藍が仲間になった後、彼からこれから何処へ行くのか尋ねられた。ハルはバッグから観光雑誌を取り出し、ある紙面を見せた。そこに書かれているのはジェットコースターや観覧車がある遊園地やバトルサブウェイ、ミュージカルホールなど様々な施設が並ぶライモンシティと、その前にあるジョインアベニューがデカデカと記載されていた。ハルは鼻息を荒くし、少々興奮気味で紙面に指をさして、ここ!!と力強く訴えた
「この観光雑誌を見てからすっごく気になってて!ジョインアベニューとか出来たとか全然知らなかったし、なにより遊園地〜!」
『遊園地…?』「そ!乗り物に乗って遊ぶの!すっごく楽しいから一緒に乗ろね、希色!」
『うん!』楽しみだな〜と笑い合う二人のまわりにはお花が飛び、和やかな雰囲気となっていた。花火と夢は後ろでうんうんと頷きながら二人を見ていた。
そうだ、自分もJKみたく「わかるぅ〜」なんて言ってあの輪に入ろうと閃いた花火はそこに混じろうとするが、夢に肩を掴まれ、そのまま強制的に元の位置に戻された。
花火の顔は大仏のように穏やかな表情をしていた。大量の汗をかきながら
『でしたら、私が案内しましょうか?』「え!」
突然の申し出にハルは藍を見る。別に方向音痴なわけではないから観光雑誌を見れば迷子にはならないと思うが、2年で街並みも多少変わっただろうから無事辿り着けるか不安なのも確かである。なので案内してくれる人(ポケモン)がいるならそれに越したことはない。それに、観光雑誌には載ってないお店とかも教えてくれるかもしれないじゃん!?
若干興奮気味だったが、本当にいいのかと少し不安そうな顔を向けると、藍はにっこりと笑ってコクリと頷いてくれた
『大丈夫ですよ。それに昨日まで観光してましたし、私自身気に入ったお店を紹介したいんです』「やった〜!では藍隊長案内よろしくオナーシャース!」
『オナー、シャース!」『はい、了解であります』ビシッと敬礼すれば、希色も真似して前足を使って敬礼し、藍は原型時だと手がないので軽めにお辞儀をした
『では、早速ですが行きましょうか」そう言いながら彼はボフンという効果音と共に擬人化をし、初めに見た男性の姿になった。
水色の髪にタレ目プラス下まつげにより、爽やかな優しい紳士だけでなく、何処と無く色気もある。なるほど、これが大人の色気って奴か。
前髪で顔の右側を覆っている。原型の時は顔に何か傷とか無かったけど…細い三つ編みしてあるし、きっとこれはおしゃれなのだろう。
不潔にも藍をガン見していたハルに気づいてたのか、藍はくるりとハルの方を向き、こちらですレディと腰を少し折り、手を差し伸べた。あまりのキラキラ紳士にハルはキュッと顔をすぼめ、小さくヒェッと声をこぼした。
「ふふ、ハルさんすごい顔してるよ」
「マネしたるわ!こう、キュッ」
『花くん、似てる!ハルの、顔、みたい!』
「ヒーーーッ」
「大変、恋さんが笑いすぎて呼吸できてないね」
「どんだけわろてんねん!」
『恋にぃ、息して…!』「ちょっとやめてくださる!?あたしの顔マネしないで?!」
そう咎めれば、みんな「はーい」と返事をしてやめてくれた(一名未だに笑っている)が、この後もこの顔をみんなにネタにされ、からかわれるのを今のハルは知らないのであった。
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