船内を走り、着いた先は映画とかで出て来そうなパーティー会場のようなものだった。…と言っても、あんな豪華で上品な感じでは無く、みんな私服で皿に料理を乗っけては、楽しく談笑をしていた。ポケモンもポケモン同士でじゃれあっていたりしていた

ハルと希色は目を輝かせて興奮MAX状態だった。二人して、輝いている目で恋をみれば、彼は苦笑しながら、行ってきていいぞと許可を出した。ハルと希色は大きく頷いてから手を繋ぎ、料理の方へ駆けて行った
我ながら犬みたいだな、と思った

花火は女の子と楽しく会話と言う名のナンパをしに行った。恋は見つけやすい位置に移動しては腕を組んで壁に寄り掛かった


「さて、何を食べる?」

「ん、と、あれ、あれ、それ、これ…」


「ちょ、ま、待って待って!そんなにお皿に入らないよ!」


さすがブラックホール並の胃を持つ希色だ…。もう出されている料理をすべて食らう気でいたよ。
しかし、そんな大量の料理が一枚のお皿に入るわけもなく、しかもハルと希色だけで大量のお皿を持てるわけでも無い。なので、今乗っている分を食べ終わったら、また取りに行こう?と言えば、希色はコクコクと頷いてくれた

その姿が微笑ましかったので、頬を緩ませて片手に希色の分のお皿をもう片手に自分のお皿を持って、恋のいる方へ歩き出した。
ちなみに希色は四人分のスプーンとフォークを持って、ハルにべったりとくっ付いて歩いている


あー…そうだ…。希色、人間恐怖症なんだよね…。こんだけの人間がいたら…怖いよね…


「希色、大丈夫?ボールに入っとく?」


そう尋ねれば、希色はブンブンと大きく顔を横に振った。あまりにも激しく振ったので首がもげないか少し心配した


「おれ、大丈、夫!こ、くふく、する、頑張、る!」



鼻息をフン!と出して大丈夫アピールしているが、やはりスプーンとフォークを持つ手は小さく震えていた。
とても心配だし、ハル的にはボールに入れたいけど…希色が大丈夫って言うなら、ハルはその意見を尊重し、それに従うまで

ハルは、そっか!と言って笑いかけた。希色もニコッと笑い、大きく縦に首を振った


そうこうしている内に恋が見えて来たので早足で行けば、案の定と言うべきなのか…恋の周りにはたくさんの女性に囲まれていた。
女性たちは好かれようと必死に声を掛けるが恋はハル達には見せたことのないほど不機嫌な顔をしていた

ハルと希色はお互いに顔を見合わせて苦笑した。不機嫌な彼を助けるべく、足を進めた


「恋、お待たせー!」

「……ハル、って…そんなに、食べんのか…?ぶふ」


「え…あ、違うよ?!片方は希色の分!そんなに食い時張ってません!」

「くくく、そうかそうか、悪かった」



クスクスと笑う恋に少し腹が立ったので、軽く足を蹴って置いた
希色はそんな状況をあわあわとして見ていた
そんな状況が面白くなかったのか、恋を囲んでた女性が眉間に皺を寄せてこちらに来た


「ちょっとあんた何よ?!」
「割り込みしないでくんない?」
「このブス!」


おおっふ…すごい言われようだわ…
あんた何よって言われましても…恋の相棒ですけど…としか言えないなぁ。つか、ブスって…ブスって…いや、確かにそうだけどさ…。もっとこう優しく言ってほしい…オブラートに包んで!お願いだから!あたしの心は繊細だからね!

内心涙目になりつつも、恋の腕に絡みついたりしている女性たちにムッときたので軽く睨んでから、彼女たちに背を向けて希色と一緒に歩き出す

ごめん。恋。この性格キツイお姉さん方に…勝てないです…自力で頑張って下さい!と心で謝り、恋が自力で抜け出すことに願った



「…退いてくれ」



少しゾッとした。恋の声にはかすかに怒りの感情が含まれていた。ハルはそっと振り返り、またゾッする。恋の目が冷たかった
女性たちは気づいてないのか、はたまた気づいているが媚を売って機嫌を直してもらおうとしているのか分からないが、これだけは言えた。このままだと、やばい

ハルは恋たちに声を掛けようとした時に頭をポンっと撫でられた。撫でられた衝動で下に向いた視線を前に戻すと、そこには今までナンパに出掛けていた花火の後ろ姿があった


「んもー、恋きゅん!そんな冷たく言ったらあかんで〜。女性にはもっと優しくソフトに接しなぁ、あかん」


「……」

「シャイか!ごめんなぁ〜、恋きゅん人見知りでな〜こぉんな別嬪さんたちに声かけられて照れてるんや〜。やから、かんにんな〜。あ、俺のことをナンパしてもええんで!」


恋を狙ってたお姉さん方は花火の巧みな喋りによって、花火の方へ興味を持ち始めた。その隙を見逃さず、恋をハルたちの方へ押しやる。少し躓きながらも、恋はハルたちの方へ歩み寄る。ちらりと花火の方を見ると、さっきまで恋にたかってた女性たちは花火と楽しそうに話している。こちらを見ていることに気がついた花火は、ウィンクをして親指を立てた。どうやらここは任せろと言ってるようだ
花火のナンパがここで役に立つとは……とハルと恋は感心していた

二人でありがとうの意味を込めて、小さくお辞儀をし、その場を去った



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