【*潜在犯の夢主です。】
真っ暗な部屋の景色に
外の世界の夜景が広がる
それはとても美しくて
まるで夢のようだと思う…
ゆっくりガラス張りの壁に近づきガラスに手を付く
ふと、背後に人の気配を感じて後ろをガラス越しに見る
「綺麗だね……君はこの美しい、偽りだらけの世界をどう思う?」
彼、槙島聖護は後ろから私に問う
『…素敵だと思うわ、私のような人間でも生きていける。この世界ナシでは生きられない……でも、私には勿体無い世界だわ』
私は率直に答えた
私のような潜在犯には勿体無い世界だと、この景色を見るだけで痛感する
「この"世界ナシでは"…か……、君は面白いね」
クスクスと笑って言う彼をガラス越しではなく、真正面から見ると自然と目が合った
『面白い?どこが?私はいたって真面目よ』
馬鹿にされた気がしたので、つい眉間に皺が寄る
「そんなところが面白いんだよ? ホラ、笑って……」
槙島は私の頬に手を添える
「君のような人間には笑顔が似合う…だが、″君は″笑顔よりも泣き顔のほうが似合いそうだ」
笑いながら言う彼にゾクリとした
彼はゆっくり私に近きキスをする
『……君のような、ね……。でも私はこの世界で生まれて、育ち、今まで生きてきた…。きっと、私はこの世界に依存してるのよ』
逃げられない…そう呟いて
目を閉じる
「世界……それは君に似ているね…」
『私?』
訳が分からないという風に首傾げると彼はやはり、クスリと笑って言う
「君は僕の存在意義みたいなものさ…君が居ないと僕が生きている意味がない」
『大袈裟ね』
少しだけ驚いたが彼が本気で言っているのが分かった
「大袈裟ではないよ。君が世界に依存しているように、僕も君に依存しているのさ」
私を抱き締めて言う彼が壊れ物扱うかのように髪に触れる
『…私も貴方を愛せたら、依存できたら良いのに…』
震える唇でそう告げると彼は満足そうに微笑んだ
「構わないよ…。僕らにはきっと、このままの状態が似合ってる」
そう言って、また彼は私にキスをした
「愛してるよなまえ」
『……ごめんなさい…』
私は彼に小さく謝る
あぁ、私は彼を愛せない…
そして、私は彼に依存できない…
だけど、私は彼から離れられない…
私達は、依存している…
だから、私達は報われない