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「ムカつくんだよ!てめぇ!調子のってっと…」
「あ゛ァ?」
「ヒィ!」
「び、びびってんじゃねー!おい、佐田!お前が図にのってんのもきょ…」
「ンだと?」
「ヒィ!」
佐田がボキリボキリと指を鳴らせば、不良たちは面白いくらいに顔面蒼白させた。
憐れ、という声がギャラリーから聞こえてこないこともなかった。
「か、金木がどうなっても知らないからな!」
不良Aから漏れた声。
これはまさしく、『言ってはならない言葉』であった。
「……………」
佐田の周りの気温、空気ともにガクリと下がった。
もはやまがまがしいオーラさえも消え、無である。
――佐田が不良たちを殴ろうと、思いっきり腕を引いた。
が、
「淳弘!」
その鶴の一声に、そこら一体の人々がほっと力を抜いた。
金木の登場だ。
もちろんそれに佐田も例外でなく、振り上げていた腕をゆっくりと降ろす。
金木はそれを確認すると、佐田に近寄った。
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