頂き捧げ | ナノ


「まぁこうやって出会えたのは何か意味があるんだと思うんだよね!ということでハル、一緒に観光しよう!……待て鈴希、これはナンパじゃない!拳を降ろせ、な!?」

なんて。
茶番のような事も一段落して、トレーナー同士の観光が始まった。
今日は祭らしく、沢山の出店が好奇心を擽る。
まるで小さな子供のように目を輝かせるナマエとトウヤはまず何の店に行こうか迷ったが腹ごしらえのため食べ物屋に行く事にした。
こういう場に来るのが初めてである火憐、飛翼、希色はそれぞれの反応を見せていた。
火憐は相変わらず今にも跳ねて行きそうな勢いで店を見つめているし、飛翼と希色は人混みに怯えながらも興味津々といった視線で綿菓子の甘ったるい臭いを嗅いでいた。
ちなみに鈴希は溢れかえっている人に嫌悪の視線を浴びせかけ、恋はその様子を見て笑っている。

「何食うナマエ?」

「んーとえーと……食べたいものが多すぎる!」

「俺はまずたこ焼きと焼きとうもろこしだな!お前らは?」

どうしようかと辺りを見回すナマエから意識を一旦仲間に向けるトウヤ。鈴希は取り敢えず人混みを避けたいとの事で、空いている端のスペースを指差し「適当」とだけ言ってそこに去っていった。
その間数人の女性声を掛けられて
いるのが見えて、トウヤは悔しいながら滑稽だった。
火憐は「おれお嬢と同じー!」と元気よく挙手してアピール、飛翼は「焼きそばと、あのふわふわそたのが食べたい!」と珍しく火憐と同じくらい元気に言った。

「希色と花火は?」

結局自分は決めきれず先に仲間に訊いたナマエ、すると希色は「……ん、と、飛翼と同じがいい。」と答え、花火は浴衣姿の女の子に目移りしながら「俺はお好み焼きやな!」と言った。

「じゃああたしも焼きそばと……チョコバナナ!うん、そうしよう!」

皆の注文を参考にナマエも決めて、トウヤと共に店へ向かった。
その間他の仲間も鈴希の行ったスペースに入り、自分達の主人を待った。


*****


「「お待たせー!」」

頼みの品を皆に見せると、鈴希以外の全員が食べ物に飛び付いた。
ベンチに腰掛け、皆でワイワイと雑談をする。

「あー、チケット当たるわ可愛い女の子と祭に行けるわ、俺今日死ぬかもしれない。」

「へっ!?」

唐突なトウヤの言葉に危うくチョコバナナを落としそうになったナマエ。その台詞に反応したのはナマエだけではなかった。

「ええっ!?お、お嬢死ぬんすか!?ダメっすよ!」

「お姉ちゃんどうしたの!?」

火憐と飛翼が過敏な反応を示しトウヤに詰め寄ったが、トウヤ自身は困ったように対処していた。

そして食べ終わり、おもむろにナマエは立ち上がった。

「よっし!腹ごしらえも済んだし、遊びに行こうか!」

「おお、賛成ー!」

ナマエの提案に乗りトウヤも立ち上がる。
飛翼と希色も私を頬張りながら行くとジェスチャーで意思を伝えた。

「俺、女の子に声掛けてくるわー。な、れっくんも行かへん!?」

「誰がれっくんだ。するかそんな事。」

「ええからええから!」

ナマエと鈴希が何か言う前に足早にその場を去る花火。勿論鈴希を引きずって、だ。
トウヤは「鈴希、何もすんなよ…」と呟いた。





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