愛が蛇行する
Hayama × Akashi
情事の余韻の残る中の出来事である。
普段では絶対に口に出さないことを、乗せられて言葉にしてしまった。というのも、何でも質問に答える、と約束をしていたからであり、まさかそんな質問が赤司の背を撫でながら鼻歌を歌っている男がするとは想定していなかったからだ。
「ふんふん、なるほどねー。なんとなーく初めてじゃないなー?でもなー?って思ってたけどやっぱそうかー」
するすると背を撫で続ける葉山の声に怒りや嫉妬などの暗い感情は乗っていない。聞かれたから答えた、それだけのことだがもしかすると隠したほうがいいものだったのだろうか。あまりこういった感情の機微が理解出来ていないと周りの反応などから自覚のある分口をすべらせたかとも考えたが杞憂のようだ。
と、安心しかけたところでふと葉山の手つきが、なにやら色を含んだものに変わった。視線を向けるとそこにはこんな関係になったにも関わらず、変わらずにいつもの笑顔で寝そべる葉山がいた。だが。
「気になんないって言えばウソだけど、前の相手なんて忘れるくらいオレで塗りつぶせばいいだけのことだもんね!……やっべー、興奮してきた」
最後の言葉をぼそりと言われ、無邪気な笑みの奥に隠しきれない欲を感じて、口は災いの元だなと赤司は今後この男の前ではこれまで以上に口を固くすることを心に決めた。
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