てーんてんてん…とモンスターボールがバウンドしてハルの方へ転がっていく。コツンと靴に当たるが、それを拾い上げること無く、モンスターボールをただただ呆然の見つめていた。
それはほかのみんなもそのようでモンスターボールに視線を注いでいた
『ろ、ろこ〜…』
この空気に耐えかねたメグロコは手を振ってから砂漠へ帰って行った。それを止めるなどの反応もできないままでいた。
そう、今はそれどころではない。このモンスターボールに、一体、なにが、入った…???メグロコに向かって投げたはずのボールは大きく弧を描きながら遠くへ飛んでいき、その先には男の人がいて、それで、ボールは男の人に当たって、それでそれで、そのまま…
「…………え、えへへへ、、お、男の人、げっ、ゲットだぜ〜〜…」
ボールを拾い上げ、ぎこちない笑顔でみんなの方を向き、手の中におさめられてるボールを見せた。みんなも口角がひくりと上がり、頷いてくれた。ハルはギギギギ…と壊れたロボットのようにボールの方へ顔を向ける
えーと…このモンスターボールに男の人が入ったんだっけ…
「ヘイッ!パスッッッ!!」
「ほわっ?!」そう理解した瞬間、ハルはそのボールを花火へ投げ渡した。突然渡された本人は目をまん丸にして驚きながらもボールを見事キャッチした
「ちょ、なんや?!なんで渡したん?!」「待って?!え?!あげるね?!どうぞ?!」
「あげるも何も、これはハルちゃんのやろ?!」「んん?!?!じゃあ、交換しよっか?!?!そのマフラーと交換しよ?!」
「いやいやいや?!せーへんよ!?交換はせーへんから、ほいっ!パス!」「ホギャア?!もどっでぎだ?!なになに?!これ何入ってるの?!」
「まぁ、男の人だよね」「ヒェッ!そ、そんなことあるの?!エッ、うそ?!ゲットイェーイ?!いやいやいや、おかしいよ?!人間をゲットなに?!あたしの初ゲット人間?!なんて指示したらいいの?!体当たり?!やっぱむり!へいパス!」
「おかえりモンボ!そしてさようならモンボ!」「ぎゃああ!おがえり!」
目も泳ぎ、手もあちこちへ動き、汗は尋常なくかいてる様子からハルはとてつもなく混乱しているのがわかる。混乱のあまり花火へ投げ、投げ返されと数回キャッチボールしていた。
それもそのはず。なにせ、目の前で男の人がボールに吸い込まれたのだ。混乱しないわけがない
夢はうんうんと頷き、希色は頭にクエスチョンマークを浮かべ、恋は大爆笑しており、このカオスな事態を止める者がいなかった
するとボンと音とともにモンスターボールが開いた。ハルはぎゃあ!と短く悲鳴をあげるものの、モンスターボールだけは離さなかった。
「ああああ!はじめましてこんにちわ!!これは単なる事故で!!まさか最近のモンスターボールは人間までゲットできるなんて知らなくて!!あの!ボール壊すんで!本当にごめんな……え?」
現れるであろう男の人にこれでもかと頭を下げ謝罪を述べる。チラッと顔を上げるとそこには男の人などおらず、代わりにタッツーの最終進化系、キングドラがそこにいた
『いいんですよ、、うっぷ』
顔色が少し悪いのはきっと先ほど花火とキャッチボールした時にシェイクされたからだろう。混乱する頭でもそう理解できたハルはまた申し訳なさそうに、「ごめんなさい…」と小さく謝った。
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