眼鏡返せ

Midorima × Akashi



 ふ、と突然視界がぼやけ、思わず顔に手をやると触りなれたはずの固い感触が存在せず、緑間は目の前で笑っているのだろう犯人を睨みつける。

「っ、おい」
「んー、ぼやけるな」

 その言葉から、窃盗犯――赤司征十郎が何をしているかの見当がつき思わずため息が出る。

「……返せ」
「ふふ、どうだ似合うか?」
「……見えないのだよ」
「そうか?うん、そうか」

 輪郭がぼんやりと把握出来るだけの視界で、この男の前にいたくはない。普段から何をしでかすか分からないのに、このような色だけが見える世界で赤司に対峙するなど、恐ろしい限りだ。

「なぁ」
「なんだ」
「すごく近いんだが」
「っ……!それを、早く言えっ!」
「いやぁ珍しく積極的だなぁと」

 見えなくとも分かる、――絶対に今目の前の男はニヤニヤと笑っている!

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