露草01
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※現代
好きだよ、なんて今更軽々しく言えることでもないと思う。わたしと露くんが出会ったのはもう随分前になる。最初は喧嘩したり、衝突したりもしたけれど、今はまあそういう仲なわけで。
「ねぇ露くん、今なに観てるの」
「バラエティー番組。観りゃわかんだろ」
「ふぅん」
気のない返事をしてわたしは露くんの隣に腰を下ろした。視線も寄越さずに露くんはわたしにお菓子を差し出す。それを受け取ってかじる。
「面白い?」
「ん、あー……別に普通じゃね」
露くんの肩に頭を乗せてぐりぐりと動かす。こんなことして許されるのもわたしだけなんだよねぇ、と思うと頬が熱くなる。
「んだよ、寒いのかよ?」
「あんまり。露くんといちゃいちゃしたいだけ」
「はあ?」
声は呆れたようなそれだけれど、手は頭の上に乗せられているし、露くんの口元は緩んでいる。分かりやすい。
すき、すき、……すき。
言葉には出来なくて、胸の中にどんどん溢れてくる。
「なににやけてんだよ」
「いたっ」
「顔真っ赤だし。自分で言ったことじゃねえか」
「露くんも赤いんですけどぉ」
「……」
額を小突かれて、露くんを睨みつけるとなぜか彼は黙っていた。段々と露くんの顔が近づいてきて、
「!」
「……口にするとでも思ったのかよ」
頭の上に落とされた唇は優しかった。じわじわ広がる熱に、どうしたら良いのか分からなくなる。なんだか物足りなくて、露くんを見上げると彼は恥ずかしそうに眼を逸らしてきた。
「んな顔すんな馬鹿」
「露くん、」
「ちょ、おい」
「……くちが良い」
お願い、と呟くと露くんは煽るな、と首を振った。それからわたしの頬に手をやり、唇を重ねた。露くんの乾燥した唇がわたしに触れて、離されて、またくっついて。三回くらいそうしたあと、ぺろりと唇を舐められた。
「これで満足かよ」
「……うん」
「やっすい奴」
「露くん、ありがと。なんか、すごく温かくなった」
「そうかよ」
わたしたちは顔を見合わせて少しだけ笑った。
すきって言わなくても、お互いどういう気持ちかもう分かるもんね?
*
信じられないくらい甘くてやばい、なんで露草のはあまあましかかけないんだ。
201204??に書きました。
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