シアワセって何ですか??って問われたら、間違いなく多種多様の答えが返ってくると思う。やって幸せの形は人それぞれやから、答えなんか沢山あって当然の話。
俺にもやっぱり幸せの条件がそれなりにあって、好きな音楽を聞いたり時には作ったりするんは幸せや思う。ああ、勿論テニスは別格で、なくてはならんモン。…まぁ完璧な部長を始め、師範や真面目な副部長、ヘタレやラブルスとかいうてる先輩ら、ゴンタクレの後輩と部活するんも中々嫌いやない。でも本真にそれだけ、俺はそれだけで充分やった。
『なん、何か付いとる??』
「変な顔、」
『それ普通彼女に言わんよな??』
「お前彼女なん??」
『はっ、ヒドない!?』
隣でギャースカ騒いでるんは、クラスメートのやまだはなこ。…一応俺の彼女。容姿は中の上、勉強や特別運動神経が恵まれているワケでもない。おしとやかでなければ、料理なんか出来るワケでもなく。時に本真に女なんか聞きたくなるくらい、騒がしく俺に減らず口を叩いてくる。
『財前本真ないわ!!』
「まぁ、黙れや」
『なっ…!?』
せやのに何でやろうな。こんな面倒な女タイプやなかったのに。なんか知らんけど、むっちゃ好きでしゃーなくて。
「お前、顔赤過ぎやろ」
『うるちゃい!!』
「はっ、噛みよるし」
『いきなり財前が…!!』
「ひかる」
『え??』
「光て呼べや」
『〜っ』
「早よ呼べや」
本真に小さい声でボソボソ。でもしっかりはなこの声は俺の鼓膜を揺らしていて。ただ、それだけやのに上機嫌になってる俺って案外阿呆かもしれん。まぁ、そんなんで許したらんけど。
「え、聞こえへんわ」
『〜っ光!!』
「なんや、言えるやん」
『〜…っ!!』
顔にむっちゃ悔しいって書いてる。なんや判り易すぎて本真笑える。はなこを見て沸き上がる気持ちを言葉にするなら、愛おしいやと柄にもなくそう思うんは、間違いなくコイツの所為で。
「なぁ」
『…なに??』
「もっ回してええか??」
『なっ!?』
「まぁアカン言うたとこでするけどな」
『〜っドアホ!!』
「なんとでも言えや」
俺にとったらテニスも音楽も大事やけど、それと同じくらい、もしくはそれ以上にはなこが隣におらなアカン。これが俺の幸せの絶対条件。…こんなん恥ずかしいて誰にもよう言わんけど。
シアワセの絶対条件
(コイツがおらな絶対無理。まぁ離したりなんかせんけどな)
20101211