「ねぇ、仁王くんとどんな関係??」


よく私が耳にする言葉。未だに必ず雅治との関係を問われる。嫉妬を剥き出しにした顔をしたり、悲しそうな顔、好奇心に満ち溢れた顔だったりする。その度私は女の子たちにこう答えるの。


『雅治に聞いてみて??』


巫山戯てるのかと怒り出す子、何もないのかと落胆する子、中には早とちりをして付き合っていると勘違いする子も居る。でも決して巫山戯ている訳でも意地悪で答えない訳でもなくて、ただ私自身も判らないだけ。


「仁王くんのことどう思っているの??」


今まで何も聞かなかった友人が口を開いた。周囲の子たちの様に関係を問うものではなくて、私自身の気持ちを問うもの。


『好きよ、』
「友人として??それとも異性として??」
『…異性としてよ』


異性として雅治が好き。それは私の中で確立した感情だった。だからこそ、あの子たちの問いに毎回躊躇した。どんな関係??私にとっては愛おしいヒト。親しい友人と同じ、もしくはそれ以上に。でも雅治にとっては??友人としての枠組みに入るには、この想いは酷く哀しく愛しかった。だからこそ、私は委ねたの。


「仁王くん、また答えたみたい」


恋人とは甘くて優しい関係。友人とはお互いの気心が知れている関係。知人とは顔見知り程度の関係。セフレとは体だけの関係。他人とは全く関わりのない関係。数ある関係の中で私と雅治は全くといって言いほどどの関係にも当て嵌まらない。だから、雅治に答えを委ねたの。否、雅治の導き出す答えを知りたかった。


「“一緒に居るだけじゃ”って」


でも不透明な私たちの関係はやはり何処までも曖昧で。雅治はただただ、周囲の女の子たちにそう答え続けた。何かを付け足す訳でもなく、ただその一言だけを返答として。きっと雅治は私が抱く想いを知っている。だけど何も言わない。でも傍には居させて貰える。名前を呼ぶことを赦されている。それが私の唯一の希望で在り絶望だった。


『そう…』


一層のこと強く突き放して欲しい。本心には幾重にも鍵を掛けて、触れてさえもらえない。なのに愚かな私はこの感情を捨てきれずに、結局はまた雅治の傍へと身を置いてしまう。名前すら判らない関係でありながら、一縷の期待をひたすら切望して。






無限ループ
(くるくると廻り続けるのは愚かな私の想いたち。絶望と希望の真ん中に在るのはきっと貴方)


20101124


.

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -