ジャンガジャンガ
「あっのーー!すっませーん!!」
ジャンガジャンガギィィン
「ちょっとー?!聞こえてますかーーー?!」
ジャンガジャンガジャンガ
『こりゃあ聞こえてへーんわ』
『すっ、ごい…音…』
『…耳が痛いな』みなさんご機嫌よう。お察しの通りあたしたちはタチワキシティのジムの中にいます。まさか、ライブハウスがジムとは思わなくてちょっと驚いたよ。ジョーイさんに聞かなかったらきっと、今日一日タチワキシティを彷徨っていただろう…
それにしても耳が痛くなるほど騒がしい。
まぁ、ライブハウスだから仕方ないのだが。耳は痛くなるし、声が届かないのが難点である。周りはホミカー!とか大声飛ばしてるから、届くかなと思い、大声出したが…全く届かない。
壇上に小柄な白髪の女の子がギターを弾いてるのが見える。女の子がここにいていいのかと思ったが、後ろに男女が見え、それが保護者なのかと勝手に自己解決した
てかホミカって誰?
「ホミカってどの人?」
『えー?なんやってー?』「だからー!ホミカって、誰なの?!」
『アカンわー聞こえへんわー』モンスターボール越でも分かるほどニヤニヤとしながら聞き返してくる花火…
こいつ…ワザとやってんな?!
ムカっときたハルはモンスターボールを口元まで持っていって、すぅと大きく息を吸い込み、そのまま大声とともに出してやった
「ホミカって!どの人!!」
周りの楽器とかにも負けないくらいの大声でいってやれば、花火は耳がキーンとしてるのかア、アカンわ…と呟き目を回していた
へへ、どーんなもんだい!!
そのあとモンスターボールから花火を出して、ホミカと言う人物を教えてもらうことにした。タチワキジムリーダーはホミカっていう人らしいからね…。名前からして女性だけど…ライブハウスには女性もたくさんいるから分からない
まだ耳がキーンと鳴っているのか、うー…と唸りながらライブハウスをキョロキョロと見渡して、ある一点を見つめた
『あの子や、あの子がジムリーダーのホミカや』花火の視線を追っていくと、そこは壇上の上でギターを楽しそうに弾いてる小柄な白髪の女の子……
…え、ってあ…あの子?さっき見た子じゃん。え?あの子がジムリーダー?
どうみたって小学生にしか見えないけど……マジで…ジムリーダー…なの?
あ、でもスモモちゃんとかもいるし…あのくらいでジムリーダーでもおかしくないのか…。
幼いのにジムリーダーに選ばれるってことは…相当な腕っぷしなんだろうな…油断は禁物!やるっきゃないね!
気合を入れてホミカの近くまでいって大声で名前を呼ぶけど…全然反応してくれない。手を振ったり、花火にも手伝って貰ったけど…ギターに夢中で一切こちらを見ない
「どうしよ…」
『つまずいたな』 初っ端から肩を落とし途方にくれてると一人のロックな女性が声をかけてくれた
「あんた、チャレンジャーさん?」
「え…あ、はい!」
「だったら叫ぶだけじゃホミカは気づかないよ。ホミカは今演奏に夢中だからね。」
え、じゃあ今日はジム戦無理的な…?
明らかに落ち込んでるのが分かる落ち込み方をしていると、ロックなお姉さんはクスッと笑って、大丈夫大丈夫!と言ってくれた
「ホミカに挑みたいなら、まずは後ろの二人とバトルして演奏を止めないとね」
女性が指さす方をみれば先ほど両親だと勘違いしていた厳ついお兄さんとお姉さん。どうやら二人とバトルして勝ってあの演奏を止めないとホミカに挑めないらしい。
ハルは足元にいる花火と顔を合わせ一つ頷いてから、教えてくれたお姉さんに礼を言い、壇上にいる厳ついお兄さんとお姉さんのところまで走って行った
壇上にあがり、ロックなお兄さんお姉さんとそれぞれバトルをして、見事勝利を手にしたら演奏が止まった。そして、目の前にいたホミカがチラリとこちらを見て、ヒューと口笛を吹いた
「あんたやるねー、あんなに熱くかっこよく盛り上がっていた演奏を止める…なんてね」
「ジム戦挑んでもいいかな?」
「ふーん…あんた、私に勝てるの?」
「それは分からないけど…ポケモンたちと力を合わせて精一杯戦うよ!」
気合いを込めてそう言えば、ホミカはニィと口角を上げて、持っていた水色のギターをギィィイインと鳴らした。
おお、かっこ良いなホミカちゃん…
私あんな風にギター弾けないよ…楽器演奏出来るのなんだろ?リコーダーかタンバリンとかじゃないかな…?
「OK!その挑戦、受けてたつよ」
「!ありがとう!!」
笑顔でお礼を言えばホミカもニッと笑い、ハルたちに背を向け、壇上から観客たちを一通りみてから口をマイクに近づけた。その行動を頭にクエスチョンマークを浮かべながら見送ったハル。そして、ホミカが深く息を吸い込み
「これからポケモンバトルという名のライブが始まるよ!お前たち、盛り上げていくぞ!!!!」
マイクがハウリングするくらい、大声でそう言い切れば周りの人たちはワーーッと大きな大きな歓声がこの部屋に鳴り響いた。
あまりの大きな歓声にハルと希色はビクッと肩をはねらせた。花火はへぇーと感心したような声を出していた
そしてホミカはこちらに向き直り、ギターをまたギィィイインと鳴らしてから片手にモンスターボールを持った
「さぁ、始めようじゃん!私を熱くさせてよね!」
モンスターボールから出てきたのは、主にカントー地方に生息しているドガースだった。ドガースは体の中に入っているガスをプシューと噴き出したのでやる気満々と、ハルは見た
だけど、気合いならあたしたちも負けてないもんね!!
「よーし!希色、気合い入れて一丁やるよ!」
『う、ん!』モンスターボールから勢いよく出てくる希色。やはり気合い満々であるのか、いつもと少し雰囲気が違う
しかし、よく考えてみたら審判が見当たらない…。どうすんだろ…と思っていたら先ほどハルにアドバイスしてくれたお姉さんが審判をやるのか色の違う二つの旗をもっとハルとホミカの間に立っていた
どうやら…審判は観客たちがやるみたい。ちょっと心配だったけどお姉さんは審判やるからには公平にジャッジするよ。とハルにウィンクしてきた
…あたしそんなに不安そうな顔してたかな…
「わたしのサイコーにロックなバトルをみしてやるよ!」
ギィイイインとギターを鳴らせば観客の方からホミカコールとハルへの応援の大歓声に包まれた
なんだか、すごく胸が熱くなって、あぁあたし、いますごく燃えてる…!って実感した
それは希色も待機してる花火も同じらしく、先ほどよりやる気が増した
そして、審判からバトル開始の合図がこの大歓声の中で響いた
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