ふわふわと、意識が、彷徨う

目を開けるのも身体を動かすことも億劫で、ハルはそのまま時の流れに身を任せていた


なんにもない
辺り一面真っ黒い暗闇
何故、あたしはここにいる?
ここはどこ?
あたしは、さっきまで、何をしていた?


思い出そうとしても、脳みそがそれを頑なに拒否する。
頭の中はいつも以上に真っ白だ


そのまま、身を任せていれば…頭の中に、映像が映り込んだ


小さな女の子が楽しげに絵を描いている
とても楽しそうだ


あれ?待って?


あれは…あたし?


小さい頃のあたし?



映像の中のハルは、絵が完成させたのか出来上がった絵を、じゃーんと効果音付きで誰かに見せた

すると手が現れ、優しく小さい頃のハルの頭を撫でていた


父さんの、手?

いや…違う。あれは、父さんじゃない

なにも根拠は無いけれど、あたしの勘が言っている。あの手は父さんじゃない…


ならば、誰?

あの手は誰?



映像の中のハルは撫でられるたびに嬉しそうに笑い、そして、その誰かの手を繋ぎ、そのまま光の方へ歩き出した



待って…!

行かないで…!

教えて…!

あたしはその手の主を知らなくちゃいけない気がするの…!

お願い…教えて!



必死に手を伸ばすけど、手は届かないまま、その誰かの手と小さい頃のハルは、一筋の光の中へ消えていく…






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