たまに来る本音しか話したくない日

Kise × Akashi



 普段は注意をするほどにやかましい人間が大人しくしているだけで、驚く程に静かなものだ。しかしその人物が放つオーラ、と呼べばいいのか、取り巻く雰囲気が刺々しいのは普段騒がしいのとどちらがマシだろうか。

「普段のほうがいいか」
「……なんスか」

 投げやりな視線が飛んできて、質問系の台詞だがおそらくは赤司の発した言葉の意味を理解した上での”なんスか”だろう。
 他の部員がいなくなった途端にこうなったということは部活中は耐えていたのだろう。動きのキレが無いとは思っていたが、体調が悪いということではなくメンタルの問題だと気付いていたので最後まで隠し通すものだと見ていた。

「……紫原に美味いクレープの店を聞いた。行くか」
「なんスかそれ……慰めてるつもりなんスか、あんたの口からクレープって似合わないにも程があんだけど。……行くっス」

 甘えだと分かっている。普段は上手く隠している黄瀬がここまでの態度を見せているのだ、それがどんな感情であれ赤司相手に特別なものを抱いているのだろう。
 中々に立とうとしない黄瀬に手を差し出す。間が入り、そろそろと指が触れる。手をつなぐというには力がなく、触れ合っているというには絡まりすぎている。

「……知り合いがいたら絶対手離して」
「はいはい」

→緑赤 →青赤 →紫赤 →黒赤 →葉赤


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