「話は終えたのか?」「あ、恋」
コトリとサイコーソーダをハルの前に置き、恋は缶コーヒーを片手にハルと反対側の椅子に座った
…うーむ。
改めてこう見ると…めっちゃ美形だな…
金髪がよくお似合いです…。その黒いファーコートも違う人が着たらマフィア系に見られそうだけど…身長がデカイためか…恋は見事に着こなしてやがる…。
ルックスもスタイルもOK!ってなに?なんの優良物件だよちくしょう
つか身長ありすぎじゃない?おま、あたしと二人で並んで立つと自然と見上げる形になるんですけど!?
缶コーヒーを飲んでる恋を凝視してれば、ハルからの視線に気づいた恋は
顔に何かついてるか?と言って、缶コーヒーを持っていない手で顔を触った
「身長寄越せ」
「唐突になんだよ…くくっ」肩を震わせ笑う姿もかっこいいので様になっている。なんだ…なんだろ…恋が眩し過ぎて直視出来ねぇよ。くそ。
ぱっと見はチャラ男に見えるけどね
「…ハル、いきなり、なんだが」笑いを止めてから真剣な顔で聞いてきた。ハルはなんとなく、聞かれることが分かっていた。
「恋、あたしね、旅続けたい」
「……え」「きっと恋は反対なんだろうけど、あたしは旅に出る」
怖い思いも、悔しい思いも、辛い思いも、挫折しそうになった時もあった。全てが楽しいわけでもない。それはこれから先、ずっとそうだ。
「だからこそ、旅に出たい」
それでもいい。あたしは、強くなりたい。これから先、またいつプラズマ団が襲ってくるのか分からない。その時、またあの時のようなことにならないためにも、自分自身、磨かなければならない。精神もバトルの腕前も知識も。
そして、なによりも
「あなたたちと楽しく旅を続けたい。そして共に、この地方を歩き、学び、成長したい」
それが、このお試し旅期間で導き出した答えだ。
恋はしばらく黙ってうつむいてから、そっかと声を零し、優しくふんわりと微笑んだ
「ハルがそう言うなら俺は止めない。お前の行く先に俺はついていく。それが、パートナー…ってやつだろ?」「…恋」
「このことは俺が創に伝えておく。奴もそうそうこっちにはこれないからな…」「うん、よろしくね」
そう言えば、恋は任せろといって笑ってくれた。
この海を渡った向こうは知っている街だが、全然知らない街である。どんなことが起きるのか、予測不可能である。しかし、それらもみんなとなら共に乗り越えていけそうな気がする。ハルは、よし頑張りますか、と小さく気合を入れた
「てか…まさか恋がギラティナだったとは〜」
驚き驚きと言って、恋が買ってくれたサイコーソーダの蓋をプシュッと音を立てて開けた。
すると恋の動きがピタリと止まった。その光景を目の前で見た、ハルはビックリして、未だにピクリとも動かない恋に声をかけた
「お、お〜い?恋〜?どーしたのー?」
声をかけても反応無し
これはいよいよ危ないか?!と思い慌ててジョーイさんを呼びに行こうと思い、椅子からガタリと勢いよく立ち上がった
「……か?」「…え?」
小さな声で何か呟いた。ハルは上手く聞き取れず、頭にクエスチョンマークを浮かべて恋を見た。
彼は俯いてた顔を上げると、困ったような中にどこか悲しげな表情をしていた
「ハル…怒ってるか?」「え?なんで?」
「黙っていたことに…」なるほど。種族を黙っていたことに怒ってるのか、と聞いてるのだろう
別に怒ることでも無いから、あたしは怒ってないけど……まぁ、散々あたしの表情とかで笑われたし…ちょっと意地悪しちゃおうかな…!
「まったくだよ!父さんと言い恋と言い、あたしに秘密ごとばっかりして!もう!まじおこだからね!」
「……すまん…」ああああああああ、やべぇ!めっちゃしょんぼりしちゃった!!
美形さんがしょんぼりしてるとなんかこうキュンとする!!うん、可愛い!希色とはまたちょっと違った可愛さだよね!なんだろ…大人なんだけど、ふとした時に見せる表情とかに胸キュンするあれだよね!!
って違う違う!今はそうじゃないでしょ!
あまりにもしょんぼりしてる恋を見て可哀想で居た堪れない気持ちになったから、もう意地悪やめよう
「…なーんてね!嘘だよ!」
「え?」「確かに驚いたけど、怒ってなんかないよ!どんな姿だろうとどんなポケモンだろうと恋は恋!あたしのたった一人の相棒だもん!」
ニコッと恋に笑かければ、彼はクシャッと表情を歪めて、顔に手をあててそのまま俯き、ハー…と息を吐いた
ハルは何か呆れたこと言ったかなと思い、オロオロとしてると恋は顔を上げた。顔を上げた彼の表情は先ほどの困惑や悲しみなど無く、嬉しそうな優しい表情をしていた
そして、彼はガタリと椅子から立ち上がり、ハルの頭を優しくポンポンと叩いた
「ありがとな」「…えへへ、どーいたしまして!」
改めてよろしく!と言って、お互い笑いながら恋と握手をした
そんな光景を見ていた希色と花火はお互いに顔を見合わせては、にひひと笑い、どっちが早くハルと恋の元へ辿り着けるかと言う競争をすることになり、ダッシュで二人の元へ駆けて行った
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