いただきます
Murasakibara × Akashi
「赤ちん今日甘いにおいする」
「ああ……、今日女子が香水を試してるところを通ったらオレにもかかってしまって」
「ふーん、だからかぁ、すっごい赤ちん美味しそう」
「おや。オレは美味しくいただかれてしまうのか」
「えー、赤ちん食べていいの?」
「よくはないな。腹が減ってるのか?」
「今日オレお菓子あんまり持ってきてなくて、もう全部食べちゃった」
赤司はふむ、と考える素振りを見せ、自分の服をすんと嗅ぐ。甘い、バニラのような香り。かかったのはほんの少しなのでそこまで香りが強いわけではないが、普段無臭に近い分少しの香りが際立つ。赤司はあまり香水自体を好まないが、菓子の香りにも近いこの香り、紫原がいつもより浮き足立っている。
「人間には三大欲求がある」
「んーと、しょくよく、すいみんよく、せいよくだっけ」
紫原がそう答えると、赤司はよくできましたとでも言うかのような笑顔で頷き艶かしく口を開く。
「そのうちのどれか一つが満たされると、他の欲求は薄れる、らしい」
「それって――……」
軽く押されたと気付いたときには、既に押し倒されマウントポジションすら取られていた。赤ちん?と声をかけるとするりと首筋を撫でられる。
「なぁに、今日は積極的〜」
「オレはな、自分の匂いに頓着はしないが、お前にこれが移ってしまうのは面白く無い」
「ん〜?」
「オレとしては、早く汗でもかいてシャワーで流してしまいたんだよ」
そういう赤司の瞳のなんと捕食者めいたことか。果たしてこちらがいただくのか逆にいただかれてしまうのか。紫原の赤司との日々に退屈などない。
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