「つっいたー!」

ぐぐっと背伸びをする。辺りを見れば、高くそびえ立つビルがいくつも並ぶ大都会ヒウンシティ。船から見たときも高いな〜とは思っていたが、こうして間近で見るとビルの高さがより分かる。見上げてると首がとても痛くなるね…
ビルの間から見える空が今日も青く晴れていたので暫く眺めていたら、横からニュッと恋の顔が現れて、少しビックリした

「どうかしたか?」

きょとんとした顔でそう問われてハルはビルが高いなと思っただけと言えば、恋もあー…と呟いてから視線を私と同じように高くそびえ立つビルに向ける

「確かに、高いよな」


彼はそう言って私に苦笑してきた。やはり恋でもビックリするほど高いのか。私も着いた時はビックリしたが、今はとても懐かしく感じる。私が元の世界で住んでたところも都会だったし、自然に囲まれてる街よりもこうしてビルに囲まれてる街の方が慣れ親しんでるから少し落ち着く。少し元の世界の事を思い出してほんの…ほんのちょっとだけ寂しくなった。そんな感情を振り払うかのように頭を左右に振った。

そこでふと疑問が浮かんだ。このビルと恋の原型…どっちが大きいのだろう。やっぱり原型なのかな?
何故そんなことが頭に浮かんだのか分からないが、なんだか無性に気になり始めた。ハルは恋に聞こうと思い、彼を見て声をかけるのをやめた
彼はまだ空を見上げているが、その顔は懐かしんでいるものであった。ヒウンシティに来た事あるのかなと思い暫く見つめていると、視線に気付いたのか恋がこちらを向いて、ん?と首を傾げた

「いや、恋、すっごく懐かしそうな顔してたから…来た事あるのかなーと思って」

「…あぁ、昔にな。ところでヒウンアイス買うんじゃなかったのか?」


へぇ〜と相槌を打っていると恋にヒウンアイスの存在を言われ、そうだった!と思い出す。先ほど焦らなくても大丈夫と分かったのだが、一刻も早く食べたいため、ハルは観光マップを手に持ち、早足でヒウンアイス売り場へ向かう
その後ろ姿をみて、食い時張ってるなと思い、一人笑い始める恋。そんな彼にハルが早く早くと言わんばかりに手招きをすれば、彼は笑いながらも彼女の元へ駆け寄る


***


観光マップを見てヒウンアイス売り場に着いた彼女はまず、口を大きく開けて呆然と立ち尽くしていた。りんごが一つ入るんじゃないかと思うばかりに口を大きく開けているハルを見て、恋はまた静かに笑い出す
しかし今はそれところじゃない。ハルが何故、こうも口を大きく開けているかというと、今は人気の無いと聞かされていたヒウンアイスが大行列と大繁盛ぷりを目の当たりにしているからである。観光マップを持つ手がわなわなと震え、顔を俯かせてから両隣にいる夢と花火に訴えかける

「ううう嘘つき!人気無いって言ったくせに!大繁盛だよ!大人気だよ!!」

「あちゃー。やられもうた」


「あちゃーじゃないよ!大行列出来てるんだけど!」

「うん、出来ちゃってるね」


「ちくしょう!」

二人の言葉を信じた私が馬鹿だったと頭を抱えたくなった。しかし、そうしてる間にもお客さんが一人二人と並んでいるので、ハルも大慌てで大行列に並ぶ。前の方で店員さんが待ち時間二十分ですと大声で言っていた。なんだかアトラクションに並んでる気分だなと思いつつも、何を食べるか決め始める



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