4 | ナノ
【*潜在犯の夢主です。】






真っ暗な部屋の景色に
外の世界の夜景が広がる

それはとても美しくて
まるで夢のようだと思う…


ゆっくりガラス張りの壁に近づきガラスに手を付く

ふと、背後に人の気配を感じて後ろをガラス越しに見る


「綺麗だね……君はこの美しい、偽りだらけの世界をどう思う?」

彼、槙島聖護は後ろから私に問う

『…素敵だと思うわ、私のような人間でも生きていける。この世界ナシでは生きられない……でも、私には勿体無い世界だわ』

私は率直に答えた
私のような潜在犯には勿体無い世界だと、この景色を見るだけで痛感する

「この"世界ナシでは"…か……、君は面白いね」

クスクスと笑って言う彼をガラス越しではなく、真正面から見ると自然と目が合った

『面白い?どこが?私はいたって真面目よ』

馬鹿にされた気がしたので、つい眉間に皺が寄る

「そんなところが面白いんだよ? ホラ、笑って……」

槙島は私の頬に手を添える

「君のような人間には笑顔が似合う…だが、″君は″笑顔よりも泣き顔のほうが似合いそうだ」

笑いながら言う彼にゾクリとした

彼はゆっくり私に近きキスをする

『……君のような、ね……。でも私はこの世界で生まれて、育ち、今まで生きてきた…。きっと、私はこの世界に依存してるのよ』

逃げられない…そう呟いて
目を閉じる

「世界……それは君に似ているね…」

『私?』

訳が分からないという風に首傾げると彼はやはり、クスリと笑って言う

「君は僕の存在意義みたいなものさ…君が居ないと僕が生きている意味がない」

『大袈裟ね』

少しだけ驚いたが彼が本気で言っているのが分かった

「大袈裟ではないよ。君が世界に依存しているように、僕も君に依存しているのさ」

私を抱き締めて言う彼が壊れ物扱うかのように髪に触れる

『…私も貴方を愛せたら、依存できたら良いのに…』

震える唇でそう告げると彼は満足そうに微笑んだ

「構わないよ…。僕らにはきっと、このままの状態が似合ってる」


そう言って、また彼は私にキスをした
「愛してるよなまえ」

『……ごめんなさい…』

私は彼に小さく謝る



あぁ、私は彼を愛せない…

そして、私は彼に依存できない…

だけど、私は彼から離れられない…

私達は、依存している…

だから、私達は報われない
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