ポケセンへ行く途中にある船乗り場で、なんだか騒がしいことに気がついた
少し駆け足で行ってみれば、そこにはプラズマ団三人とヒュウとメイが戦っていた

まさか、ここにプラズマ団がいるとは思わなかったので目を開かせ驚いたが、バトルの勝敗はもうすでに決まっていたらしい。
もちろんヒュウとメイの勝利
プラズマ団はすっごく悔しそうに地団駄を踏んでいる間にハルは二人に近づいた


「どうしたの、二人とも」

「あ、ハルちゃん!」

「どうもこうも…プラズマ団が悪さをしていたんだ…っ」

「ヒュウ…」

ヒュウの顔がとても険しくなっていた。プラズマ団を見る目が尋常じゃない。まるで、そう…親の仇をとるかのような目をしている…
メイが心配そうにヒュウの顔を覗き込む。その隙をついてかプラズマ団が一気に逃げ始めた


「あ!」

「ちっ、二人とも追うぞ!」

「りょーかい!」


プラズマ団は20番道路の方へ逃げ出す。途中で二人と一人に別れたので、こちらもヒュウメイとハルに別れてプラズマ団を追っていた


ドン!


「あ…!」

「…っ」


目の前のプラズマ団を追うことに必死だったため、女性とぶつかってしまった。
幸いお互い少しよろけた程度に済んだので怪我はなかった


「す、すみません!あ、えっと、急いでるので…本当にすみません!失礼します!」


ハルは頭を下げてから、また逃げていったプラズマ団を追い始めた
女性がそんなハルたちを見ては、微かに口角を上げたことをハルは知らない



****



少し先の方は行き止まりでそれを目の前にしたプラズマ団は慌てながらも、息を整えていた
ハルも息を整えつつプラズマ団に近づく


「プラズマ団!あんたたち、今度は何したのさ?!」

「何をしたって聞かれて馬鹿正直に答える訳ねぇだろ!ばーか!」


そう言ってくると顔をこちらに向けてきたプラズマ団にどこか見覚えがあった

どこかで…みた…かな…?んー…


「…あぁ!サンギ牧場にいたアホプラズマ団!」

「そー言うお前は飛び蹴りしてきたガキンチョ!?」


なんの縁だよ。
そこにいたプラズマ団はサンギ牧場で、ハーデリアを盗もうとしたのはいいが、どう逃げようか考えてなかったアホプラズマ団だった

相手はまた、子どもみたいにムキーッと言って地団駄を踏み始めていた
ポケモンバトルをしないのか…?と頭にクエスチョンマークを浮かべていると、またぶつぶつと呟きはじめた


「なんてこった…またポケモン持ってくるの忘れたぞ…!あいつらがいるから、まぁいいかな…なんて思っていたのにくそ…こんなことなら持ってくれば良かった!」


アホというより馬鹿だったわ
なんで持ってこないんだよ。いやその方がこちらにしてみれば、嬉しいけどさ…。学習しろよ…
呆れた目でプラズマ団を見やった。花火と恋も呆れたのか、はぁと溜め息を一つついた

あ、そうだ


「おい、アホ馬鹿プラズマ団さん」

「アホ馬鹿言うな…ばふ!」


ハルはエメラルバックから観光マップを取り出して、それをプラズマ団の顔面に向かって投げれば、見事命中した
この前の仕返しだ!あーははは!


「それ、返すよ」

「おおおお!おれの観光マップ!お帰りいいいい!」


どうやら投げる物を間違えてたらしい
プラズマ団は手元に帰ってきた観光マップをぎゅーと抱きしめてから、パラパラと中身を見始めた
のんびりしてるなおい!

全く危機感も無く、パラパラと観光マップを見ているプラズマ団を見ていたら、いきなりガバッと顔を上げた。
いや本当にいきなりだからビビったよ!怖いな!顔をあげるなら言ってよ!今から顔上げますって!


「おいお前!写真どうした!」

「…写真?」


そういえば…挟まってたな…と思い、バックの中を探り始めた
プラズマ団は未だに必死な顔で訴えてきた


「そうだよ!写真!あれはおれの宝物なんだ!あれには、あの方…ア…」

「なにを、しているの?」


ゾッと背筋が凍るような冷えた声
ハルは動かしていた手を思わず止めた。それは目の前にいるプラズマも同じで、ギギギ…と壊れたロボットのように遅く上を見上げた。その顔は青白くなっていた

ハルもそれにつられるように上を見上げた。上空にいたのは一匹のバルジーナとその上に立っている一人の女性…

あの人見たことある…そうだ…あの人は…


写真に写っていた赤髪の女性…そして、さっきぶつかった女性…



「あ、アカネ…さま…」


プラズマ団が震える声で上空にいる女性の名前を呼ぶ
彼女はクイッと口角を上げて、こちらを見下していた


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