宜野座監視官と私は同期の監視官だった。私は他係の監視官で彼は一係。
刑事課は深刻な人手不足のため多忙だ。
そんな中今日の午後と明日は久しぶりに伸元と過ごせる貴重な時間だ。私は珍しく夕方に帰宅できたため、準備をしながら彼を待つ。端末で連絡した時間より遅く伸元は帰宅した。
「予定より、遅かったね」
「ああ、今日中に提出の書類が予想以上にあってな」
「そうだったの。お疲れ様、」
抱き付くとそっと抱き締め返してくれた。
一緒にご飯を食べた後、先に入浴を済ませた私は、ベッドに移動する。ぼんやりと次第に意識が薄れる。
「―…起きたのか、なまえ」
「伸元、?」
入浴を終えたらしい彼は私を見下ろしていた。お風呂に行った伸元を待つ間ベッドで横になった私は寝てしまったらしい。上体を起こし慌てて時間を確認するとそんなに経っていなかった。
「最近は特に忙しかったからな。疲れが溜まっていたんだろう」
「それは伸元もだよ」
休みもなかなか取れないし、一緒にいる時間は多くはないけど、でも幸せだ。
伸元、名前を呼ぶだけでこんなにも満たされる。
「眼鏡外して、顔もっと近くでみたい」
「…全くお前は」
ため息を吐きながらも、伊達眼鏡を外してベッドサイドに置いてくれる彼は優しい。
私と同じ日に休みをとれる様に仕事をしていたと、今日帰りに飲み物を買った時会った狡噛に、教えてもらった。そんな彼が私は心底好きだった。
ベッドに寝転がりお互いに抱き締めあう。伸元は私の手を引き寄せると、自らの手に重ねた。伝わる体温に安心する。
「明日はどうする?どこか行きたい所はあるか?」
「特にないかな…二人で休みなのは本当に久しぶりだし…伸元は?」
伸元と一緒に過ごせるのが嬉しくて口元がつい緩む。それに気付いたらしく、
「なまえ、」
柔らかく穏やかに微笑んだかと思ったら、唇を奪われた。
「ん、」
「俺も、なまえと一緒だ。そうだな…二人でゆっくりしたい」
「じゃあそれで決まり。」
そっと頬を撫でられる。そして、優しく唇を重ねた。
「私ね、伸元と居る時が一番幸せなの」
「なまえ…俺もだ」
そう言って彼は力強く抱き締める腕に更に力を込めた。チラリと彼の顔を見やると若干顔を赤くした恋人に思わず笑みが溢れる。
伸元がいればいい。そう感じる様になったのはいつからだっただろうか。
ああ、きっとこの人がいなくなったら、私は壊れるんだろうな。この人は私の全てを形作る源だから。
口付けを交わしながら、ぼんやりとそんな事を考えた。大げさかもしれないがきっと、確実に。
互いに求め合い、夜の帳に包まれながら、甘い享楽に溺れる。