8
――そのあと呆然と家に帰れば、案の定母さんの雷が直撃した。
だけど苦にはならず、というか気にならず。
俺はずっとずっとあの光景を思い浮かべていた。
寝ても覚めてもあの場面。
胸はきしきしと痛み続ける。
――そんな日々を送り続けてしばらく。
俺に衝撃が襲った。
…あの時の彼が、学校にいたから。
ほんの一瞬の出来事だったけど、しっかりと焼き付いてる。
見間違いなんかじゃない。
――俺は思った。
これは運命だ。
あの日のことも全て運命なんだ。
そう、これは運命。
強いてあげるならあの日あの時がきっかけだとは思うけども。
きっかけだなんて、意味を成さない。
むしろ安っぽい。
それは運命だった。
…だなんて、恥ずかしくて言えなかった。
だから俺は適当な理由を付ける。
もちろん稚拙なそれに彼は騙されてくれないけど。
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