「女子っていうのは奇跡の存在なんだと思うんだよね!だって子供を産めるのは女の子だけだし、その貴重な存在を守るために男っていうのは居ると思うんだ!この見解をどう思うよ花火君!?」
「同感やな!まぁ誇張はあるけどほぼその通りやわ!その可愛い女の子を守りたくなるのも当たり前やし、男として話しかけたなるのも当然やと思うねん!よぉ分かってるやん!」
「…………ねぇ恋。これどういう状況?」
『……分からん……』
「……どうしよう鈴希君……」
「放っておけ。」
「ええ!?」
ここはイッシュ地方のどこかの街。
そこの広場の噴水前で二人の男女が『女性』について語りあっていた。
一人は青髪のトレーナートウヤ、もう一人は擬人化したガーディの花火。
先程旅の途中だったナマエと福引きでイッシュ行きのチケットを当てたトウヤが偶然出会い、ナンパ擬きのようなことをトウヤがナマエに仕掛けた事を切っ掛けとして仲良くなったのだ。(その際トウヤは鈴希から制裁を受けた)
それから恋の正体がバレたりお互い擬人化の事を知っていたりと打ち解けた後、何故かナマエとトウヤの会話から花火とトウヤの会話に切り替わっていったのだ。
そしてこの状況である。
あれだけ話してまだ話は尽きないのかとナマエがいい加減げんなりとしてきた頃、しびれを切らしたように鈴希が二人へと近づいていった。
そして
「ウザい。」
それだけ言ってどこか不機嫌そうな顔をした鈴希が繰り出したのは、かなり威力のありそうな拳骨だった。
ゴチィン!!
「っでぇ!!」
「痛ぁっ!?」
いい音が辺りに鳴り響き、二人は同じ格好で踞った。
呻く二人に当の本人は「耳障りな会話をあれ以上撒き散らすな、迷惑だ。」と止めのような言葉を投げやりに言いつけ、噴水の縁に座った。
「鈴希君……流石にやり過ぎじゃない?」
「何処がだ。」
ナマエの遠慮がちな注意を気にする事なく澄まし顔で自分の相棒を見る鈴希の目はとても冷たく、ああいつもこうなんだなと理解させるものがあった。
「いや、それにしても暴力的過ぎんだよな鈴希は……口で言おう。mouth,speak,talk!!」
「口で言っても聞かんだろうお前の場合。あと一々英語にするな鬱陶しい。」
トウヤの反論にも知らん顔で返り討ちにする鈴希に、ナマエは苦笑するしかなかった。
そんなナマエの足元で、希色と飛翼がまだ痛がっている花火を一生懸命に慰めているのが見えた。
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