第陸訓 七転び八起き


あれから一週間が過ぎました。どうやって和解したのかは、近藤さんが教えてくれました。何でも、さっちゃんさんだけでなく、九兵衛さん達も協力してくれていたそうです。結野さんがそれを取材し、その放送の少し前から警察庁も動いていて、真犯人の天人を捕まえることができたと聞きました。
天人たちは春雨をただ信仰しているだけで、直接的な関わりはなかったそうです。だいぶ前に銀さんや桂さんが乗り込んだことを知り、万事屋に恨みがあったとか。遊ぶような感覚でやっていたと、天人はそう言いました。

僕の足は、なかなか治りそうにありません。毎日姉上がお見舞いに来てくれるのですが、あの暗黒物質を押し付けられて困っているところです。毎回毎回、九兵衛さんがこっそりお持ち帰りしてくれるので助かっています。

僕とカーテン二枚で仕切られた隣のベッドには、山崎さんがいます。五日ほどずっと眠っていたのですが、今は元気そうにしています。山崎さんが目を覚ましたとき、確か近藤さんがいて、居合わせた姉上にぶん殴られて腫れた頬を見せながらも号泣していました。

ただもうちょっと、見舞いなら落ち着いてやってほしいですね。
銀さんと土方さんが、神楽ちゃんと沖田さんが揃えば、必ず喧嘩が始まります。姉上と近藤さんが揃えば、目の前でドロドロのストーカー劇が繰り広げられます。桂さんがいるときに真選組が訪れると、桂さんは窓を破って逃げていきます。もう何枚割れたか分かりません。エンカウント率高すぎます。
おかげで僕はツッコミをしなければなりません。毎日喉がカラカラに、枯れそうです。毎回別に好きでもないのにニロを持ってくる銀さんってどうなんでしょう。山崎さんも何かあったようで、苦笑いをしていました。

つい先日、病室で、改めて真選組からの正式な謝罪の言葉を受けました。銀さんと神楽ちゃんはもうされていたらしいのですが、僕だけ怪我のために遅れたとのことです。近藤さんをはじめ、土方さんや沖田さんまで頭を下げていました。その異様な雰囲気に戸惑うしかありません。
僕も別に怒ってなどいないので、頭を上げるよういいました。それより謝らなければならないのは僕の方だと、僕も頭を下げました。

そうそう、山崎さんにも謝りました。山崎さんが目覚めた日の夜、泣きながら、何を言っているのかは分からないけど。

それからまた一週間、山崎さんより一足先に僕は退院することになりました。まだうまく歩けないので、銀さんと神楽ちゃんに支えてもらいながら万事屋まで歩きました。松葉杖はあったけれど、久しぶりの平和な日々に恥ずかしながら甘えたくなりまして。万事屋の前では定春やお登勢さんたちが待っていてくれて、またこれが心に来るんですね。笑いながら泣くという変な技を習得してしまいました。

さて、満を持して万事屋は再開です。恐らく真選組にも協力してもらったのでしょう、万事屋は前より綺麗になっていました。ただ早速酢昆布の箱が散らかっていたり、いちご牛乳のパックが机の上に置いてあったりするのを見ると、ああ、戻ってきたなあという実感がありました。この一か月以上が夢のようだったと、そう感じられてしまいました。

相変わらず仕事は少ないし、変なストーカーはたくさんいます。
けれど、万事屋は今日も平和です。




Fin


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