸らしてしまったけど未来のオレのちんこが全部入りきってしまっていたように見えた。
「……っ〜〜!だい、きっ、ぉまえ、」
「うっせぇ。オレだけ除け者みたいにしやがって」
未来のオレはそう言うと赤司の顔を自分の方に向かせて、まるで噛み付くみたいに赤司にキスをした。それは洋画なんかで見るみたいな舌をベロベロさせるような奴で思わずそれを食い入るように見てしまう。暫くして満足したのか未来のオレは赤司から離れて、赤司は顔を赤くしてはぁはぁ言っている。
さっきみたいな怒っているような顔じゃなく、でもまだ不満そうな顔で未来のオレはオレを見た。
「お前もだ。お前もオレなら赤司に良いようにやられてんじゃねぇよ!」
「し……仕方ねぇだろ!!健全なバスケ少年に何求めてんだおっさん!!!」
「だァれがおっさんだクソガキ!!」
「……不毛だな」
険悪になりかけたオレたちは赤司のその一言で冷静になった。確かにフモーだ。フモーってなんだ、とも思ったがなんとなくの意味はわかったからいい。未来のオレもフモーだとわかったようでため息をついて、一瞬赤司に視線を落とし、放置されたオレの痛いほど張り詰めているちんこを見たと思ったら何かいい事でも思いついたみたいに凶悪な笑顔になった。自分が将来ああなると思ったらものすごいレベルで拒否したくなるほどの凶悪っぷりに思わず引くほどの笑顔だった。だがそれは体勢的にもオレにしか見えていない笑顔で、赤司は固まったオレを見て不思議そうな表情をしたが数秒後にその意味を知ることになる。
「ハッ、……おらクソガキ。フツーの健全なバスケ少年には出来ない経験をさせてやるよ」
そう言ったと思うと、未来のオレは赤司の両膝に腕を入れ膝立ちになってそのまま持ち上げてしまった。赤司はギョッとしたように暴れかけるがその体勢だと出来る抵抗は少なく軽々と未来のオレに押さえ込まれてしまう。オレは未来のオレの顔を見た途端にそれが何を意味しているかを理解した。
――赤司が可哀想だ、とか、そんなの無理だ、という気持ちは不思議と湧かなかった。オレは赤司に近付き、未来のオレのちんこが入って限界まで広がっているんじゃないかと思うそこに自分のちんこをくっつけた。
「っ!やめろっ、無理だ入らない……っ!」
「だーいじょうぶだって。お前もたまには違ったことしてみてぇだろ?」
「う、せっま、……!」
「あ、……ああぁ、ぐッ、う……ァ!」
最初あまりの狭さに無理なんじゃないかとも思ったが、オレのものは少しずつ赤司の中へと入っていく。その度にめりめりと赤司が広がっていく感覚と、きつくて痛いのに物凄く熱いて柔らかいものに包まれていく感覚がオレを襲う。さっき赤司に舐めてもらった時も気持ちよかったが、今のこれはそれとはまた違った、オレが目の前の赤司を本当に犯している、と実感できる感覚だった。
「っ、ふ、……は、ぜんぶ、入った」
「ぅ……、」
どれだけ時間がかかったかはわからないが、入った、と思った時にはもう汗だくだった。そこでようやく周りを気にする事が出来るようになって、いつからかうめき声もあまり出さなくなっていた赤司に気付いて慌てて赤司の様子を見る。オレは言葉を失った。
「……だから言ったろ?大丈夫だって」
――逃げ道を奪われ、男二人分の欲望を一つの身で受け止めた赤司は顔を真っ赤にさせながらも、息も絶え絶えな状態になりながらも……笑っていた。下の方に視線を落とすと赤司のちんこはオレと赤司の腹に潰されていながらも痛そうなほどに勃起していて、先っぽからヌルヌルしたものが出ている。
直ぐに未来のオレが動いて赤司の表情が変わったから本当に笑っていたかは自信がない。でも揺らされる度に赤司は悲鳴のような声を上げてオレに抱きつく。そんな赤司の首筋に未来のオレは後ろから噛み付いて、そのまま音を立てて強く吸っている。
三つで一つの生き物になったような気分だ。空気が熱くて酸素が少なくて、頭が痛い。それでも生々しい息遣いと汗で滑る肌がオレに今ダイレクトに快感を伝えてくる。
赤司の中で擦れて、搾られて、オレの頭は爆発しそうだ。
「うァっ、もう、駄目だっ……!」
――や、ばっ、出るっ……!
オレは頭の中が真っ白になると同時に、体に強い衝撃を覚えた。
「………………………………ゆ、…………め」
ベッドから落下した所為で痛む頭がと濡れて気持ちが悪いパンツが、その事実をまざまざとオレにつきつけていた。
「青峰君おはよーう!」
「……おーう」
「えっヤダ何すごい顔してる!寝てないの?はっ……!まさか勉強してたの!?」
信じられないような物を見るような目でオレを見てくるさつきの頭をぐしゃぐしゃにして、オレは眩しい朝日に目を細めながら歩く。さつきのきーきー大きい声がうるさい。頭に響く。
校門に近付いてきたところでさつきが何かに気付いたように振り向き、オレもその方向を見るとそこには赤司がいた。心臓が妙な音を立てた。
「おはよう、赤司君!」
「おはよう桃井。青峰も、おはよう」
「……」
「だ……青峰君?」
あんな夢を見た後で赤司の顔をまともに見れるはずもなく、オレは赤司を避けるように早歩きでその場から去ろうとしたがさつきの馬鹿が引き止めてくる。
「ちょっと、挨拶くらいしなよ!」
「アー、オハヨウゴザイマス赤司クン」
ポンと赤司の肩に手を置いてすぐに行こうと思ったが、その手を強く払われて驚いて赤司を見る。赤司はハッとしたように「あ、ああ、すまない」と言ってきてオレは呆然と赤司の顔を見つめる。すると耐えられないとでも言うように赤司は逃げようとしたのでオレも何故か赤司の腕を掴む。すると今度は先ほどよりは自然に、だけど確実に拒絶する意思を持って払われた。赤司が早歩きで校舎へと向かう。
オレの手から逃げた赤司の顔が、何故か赤かったような気がした。
「――おいっ、赤司!」
逃げるように早足で去って行く赤司に半ば確信めいた想像をしてしまう。見間違いか?ただの勘違い?そんなの、捕まえればすぐに分かるだろう。
*
「お前、こういうの好きだっただろ」
――熱を孕んだ瞳が、青峰を見る。
「っあ、そこ……っ、いやだ、っ……!」
口ではそう言っているが、赤司の一番いいところを擦り上げると途端に赤司はあられもない声を上げてしまう。
初めての時からそうだった。青峰は赤司の感じるところ弱いところをまるで以前から知っていたかのように責め立てる。赤司が理由を聞いても愛の為せる業だ、と言ってはぐらかし、それを繰り返して赤司は途中で聞くことを諦めた。
「は、ぁん、っう、」
肩に額を強く押し付け、赤司が少しでも快感を逃そうとしているのに気付いて強く中を擦ってやると悲鳴のような声を上げた。普段冷静でなんでも知っている、と言う風な赤司が乱れるのを見るのが好きだ。自分にだけこの姿を見せ、自分にだけこの声を聞かせ、そして唯一自分が赤司にこのような痴態をさらさせる。……一瞬、随分と昔の事を思い出した。あれは果たして本当に夢だったのだろうか。色々とあって赤司と付き合うことになり、初めてのセックスでも赤司に痛い思いをあまりさせなく出来たのもあの夢のお陰と言ってもいい。そして思い起こして見れば赤司と付き合う一番最初のきっかけになったのも、あの不思議な――
「……どこを見てるんだ」
下から赤司に睨まれてハッとする。自分との二人だけの時間に、違うことを考えているのかと責めるような視線に笑みが溢れる。ばぁか、昔も今も、お前を見てるっつーの。と言葉にはせず、赤司にキスを落とす。それを察したのか赤司もゆっくりと目を瞑り、存分にお互いを求め合った。
キスで赤司の口を塞いで、次に離れて目を開けた時。部屋全体の様子が違っているように感じた。
「……あ?」
「うわっ!?」
体を起こしたのとまだ中学生くらいの色黒の奴と目が合ったのは同時だった。そいつは何が起こっているのかわからない、といった様子でオレとオレの下で呆然としている赤司を見比べ尻餅をついている。
「……ハッ、楽しいことが起きるじゃねぇか」
――あの日、オレが見ていた夢。その中でオレは赤司にどんな事をしていたっけか。
驚いているような ”オレ” の姿を見て、今から起こることが楽しみで仕方がない。
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