気がつけば辺りは茜色に染まっており、日が暮れていることを知らされる
もうすぐ夜になってしまうので、そうなる前に夫婦とメイとヒュウのいるところへ向かうべくハーデリアを抱きかかえ出口へと向かい歩き始めた
その際にまた迷わないよう(大丈夫だと思うけど)花火に出口まで案内してもらった
『ちぇー、ハルちゃんガード硬いやなー。パンツの色くらいええやーん』「うるさいよ変態」
『少し自重しろ』
『自重なんかできひんよ!』「希色、花火にスパーク」
『?ん、わか、た』
『うそうそうそーん。今のちょっとしたジョークや!せやから、きいくんスパークやめや!な!』バチバチと電気を纏う希色を慌てて止めさせる花火。希色はよく分からないと言った表情をしてコクリと頷いてから電気を纏うのをやめた
花火はぶふー…あぶなー…と息を吐いて小さく呟いた。
それがあまりにも必死だったので笑いそうになったが、ハルは頑張って堪えていた。恋も堪えようと頑張っていたがカタカタと宝石が揺れてるため、あまり意味がなかった
まぁ、花火は気づいてないみたいだからいいと思うけどね
一部始終ニコニコと笑っているハーデリアさんはマジ天使だった
『あら、もうそろそろ出口じゃないかしら?』
『お、ホンマや』ワイワイと雑談をしながら歩けば、もうすぐそこは出口だった。
早かったなー…なんて思いつつ少し急いで森から出れば、出た先には夫婦とメイとヒュウがいた
メイとヒュウが目を丸くしてこちらを見ている横で夫婦が、あらハーデリアちゃん!と言ってこちらに向かってきた
それに続きメイとヒュウもこちらに走って来た
夫婦にハーデリアを渡せば、良かったーと言ってハーデリアに頬ずりしていた。ハーデリアも夫婦の顔をペロペロと舐めていた。
そんな様子を見て、本当は心配で心配で仕方無かったんだな…と思った
ハーデリアも気丈に見せていたが本当は怖かったに違いない。無事…とは言い難いかもしれないけど、でも、良かった…
「ハルちゃん、どこ行ってたんですか!心配したんですよ…」
「あまりにもおせーから何かあったんじゃないかって思ってたんだからな」
夫婦達を見ていたらメイにガシッと思いっきり肩を掴まれた。ビックリしてメイの顔を見たら、眉を八の字にして心配だったと言う顔をしていた。
後ろにいるヒュウもそんな表情をしており、希色たちもそうだと言わんばかりに頷くもんだから、申し訳なくなって
「うん、ごめんね…2人とも」
しょぼんとして謝れば、2人は顔を見合わせてからニコッと笑い、無事で何よりと言ってくれた。
ううう、優しいよ!優しすぎて眩しいぜ!!目が眩む!
その後はみんなにプラズマ団のこととか、ハーデリアさんが蹴られたことなど、さっきあったことを全て話した
夫婦は呑気にあらあらおやおやと言って、ハーデリアが蹴られたところを優しく撫でていた
メイとヒュウは話してる途中で険しい顔つきになって、2人とも許せないと小さく呟いていた。二人と同様にハルも許せなかった
プラズマ団とかなんだとか知らんけどな、ポケモンを人間を傷つけるようならば、あたしはもう容赦しないからね!
もうあれだからね!ほら、あの、えっと、その、だから、うーんと、うん。あれだ!何も思いつかなかった!
『思いつかなかったのかよ…ぶふ』一人で笑い始めた恋にたいして、ハルは煩いやいと宝石をペチンと叩いた
とりあえずもう夜になるのでハルたちはPCに向かうべく、牧場を出た。出る際に夫婦にお礼を言われ、モーモーミルクを貰った。
一度は断ったが、お礼をさせて?ね?と言われたので、ハルは有り難く頂戴した
メイとヒュウは一度サンギタウンに戻るそうだ。なんでもアデクさんに特訓してもらうとか…
アデクさんってあのアデクさんだよね?チャンピオンのアデクさんだよね?!すごっ、2人ともアデクさん直々に特訓してもらうの?!
さすが…主人公とライバルだ…
「じゃあ…またね、ハルちゃん」
「風邪ひくなよ」
「あたし元気だから風邪なんて引かないんだ!うん、またね2人とも!」
ハルはタチワキシティに向かうので2人とは20番道路で別れた
手を大きく降ってから前を向き、次なる街へと歩き出した
***
「はー疲れたー…!」
ばふん、とベッドに勢いよくダイブした。ギシギシとスプリングが軋む音、フカフカのお布団…癒される…
希色と花火も疲れてるのか、絨毯のうえでぐへーと寝そべっていた
『お前らまだ寝るなよ。風呂入ってから寝ろ』
「はぁーい…」
『……ん、』
『恋きゅんって、オカンみたいやなー…』疲れているので正直このまま寝たいが、恋の言うとおり、風呂に入らねばならない。ベッドの上でもぞもぞと動いてから起き上がり、風呂の準備をした
「んー…誰から入る?」
『ハル、先、いいよ』
『せやせやハルちゃん先にええで』「ありがとう。お言葉に甘えて先に入るね」
ハルはエナメルバックから着替えを取り出して、風呂場へと向かう。
一瞬、花火が覗きに来ないかと心配したが、こんな貧相な体をみても面白く無いだろうと自己解決し、服をちゃっちゃか脱いで、風呂場に入った
シャワーを浴びてから、湯船へと入る。程よい温度の湯がこれまた気持ち良かったので、極楽極楽とおっさんみたいなことを呟いた。
「プラズマ団ねぇ…」
本当に活動し始めてたのか
Nが王だった時のプラズマ団はまだこう、凶暴さがなかったとゲーム越しで感じたけど、今回出会ったプラズマ団はなんか、凶暴さが増してる気がする
世の中怖いな、と思いつつ、口元まで湯に浸かり、口から息をだしブクブクと泡を作り出す
…そう言えば、あの阿保な下っ端が言ってたアカネって誰なんだろう…?
あの様子から幹部だと思われるけど、どんな人なんだろ…下っ端の怯えからしてなんか怖そうだなぁ…うう…
恋が知ってるみたいだし、お風呂から出たら聞いてみようかな!
そう決めて、湯船から出て体などを洗い始めた
****
「はー…いい湯だったー…」
濡れている体をふわふわなタオルで拭いていく。このタオル気持ちーなんて考えつつ、服を着ていくとドタドタ!と廊下を走り、こちらに向かってくる足音が聞こえた。
ん?と思いながらタオルで髪の毛をガシガシと乱暴に拭いているとバーンとドアが空いた
「ハルちゃんハルちゃん!見てみい!すごいやろ!」
「……え?」
目の前には橙色の髪をした青年がいた
うんうん。そうだねうん。
…で、どちら様よ?
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