※自白


 きらきらしたものに手を伸ばすのは、わたくしにはとても難しいことでございました。汚いものは諦めがつきますし、そもそも触ろうとは思いません。けれど素敵なものにはひとは焦がれずにはいられません。
 わたくしは綺麗なもの、甘いもの、可愛らしいもの、儚いものが好きでした。男の、しかもこんな無愛想でお世辞にも優しそうには見えないわたくしがそれらを愛でることは恥ずかしいことでございました。きっとあなたさまならそんなことはないと否定して下さるのでしょうね。それでもわたくしに染み着いた恥は簡単に消えやしないのでございます。 可愛らしく愛らしく素敵なあなたさま。わたくしが焦がれて止まない、あなたさま。ただ一度だけの笑顔でわたくしはあなたさまに堕ちてしまったのでございます。
 こんなわたくしがあなたさまを愛すなぞおこがましいとクダリには怒られるかもしれません。仲間にだって認めてもらえないに決まっています。それでも、わたくしはあなたさまが欲しい。わたくしに触れて笑って泣いてすがるあなたさまが見たい。きっとわたくしは許されない。少女趣味だけでなく、ヒトに堕ちたわたくしは決して元の世界には戻れないのでしょう。
 汚く暗くおぞましく愛しい地獄に、わたくしはそっと最後の睦言を呟いたのでございます。
 悪魔が人間に恋をする、なんて。

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