夢?






働き出してから迎えた子猫。
飼いだしてからもうすぐ1年になる。

「さやか〜」

カラカラと餌の音をさせるとすっ飛んできて
足元に絡みつく。

「美味しい?」

「ニャア!」

「ふふ、大丈夫大丈夫、取らないって」

私が撫でてあげようと手を伸ばすと、
エサを取られると勘違いしたのか睨むように見上げてくるけど、もうその姿でさえもかわいい。

「さーやかー」

「…」

「ちょっと!さやかー」

「…」

「、、もう」

私が構って欲しい時には興味も示さず、ずっと外を見ているくせに

「ちょっ!まって!あかん!」

「ニャッ」

「あぁ!ほら、わかった、わかったから!」

「ニャア〜」

何かしてる時に限ってこうして構ってくれって寄ってくる。

「よーしよしよしよし」

撫でてあげるとゴロゴロと気持ちよさそうに喉を鳴らす。

…ほんでな?
最近見た動画で、飼い猫の前でぬいぐるみを可愛がるっていう動画があって
その動画の猫ちゃんが、もうびっくりするくらい可愛くて!

私もちっちゃい頃に好きだったイルカのぬいぐるみを引っ張り出して
さやかの前で可愛がってやろう

相変わらず、ツーンと窓の外を見ているさやか。

「イルカちゃーん!かわいいねぇ、かわいいねぇ」

「…」

「よしよしよしよしっ」

「…?」

あ、こっち向いた。

「かわいいかわいいっ。あーらかわいいっ」

「…」

さやかは私の様子をじっとみている。
違和感に気づいてるみたいやな。

「よーしよしよし、よーしよしよし」

「…」

辛抱強くイルカを可愛がっていると、さやかはそろそろと私のそばまで寄ってきて、膝のあたりをツンツンしだした。

寄ってきた寄ってきた…!

もうその時点でかわいいんやけど
我慢してイルカを可愛がり続ける。

「イルカちゃんね〜かわいいねぇ〜」

「…ニャ…」

今度は膝にスリスリ。
なに、かわいいっ甘えてる…!

「…ニャッ、、ニャッ、、」

「ぷっ」

次は軽く立って、前足でアピール。
私、ここにいるんですけどって言ってるみたい。切なそうな表情もまた、萌えるな…

「ッニャア!」

最後は私に飛びついてゴールイン。

流石に私も耐えきれない!
イルカを投げ捨てて、さやかを抱きしめた。

「かわいいっ!よしよし!さやかがいちばんやで〜っ」


…………


………


……


「…んっ、、さやか…」

「おいっ、みゆきっ苦しい!離せっ」

「…ん?」

「ん?じゃないねん!抱えてたクッション投げ飛ばしたと思ったら、首絞めてくるからびっくりするやろ!人を殺す夢でも見てたんか?」

「、、あれ、さやかは?」

「はぁ?あんたには私が誰に見えてるねん」

まったく、みゆきは寝起き悪いなぁ
さやかちゃんはそう言いながら、私が投げたであろうクッションを拾いに行った。

あれっ
夢…やったんか
てか、私いつの間に寝ちゃったん?

「ほら。」

差し出されたクッションを抱きかかえると、さやかちゃんはそのままソファの隣に腰掛けた。
私の身体にはブランケットがかかっていて
さやかちゃんは録り溜めてたお笑い番組を観ているようだ。


「さやかちゃん」

「ん?」

「よしよし」

「、、は?まだ寝ぼけてる?」

「よーしよしよし」

「…なんやねん。」

「さやかちゃんが、いちばんやで〜?」

「…知ってるわ、アホ」

おっと、かわいい反応。
いつもならこんなことしたら払いのけるのに。

あ、やっぱり夢じゃなかったのかも
なんて、ね。



(さっきまでうたた寝してたけど、みゆきに飼われてた夢みてたなんて、言えへんわ…)










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擬人?これ、擬物化…なのか?
そう思って、とりあえずwarningに置きました。


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