並んでいる間に店員から渡されたメニュー表を見つめる。ダブルで150円なのだから二つのフレーバーを選ばなければならない。どうしよう。どれも美味しそうだ。自分はまだ決められそうにないのでみんなにどれにするか聞くことにした

「ちょ、こ、と…いち、ご!」

「うーん、せやな…じゃあ…この期間限定のやつで!」

「あ、僕は大丈夫だよ」

「俺も平気だ」

一通りの注文を聞いて、なるほどと頷く。どうせならみんな違う種類のアイスを選んだ方が、あとで一口貰えたり出来るよね…。ハルは決めたのかメニュー表に落としてた視線をあげた。列はだいぶ進んでおり、あと少しでヒウンアイスが買えそうだった。早く食べたい…どんなアイスなんだろうと心が踊る。

そして、ついに自分たちの番になった。ちなみに恋以外のみんなは列から離れたところで通行人の邪魔にならないよう待機している。
ハルは先ほどみんなから聞いたフレーバーを思い出し、店員さんに注文する。ダブルを三つでしかも三つとも種類が違うから、店員さん大変だよね…すみません…と心に中で謝っていたが、ベテランさんなのか一度で注文すべて聞き取り、テキパキとアイスをとり、笑顔で渡してくれた。
素晴らしい接客態度にハルは感動し、お礼と言わんばかりに店員さんに笑顔でありがとうございますとアイスを受け取った

二つのアイスを受け取った恋はハルに断りをいれてから希色たちのところへ行く。大食らいの希色のことだから早く食べたくて仕方ないのだろう。夢の後ろに隠れつつも此方をチラチラと見てくる姿はとても可愛らしかった。

恋が行ったあと、自分のアイスを受け取った際に失敗した…と顔を顰めた。手にアイスを持ったままカバンから財布出せないじゃん…と少し困っていると、店員より早くハルの手から誰かがアイスを取った
視線をそちらに向ければ、そこには自分のアイスを食べながらハルの分を持ってくれている花火がいた。大丈夫かいな?と言う言葉にハルは頷き、花火に礼を言うと彼はええって!と明るく笑ってくれた

ハルはカバンから財布を取り出し、財布から500円出し、店員さんに渡せば店員さんニッコリと笑い、500円を受け取った

「素敵な彼氏さんですね」

お釣りの50円を受け取る際に店員さんからそう言われた。
ハルは鳩が豆鉄砲くらったような顔をしている隣で花火が、せやろ?素敵やろー?!と照れていた。そんな花火の腹に肘鉄をすれば、彼は呻きながら前のめりになった

「まさか!こんな奴が彼氏だなんて真っ平御免ですよ」

にこやかにそう店員に伝え花火からアイスを受け取り、最後に店員に礼を言って恋たちのところへ向かう。その後ろから、ハルちゃんは手厳しいな〜と花火の陽気な声とありがとうございましたーと店員さんの苦笑まじりの声が聞こえ、ハルはため息をこぼしてヒウンアイスを一口食べる
なにこれ…すっごく美味しい!
あまりの美味しさにハルは自然と頬が緩むのが分かった

恋たちと合流してから、ここで立ち止まってるのは通行人の邪魔になるかもしれないので、少し先を行ったところに広場があるらしく、ハル達はそちらへ向かった。広場に着けば、そこにはポケモンをブラッシングしてる人、ポケモンと遊ぶ人、ダンスの練習をしている人、せかせかと歩いてる人と色んな人がその広場に集まっていた。ハルたちはその中で噴水の近くにあるベンチに座り、ヒウンアイスを食べる

「最高に美味しい〜!」

「あんまり暴れるとアイスが落ちるぞ」


足をバタバタと動かせば、恋の手がポンッと頭に乗っかり、そう注意された。ハルは、はーいと返事を一つしてからまたアイスを口に運ぶ

「あ、希色くん。口についてるよ。ジッとして」


「ん!」


口についたアイスを事前に少し濡らしたハンカチで希色の口周りを拭く夢の姿はどこからどう見てもお母さんだった。
ふと周りを見れば家族連れもいて、お母さんの手を引っ張る子どもの姿を見て、少し…ほんの少しだけ羨ましく思っていると、横からズイッと濡れたハンカチで口周りを優しく拭かれた

「アイス、ついてたよ」

彼はふふっと微笑み、ハルの頭をポンポンと優しく撫でたあと、希色に顔を向けてまた希色の口周りを拭き始めた。ハルは夢がしてくれたコトを思い出して、へへっと照れたように笑い、少し溶け始めているアイスにかぶりついた。それを見た恋もまた微笑み、ハルの隣へ座る

ちなみに花火はアイスを持ったままナンパに出掛けていた。先ほど船で夢に散々怒られたと言うのに性懲りも無くナンパに出掛けるのだから、彼はある意味勇者なのだろう。
その後、夢が釘バットを引きずりながら花火の背後に迫っていく光景はすごく恐ろしくてトラウマになるかと思いました


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