――日本、××空港。
「……っ着いたー!」
んー、と伸びをして長時間同じ体制をしていて固まった身体をほぐす。なんかボキボキッて痛々しい音が聞こえたけどまあ気にしない気にしない。
――あの後。直ぐに私は準備をして用意されていたジェット機に乗り込んだ。
空港にはヴァリアーの皆が見送りに来てくれた。家族みたいに思っている皆と離れるのはやっぱりちょっと寂しくて。子どものようにわんわん泣いてしまった。(…なんか思い出したらちょっぴり恥ずかしくなってきた)
「お疲れ様でした、さくら様。」
「ん、ありがと。」
部下から荷物をもらって携帯を開くと12時07分。どうやら少し遅くなってしまったようだ。いかんいかん。
「では、どうぞお気を付けて。」
「うん、楽しんでくるよ。
じゃ、いってきます!」
大きく手を振り部下達に別れを告げゲートをくぐり彼を探そうと歩き出した途端、後ろから伸びてきた腕によって荷物を取り去られる。
え、なにひったくり!?と慌てて後ろを向くとそこには愛しい彼の姿があった。
「俺を待たせるなんていい度胸じゃないか、さくら」
「征十郎!!」
ああ、やっと
やっと、
――…会えた。
伝えたいことはいっぱいあった。
ベルと一緒に遊んで、調子に乗りすぎてボスに怒られたこととか、ルッス姐に料理を教わって色んなもの作れるようになったんだとか。
聞きたいこともいっぱいあった。
学校はどんなところなのか、授業はどんななのか、部活では征十郎はどんな活躍をしてるのかとか。
でも、そんなことは彼を見た瞬間どうでも良くなった。ただ、彼の温もりを感じたくて。
だからわたしは、
直ぐ様彼の腕の中へと飛び込んだ。
愛が溢れた白昼夢
(私が夢から覚めるのは)
(おかえり、と耳元からのテノールで)