「ふぁ……」


眠い。激しく眠い。

ここ最近ろくに睡眠をとってなかった。1週間の長期任務にくわえ、アジトに戻ってからは書類相手に何時間もにらめっこ。結局全部終わったらもう明け方。今日は久々の休日だ。今日こそは思いっきり寝てやる、と決意を胸にベットに入ろうとしたところ、邪魔は入ったのだ。




「今すぐ来やがれドカス」




…うん、いやね、上司からの呼び出しとあらばいかないわけにはいかないんだけれども。いつもベルとかと一緒になって遊んで書類を溜めてた私も悪いんだけども。
だけど今日は眠いんだよー寝かせてよお願い。





「……はあ、」


立ち止まり目の前にある扉を見つめて、小さく溜め息を吐く。
そのある意味個室の意味も含まれる執務室は私達幹部の中でも一人しか与えられていない。何時ものように執務机に足をのせふんぞり返っているであろう人物を思い浮かべた。


「…はあ、」


再度溜め息をひとつ吐き、次は深呼吸をしてノックをする。


「入れ」


―少し掠れたテノールが聞こえて、扉を開け中に入る。そして自分を呼び出した人物の前に立った。その瞳の色は、私の思い描いていたものと同じだった。


赤い色彩
(それは、私が一番好きな色)




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